高市政権の外国人政策強化

10 月 21 日、高市早苗自⺠党総裁が総理大臣に任命された。我が国初となる女性首相の誕生だ。同日に発足した高市内閣は、自⺠党と日本維新の会の「連立政権」として報じられている。 厳密に言うと、「閣外協力」と「連立政権」はイコールとは言い難いが、20 日に高市総裁と維新の会の吉村洋文代表、藤田文武共同代表が署名した文書は「連立政権合意書」というタイトル。今後は、閣僚を内閣に送り込まない閣外協力であっても連立政権であるという理解が浸透していくだろう。 高市内閣では、女性閣僚の登用が注目されていた。蓋を開けてみると、片山さつき財務相と小野田紀美経済安保相の二人にとどまったが、松島みどり元法相が総理補佐官に起用された。 外国人政策担当の松島みどり総理補佐官 出典:首相官邸公式サイト 松島総理補佐官の担当は外国人政策。小野田経済安保相も「外国人との秩序ある共生社会推進担当」を兼ねている。高市首相の肝入り案件である「外国人対策」の司令塔を首相側近で固めてきたところに、高市首相の本気度が伺える。 自維の「連立政権合意書」も、外国人政策として、外国人に関する違法行為への対応と制度基盤を強化して「ルールや法律を守れない外国人に対しては厳しく対応する」ことを明記している。 その他にも、対日外国投資委員会(日本版 CFIUS)の創設や、外国人および外国資本による土地取得規制を強化する法案も、来年の通常国会での審議入りが目指されている。高市政権は、我が国における「外国人政策」の転換点となるだろう。 (北島純・社会構想大学院大学教授)
政治•経済

2025/10/23

最新記事

超高額、三田ガーデンヒルズとリビオタワー品川、都所有の晴海フラッグにみる異常な投資ゲーム
超高額、三田ガーデンヒルズとリビオタワー品川、都所有の晴海フラッグにみる異常な投資ゲーム

都心高級タワマンは住むために建てられているわけではない、という新常識 やれやれ、価格は上りに上がって〝5億ション〟だってよ! (写真 HARUMI FLAG 晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業 Wikipediaより)   いまや「4億ション」「5億ション」がフツーの時代となり、新築マンションの高騰が止まらない。2023年に分譲された東京・港区三田にある「三田ガーデンヒルズ(以下:三田ガーデン)」は、敷地面積7636坪という広大な敷地に、総戸数1002戸、地上14階までの5棟のマンションが建つ。販売価格は坪単価で1300万円台~1400万円台という高額物件だ。超高額マンションにもかかわらず販売は好調で、多くの富裕層、国内外の投資家などで高倍率となり完売した。建物は今年3月に竣工し、すでに引き渡しが始まっているが即転売が目立つ。もはやマンションが住むための資産ではないことは明らかで、転売することで価格が倍になる、つまりキャピタルゲイン(譲渡益)狙いの完全な投資ゲームの場となった。不動産投資による利益には、売買によって期待される譲渡益と物件を賃貸することによって得られるインカムゲイン(運用益)の2つがある。  物件に投資する投資家は、この2つを考えて行うが、不動産サイトを閲覧すると、三田ガーデンでは多数の賃貸物件が登場する。専門家がざっくり断じた運用益は、当面は素晴らしい投資商品だが、10年後には、10年物国債利回り(1.347%)程度と国債並みの利回りしか得られないという。  一方、東京・品川区港南に建設されるリビオタワー品川の第1期1次の分譲が開始されている。 このマンションは地上34階建、総戸数815戸のタワーマンション。JR品川駅から徒歩13分の湾岸エリアに位置し、売主は日鉄興和不動産など5社。建物引渡しは26年10月上旬だ。販売競争率は3倍から139倍、平均で12.4倍という高倍率になった。販売価格は坪当たり650万円台から1350万円と三田ガーデンよりは安いものの高額物件であることに変わりはない。  新築マンションの問題は建築費の高騰だ。東京・中野駅前にある中野サンプラザの建替え延期が話題となったが、原因は建設費の高騰。これが続く限り、新築マンション価格はコストプッシュによって下がらないというより、下げることができない。だから高額物件は当たり前となり続ける。  であるならば今後も上がり続けるから、早く買わなければ手に入らなくなる。これが現状の新築マンション市場の現状だ。昨年3月末に全戸の引渡しを終えた東京五輪選手村跡地にできた晴海フラッグ(板状棟)のその後は、まさに狂乱バブルの再来状況だ。晴海フラッグはもともとは都有地だからマンション分譲にあたっては、通常一定期間の転売禁止、法人や団体による購入禁止、サブリース(転貸)の禁止などが定められるにもかかわらず、何らの規制もなく分譲された。  さらに、販売価格が周辺相場より3割程度安いことが人気に火をつけた。その結果、板状棟では最高266倍という平成バブル時代を彷彿とさせる高倍率となった。NHKの調べによると、ある棟では所有者の4割が法人、ひとりの個人投資家がいくつもの住戸を所有しているなどの実態が明らかになっている。また今年3月には、中国系の貿易商社が約2億2000万円の脱税容疑で、所有していた晴海フラッグ6戸を差し押さえられていたことが発覚した。6戸とは中国系らしい強欲さだ。晴海フラッグの専門家の結論は、運用利回り(賃貸)を得ることは魅力がないそうだ。リビオタワー品川はどうか。賃料の上昇期待はともかく、キャピタルゲインが必ず実現できると多くの人が考えているのだろうが、上げ相場があれば下げ相場があるのが投資の世界である。見通しは不明。不動産投資も株式投資と同じく、当たるも八卦、当たらぬも八卦。懐が温かければ気にすることはないが…。  

社会•事件

2025.05.14

緊急直言 石丸伸二氏と立花孝志氏に問う「未必の故意」という共通項 (その2) 現役国会議員秘書 世良 直
緊急直言 石丸伸二氏と立花孝志氏に問う「未必の故意」という共通項 (その2) 現役国会議員秘書 世良 直

石丸伸二氏と立花孝志氏に問う (写真 NHK党インスタグラムより)  兵庫県知事選挙に後に県議であった竹内英明氏がネットリンチにあって心神を喪失し亡くなっている。兵庫県知事である斎藤元彦氏に係る疑惑を追及した竹内氏が斎藤氏を擁護するN国党立花孝志氏によって反目とされて攻撃対象となった。誹謗中傷や迷惑行為の的にされた竹内氏は家族を守るために県議を辞職したが、その後、自死するに至った。立花氏は自死した竹内氏に対して「逮捕が目前に迫っていることを苦に自死した」という根も葉もない名誉棄損を発することで責任回避を目論んだ。立花氏の発言を問題視した兵庫県警本部長が県議会で立花氏の発信を「事実無根、明白な虚偽」と完全否定する異例の事態となった。生前、竹内氏は立花氏の脅しに怯えて錯乱状態だったと報じられている。  立花氏の攻撃対象となって自死に至ったのは竹内氏だけではない。立花氏に対して否定的な活動を行っていた岩井清隆氏もその一人である。岩井氏は立花氏よって自宅住所を晒された。岩井氏は「精神的な殺し屋に囲まれ、監視され、標的にされていることを痛感する」と心情を露わにしている。妄信的な立花氏の支持者は岩井氏の自宅周辺を徘徊し、職場を特定し、家族へも脅威を及ぼした。立花氏の支持者によって標的にされた岩井氏は「立花の存在と言動がなければ、私は決して死を考えることはなかった」と遺書に綴り、今年4月に自死した。石丸氏と立花氏は、自身の思考を肯定する者たちが起こす行動をある程度、予想できるが、それを放置する事で目的を達成した可能性を否定できないのではないか。確定的故意ではないことは認める。しかし、対象が自死する、もしくは心身に支障をきたす可能性を否定できない事態に陥ることは容易に察することはできたはずだ。広義に捉えれば「未必の故意」と言えなくもない。内心である思考や判断を外部から窺い知ることは不可能であるが「常識的に考えてどうだったのか」が問われる。石丸氏と立花氏の件で共通することは「その行為をわざとやったであろうということ」である。それは故意と同じなのではないのか。故人の冥福を祈る。

政治•経済

2025.05.14

好評連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』⑬ 『YouTubeの途中に入ってくるCM』 
好評連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』⑬ 『YouTubeの途中に入ってくるCM』 

YouTubeの途中に入ってくるCM  YouTubeの視聴中に、唐突に入ってくるCMが怖い。 タイミングが悪すぎるからである。一体、あれはどういう仕組みで流れてくるのか分からないが、毎度毎度あまりにも唐突ゆえ、急激に切り替わる場面は呪いの如き恐ろしさがある。さらに、一つの番組中に同じ広告が何度も何度も流れてきてスキップする。たまに終わったと思ったら、もう一発くることがある。ボクサーみたいな作戦である。よく、「歴史は実はこうだった」というCMが入ることがある。歴史のイフに触れ興味津々のものが多いのだが、なぜか、ナレーションの声が異様に怖い!  どうしてこんなに怖い声で解説をする必要があるのだ?そしてCMの最後には、この事実を書いた本はこちら!という広告で締めくくられ、俺はますます恐怖にあおられてスキップを押す。ちなみに、俺もYouTube『三遊亭はらしょうチャンネル』というのをやっているが、もっとCMを入れて欲しい。そもそも俺の動画が、みんなからスキップされている。

連載•小説

2025.05.13

日本では太陽光発電所、米国は港湾ネットワークが中国のスパイ活動のツールだ
日本では太陽光発電所、米国は港湾ネットワークが中国のスパイ活動のツールだ

まるでミッションインポッシブル、中国スパイの跳梁の舞台は太陽光発電所と港湾ネットワーク (写真 アメリカの代表的な港湾ネットワークの中心地 ラレド港 SGLニュースより引用)  2025年2月11日の米議会下院公聴会で、中国による米国近辺の商業港の広範なネットワークは、安全保障上の重大な脅威をもたらすと、各部門の専門家が指摘した。24年3月には、米連邦議会下院の国土安全保障委員会が「米国内の港湾に導入されている中国製の荷役クレーンの一部に用途が把握できない通信装置が見つかった」との調査結果を明らかにしたことがある。同委と下院の中国問題を扱う特別委員会によるこの調査は、米港湾と関連施設で使われている200基以上の中国製クレーンに焦点を当てていた。これらクレーンの製造元は中国企業「上海振華重工」(ZPMC)だが、同社と米港湾当局が交わした契約文書の全てに通信装置に関する言及はなかった。  米沿岸警備隊によると、米港湾で稼働中のクレーンの約8割が中国製で、クレーンは時には遠隔操作が可能で、通信を経由した動作作業に通じるハッカーが米港湾での情報収集を進め、施設の運用などで妨害工作を仕掛けることも理論的には可能としている。米国は、中国の電気通信会社ファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)が自社の機器を使って電子スパイ行為を行っていると非難してきた。中国の陸揚げ用の上クレーンでも情報収集や破壊工作が可能だと米国の安全保障当局は指摘している。  中国の国家安全法はすべての中国の海外組織に対し、スパイ活動の準備をするよう求めている。これに従い中国企業はロサンゼルス・ロングビーチ港やシアトル港、ヒューストン港、マイアミ港の港湾ターミナルを含む西半球7カ国の港湾に出資しているばかりか、中国が世界中に持つ130の港の半分以上は、主要航路や戦略的要衝に位置していることに注意しなければならない。すでに中国による「日本侵略」が深刻さを増している我が国も同様だ。≪中国政府が23年中に1%以上の株式を持っている日本国内にある企業は合計303社あるが、ここから中国企業日本法人と中国人が経営する企業などを除くと217社。さらに中国以外の国の日本法人を排除すると162社。残る日本企業の中で、16社(海外日本法人4社も含めると20社)と最も多かった業種が太陽光発電だった≫(日経調べ)という事実が明らかになった。運営する太陽光発電所の位置を地図アプリ「グーグルマップ」で調べた軍事アナリストは、ある共通点に気づいた。中国支配の発電所の10㌔圏内には、必ず自衛隊関連拠点や重要拠点がある。また全自動運転車の研究を進めるトヨタ研究所の近くにもあった。その発電所の所有者は、電力大手の上海電力や電力ケーブル製造、太陽光事業などを手がける江蘇中利集団、世界的に再生可能エネルギー事業を展開するポルトガルのEDPリニューアブルズ(EDPR)のいずれかの企業だ。EDPRは中国国有エネルギー企業の長江三峡集団が傘下に収めているので事実上は中国企業だ。  世界中にスパイ網をめぐらし、先端技術や軍事関連の情報収集に努める中国政府は、いつでもインフラ破壊や軍事行動を起こせるのだ。  

社会•事件

2025.05.13

緊急直言 石丸伸二氏による「どう始末してやろうか」という未必の故意(その1) 
緊急直言 石丸伸二氏による「どう始末してやろうか」という未必の故意(その1) 

(写真 石丸伸二氏 同氏HPより)  地域政党「再生の道」を旗揚げした石丸伸二氏の初陣となる東京都議選と参院選がまもなく行われようとしている。石丸伸二氏について多くの国民が政界に登場したクリーンな次世代リーダーだと誤った認識を持っている。石丸氏が安芸高田市長時代に舌鋒鋭く年配議員たちを攻撃する姿を恰も勧善懲悪の時代劇の如くSNSで楽しむ輩達に大うけした。SNSを活用した政治でネット界隈の寵児となった。地元の危機を救う救世主を気取って自身の虚像を膨らませていった。  その石丸氏の攻撃の的としてロックオンされたのが武岡隆文市議である。石丸氏は2022年6月に「恥を知れ!恥を」という周到に用意した台詞を武岡氏に議場で浴びせた。この時の様子は石丸氏の魂胆通りにネット上で脚光を浴びた。石丸氏が武岡氏の議場での居眠りを指摘したのは2020年9月である。指摘された武岡氏はその原因として軽度の脳梗塞が発症していることを示す医師の診断書を石丸氏に提出している。しかし、石丸氏は診断書にはお構いなしに武岡氏への攻撃を続け前述の発言に繋がっている。武岡氏に対する石丸氏の攻撃はビジネスユーチューバーや小銭稼ぎの動画制作者たちによって無節操に拡散された。結果、武岡氏は凄まじい誹謗中傷に晒される日々を送らざるをえない状況に陥ることとなる。嫌がらせの着払いでのネットショッピングの商品が日々届き、迷惑電話はひっきりなしになる。中には殺人予告のようなものある。心身ともに病んだ武岡氏は食事も喉を通らなくなり徐々に衰弱していった。2023年1月30日に遂に武岡氏は68歳で帰らぬ人となった。  亡くなった竹岡氏に向けらえたネットリンチとその後の死に対する恐怖と衝撃が残された武岡氏の妻に重く圧し掛かる。妻は心神喪失状態に陥り今年1月26日に自死するに至る。夫を失った悲しみ、夫を襲った猛烈な誹謗中傷などの攻撃への恐怖、自宅に対する嫌がらせ行為に対するストレス、正義のヒーローを気取る石丸伸二氏への悔恨など耐え切れないほどのストレスに見舞われていたことだろう。亡くなる前日に妻はご子息に「たすけて」とメッセージを送っている。  武岡氏が亡くなり、夫を追うように妻が亡くなった後に石丸氏はYouTubeのトマホークチャンネルに出演しこう発言している。「これ(居眠り)を許してはいけないから、どう始末してやろうかと思い、うまく使うことにした」と。高慢を通り越して反社会的な発言である。石丸氏の「始末」は武岡氏と武岡氏の妻の死によって目的を完遂したのか。石丸氏の死後の発言からも故意に「始末」したことは明らかである。たとえば、自動車を異常な高速度で運転する場合において誰かを傷つけてしまう可能性を認識しつつ、「それでも構わない」と考えることが「未必の故意」だとすれば、「どう始末してやろうか」と用意周到に手段を用意し、その顛末を画策して実行に移し目的を遂げることは「未必の故意」そのものではないのか。武岡氏に向けられた犯罪は誹謗中傷だけでなく脅迫や威力業務妨害など数々の不法を疑う行為が明らかにされている。これらの行為は石丸氏による「未必の故意」を疑う余地があるのではないか。(つづく)

政治•経済

2025.05.13

新ローマ教皇に初の“無印”米国人枢機卿が誕生した
新ローマ教皇に初の“無印”米国人枢機卿が誕生した

アメリカ出身新教皇 レオ14世 大統領とはまったく違うバランス感覚を持っている。さすがメルティングポッドのアメリカだな  (写真 新教皇レオ14世 Wikipediaより)  5月8日午後、バチカン市のシスティ―ナ礼拝堂で開かれた新教皇を選出するコンクラーベで、4回目の投票後、米国シカゴ生まれの司教省長官でもあるロバート・フランシス・プレボスト枢機卿(69)が第267代のローマ教皇に選出された。米国人のローマ教皇選出は初めてで、教皇名はレオ14世だ。ちなみに、ベネディクト16世は4回目、前教皇フランシスは5回目の投票で選ばれている。教皇とはイエス・キリストの弟子12人の筆頭だったペテロの後継者のことだ。新教皇は教会から出て積極的な社会活動を推進したレオ13世の後継者として、レオ14世を名乗ったことで、明確な教皇像をその名が描いていることを示した。世界最大のキリスト教派ローマ・カトリック教会は、聖職者の未成年者への性的虐待問題が発覚して教会の信頼を落としたため、特にプロテスタント中心の欧米社会では教会離れが進んでいる。また、聖職者の独身制の見直し、女性聖職者問題からLGBT(性的少数者)への対応など、世界の教会は多くの課題を抱えている。新教皇のかじ取りはなかなか難しい  コンクラーベに参加する枢機卿には、ハードな体力的負荷がかかる。例えば、75歳以上の高齢者がシスティーナ礼拝堂に隔離状況になり、長時間にわたって瞑想と投票を繰り返す。テレビや新聞、携帯電話、ノートパソコンなどの持ち込みは厳禁され、外部と接触できないため、まさにコンクラーベ(鍵を掛ける)状況下に置かれる。前回のコンクラーベでは、ミサ中、1人のコンクラーベ参加枢機卿が失神したほどだ。現在のコンクラーベに機能が整うまで長い歴史を刻んだ。初期キリスト教時代では、教皇はローマの聖職者や信徒、時にはローマ帝国の承認によって選ばれたが、時代が進むにつれ、東ローマ皇帝や神聖ローマ皇帝など世俗勢力が教皇選出に口出しするようになり政治的混乱を招いた。それが11世紀に入ると教皇ニコラウス2世が発布した「勅令」により、教皇選出の権限がローマの枢機卿団に限定され、これがコンクラーベ制度の起源になった。  だが、ルネサンス時代 (15~16世紀)に入ると、教皇職が政治的にも経済的にも強大化し、教皇選挙が政治化した。選挙活動において贈収賄が横行し、一部の教皇は強い世俗的な支持を得て選ばれた。その結果トリエント公会議(1545~63年)で、教皇選挙をより神中心で公正なものにする改革が求められた。19世紀初頭、再び権力者であるナポレオンが教皇選挙に干渉したことで、政治からの独立が課題となったが、20世紀に入り、現在のコンクラーベが確立された。カトリックとプロテスタントは基本的に相入れない。カトリックではローマ教皇を教会のトップであり、特別な存在だが、プロテスタントは「人間は神以外みな同じ」だからローマ教皇を政治的に重要とは思っても特別な存在として扱うことはない。イエスの母マリアについても、同じ理由でプロテスタントでは「主イエスを産んだとはいえ、一人の人間でしかない」と捉えるに対し、カトリックでは「聖母マリア」という特別な存在としてあがめる。  レオ14世は、前任のフランシスコ教皇からバチカンに招聘されるまで、23年余り南米ペルーの宣教師として歩んできた。貧困に悩む南米の教会の実情に精通しているといわれる。米国人ながら軸足は南米。神のバランス感覚は絶妙だ。  

政治•経済

2025.05.13

「労働者」の判断基準見直しへ 労基法改正へ研究会発足
「労働者」の判断基準見直しへ 労基法改正へ研究会発足

 40年にわたり続いてきた「労働者」の判断基準が改正される見通しとなった。厚生労働省はこのほど、労働基準法が定める「労働者」の判断基準を見直すため、大学教授ら9人で構成される有識者研究会を発足させた。労働者は労働時間の上限規制や最低賃金の保障の適用対象となり、労働関係法令に基づく様々な法的保護を受けられる。ウーバーの配達員といった、スマホのアプリを介して仕事を請け負うギグワーカーらの広がりなど、働き方の多様化を受け、労働者として保護すべき対象を広げるのが狙いとなる。 ◆40年前の判断基準がベース 労基法は労働者について、条文で「使用されるもので、賃金を支払われる者」と定めているが、実際に労働者に当たるかどうかは、1985年に厚労省の研究会がまとめた報告書で示された判断基準がベースになってきた。 このため、労使の間で労働者性が争われた時などは、この基準で具体的に示されている▽仕事の発注依頼に対し、本人に拒む自由があるかどうか②業務の内容や遂行の方法について細かい命令を受けているかどうか③勤務場所や勤務時間を拘束されているかどうか――といった要素を踏まえて判断されてきた。 一般的には、会社に雇用される会社員は当然だが、それ以外でも、労働の実態から「労働者」とみなされ、保護対象として最低賃金などの保障を受けられている働き手は少なくない。 だが、近年は個人で仕事を請け負うフリーランスや、自宅や会社以外のスポットなど場所にこだわらずに働くテレワークなど、働き方の多様化が急速に進み、現行の基準で判断するのが難しいケースが出てきている。訴訟沙汰に発展し、働き手に負担が強いられるケースもあり、厚生労働省は基準の見直しに向けた検討を開始。5月2日に有識者研究会を設立した。 ◆ギグワーカーら保護へ 研究会では、判断基準の見直しに加え、ギグワーカーらを具体的にどういった枠組みで保護するのが適切かなども議論し、見解を示す方針だ。研究会の見解を踏まえ、厚労省が新たな判断基準を明文化することなどを検討するとみられる。 研究会による検討においては、判断基準を見直すこと自体はすでに既定路線として決まっていることから、どれだけ実効性のある見解が提示されるかが注目される。現行下で保護対象から漏れている働き手を守るため、スピード感を持った議論に期待がかかる。  

社会•事件

2025.05.13

徐々に明らかになる家基と平賀源内「暗殺」の黒幕
徐々に明らかになる家基と平賀源内「暗殺」の黒幕

 家治の嫡男・家基が落命した鷹狩に同行した村垣定行だけでなく、鷹匠・内山永恭および馬方・村松歳釐の双方の人事にも、一橋治済の影がずっと見え隠れしているという。彼らが切腹どころかことごとく出世をとげていることから、家基の死は病死でも事故でもなく、鷹狩の最中に暗殺された――例えば馬もろとも崖下に突き落とされた――可能性は相当高いと見ていいだろう。   御三卿・一橋家の治済にしてみれば、家基を亡き者にして徳川将軍家の血脈を断てば、嫡男・豊千代――後の家斉——に将軍のお鉢が回ってくる。そのためにまず時期将軍候補のライバル・田安定信——後の松平定信——を白河家に養子として追いやったことはすでに述べた。   治済が排斥すべき最大の敵と見ていたのは、言うまでもなく田沼意次だった。11代将軍・家治との関係で得た権力を息子・意知にそのまま移譲したかった意次にとって、家治の嫡男・家基の死は大打撃だった。家基の死後も、意次と親しく、先進的な気性で開国派だった薩摩藩8代藩主・島津重豪(しげひで)を、その娘を豊千代の妻に娶って寝返らせたのを始め、忠誠を誓った子飼いを幕閣に押し込んで幕府内部の勢力をじわじわと拡大していく。。   意次の直接の配下だった平賀源内の「暗殺説」がささやかれる理由は、まさにここにある。意次の政治生命を絶つべく、その有力なブレーンだった源内を消した――フェイト商館長の日誌にある「江戸町奉行や幕閣らの命で毒殺された」という記述を捨て置くことは出来まい。   そして老中・意次の致命傷となる次の暗殺事件を画策し、実行の命令を下したのも恐らく治済だった。(つづく)   参考文献:秦新二、竹之下誠一著『田沼意次 百年早い開国計画』文藝春秋  

連載•小説

2025.05.12

カスハラ 自治体職員で深刻 35%が被害 総務省調査
カスハラ 自治体職員で深刻 35%が被害 総務省調査

 顧客らから暴言や理不尽な要求などを受ける「カスタマーハラスメント」(カスハラ)を巡り、被害を受けたとする自治体職員が35%に上ることが、総務省の初の実態調査で分かった。民間企業を対象とした国の調査結果と比較し、約3倍の高い水準だ。自治体職員ら公務員は、憲法上で「全体の奉仕者」と定められ、過度な要求を受けやすいことが背景にあるとみられる。  一般的に、民間企業などの場合は、提供する商品やサービスなどに応じてターゲットとなる顧客が限られ、その中でカスハラが起きているため、割合はそこまで高くない。ただ、自治体職員は、全住民に行政サービスを提供し、さらには納税を受ける立場でもあるため、カスハラが起きやすいようだ。調査結果によると、主に住民や業者らなどからカスハラ被害を受けていた。 総務省の調査は2024年11~12月、全国の都道府県や政令指定都市など計約400自治体を対象に実施。教職員らを除き、一般住民と接点のある行政部門の約1万1500人からの回答結果をまとめた。 過去3年間でカスハラを受けた経験があるかの質問には、35%が「ある」と回答。所属部門別でみると、各種年金保険関係と福祉事務所が、いずれも61・5%でカスハラを経験したとし、高い水準を示した。年代別では。30歳代が44・6%と最も高く、20歳代が40・0%。40歳代が37・4%と続き。比較的若い世代で被害に遭っている実態が浮かんだ。 カスハラを受けたきっかけ(複数回答)では、「行政サービスの利用者・取引先の不満のはけ口、嫌がらせ」が72・5%とダントツ高く、「行政サービスの利用者・取引先の誤認などが一因」が57・1%と続いた。 一方で、厚労省が2023年度に民間企業を対象に行った同種調査では、カスハラを受けたと回答したのは10・8%だった。今回の総務省の調査では、自治体職員がカスハラを受けやすい土壌にあることが鮮明となった形だ。 確かに一般住民は税金を払っており、行政サービスを受ける権利があるのは当然だ。だが、お世辞にも高給取りとはいえない公務員ら自治体職員が汗を流しているおかげで行政サービスが受けられているということも、決しては忘れてはなるまい。 自治体職員がカスハラを理由に心身に不調をきたせば、住民サービスの低下につながりかねない。国や各自治体は、職員をカスハラから守るため、加害者側への対応のマニュアル化や個人情報の保護も含め、具体的な対策を強化していく必要がある。

制度疲労を起こしている日本の「給食」がインドネシアに“輸出”されるが…
制度疲労を起こしている日本の「給食」がインドネシアに“輸出”されるが…

一体どうなってんの?日本の給食 国内事情が混とんとしているのにインドネシアに〝輸出〟とは (写真 学校給食の一例 Wikipediaより)  今年1月にインドネシアを訪問した石破茂首相は、同国の「無償給食プログラム」への支援を表明した。これに対し日本国内では、「なぜ日本の学校給食や子どもの貧困問題を先に解決しようとしないのか」という批判の声が広がった。首相の大番振る舞いの背景には、同プログラム援助で同国に影響力を強める中国を牽制する意味合いがあった。インドネシアは昨年11月、北京で中国と無償給食プログラムに対する支援協力で合意している。中国は11年から21年にかけて農村4000万人を対象に無料給食を実施し、累計1472億元(約32兆円)を投下した実績を持っており、その目的もインドネシアと同じ子供の栄養状況を改善し就学率を高めることで共通している。さらに中国が得意とする大量調達、冷蔵輸送ノウハウは、中国と同じ広大な国土を抱えるインドネシアにとっては魅力だろう。したがって、即効性については中国式に軍配が上がると思われ、遠慮がちな日本は、中国得意の宣伝工作に押されて影が薄くなり「全面的に中国がやった」と我が物顔で押し出してくるのは必然だろう。やれやれまた「いい顔してゼニ失い」だ。  日本の公立小中学校では、学校給食に関する負担が「食材費は保護者負担、設備費や人件費は自治体負担」という形で長年続いてきた。文部科学省の推計によると、全国の公立小中学生(約870万人)の給食費を完全無償化する場合、年間4800億円ほどの財源が必要になる。2023年時点で自治体独自の施策により給食費を完全無償化している例は全体の3割前後にまで増えたが、自治体の中には「一度無償化に踏み切ったが、財源不足で継続が難しい」と反省が先立つケースも出始めている。給食無償化の実現には地方自治体の財源確保が不可欠だが、国がそれを後押しする具体策が乏しいというのがその理由だ。日本の給食プログラムの硬直化は無償化以上にある意味深刻だ。今年1月27日、京都市教育委員会は、小学校の給食で残った食材で賄い調理を行い、職場の教職員に提供したとして、市立小学校の女性給食調理員2人を減給処分にしたと発表した。また事態を把握しながら注意や指導を怠ったなどとして、同校の校長も厳重文書訓戒とした。2人は賄いの「食材を捨てるのがもったいない」「遅くまで仕事をしている教員のために何かできることはないかと思って作った」と話したという。  これについて、ネット記事では「こういう処分を“お役所仕事”と言いたい」との擁護コメントと「完全に業務上横領」として処分は当然とするコメントが寄せられ、「教員の長時間労働」問題や「食品ロス」問題とも関連させ二項対立の社会問題として取り上げられた。処分の是非について絞れば、コンプライアンスが重視される現代では当然であろう。生徒(父兄)から集めた給食費で購入した食材を勝手に使い込んだわけで、窃盗、横領などの刑法違反と言えなくもない。また数年間にわたって行われており、管理職が知らなかったはずもなく、その管理責任も重い。  非は非としてとらえる一方で、日本の学校給食の実情をよく考える必要があるのではないか。  

社会•事件

2025.05.12

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