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今オフ、メジャーリーグを目指す選手たちの展望 その2
今オフ、メジャーリーグを目指す選手たちの展望 その2

投手ではライオンズの今井達也がポスティングでのメジャー移籍を希望している 。SO/BBが3.5以上あれば優秀とされるが今井は163投球回で3.96と好成績を残している。 今期は10勝9敗で防御率は1.92と圧巻の成績を残した。MLBでの日本人投手の評価は高い ことから今井へのオファーは村上や岡本を凌ぐ可能性もある。ドジャースの山本由伸が12 年3億2500万ドルを勝ち取ったことから今井にも大型契約がオファーされる可能性は高い 。 今井と並んでMLB球団から注目されるのがタイガースの才木浩人だ。今期は10勝6敗、 防御率1.55の好成績。メジャー経験のある藤川球児監督がメジャー移籍への後ろ盾となっ ているという。今年3月に東京ドームでのドジャースとのオープン戦で才木は5回無失点7 奪三振の好投を見せてロバーツ監督から「メジャー級の球を投げていた」と高く評価され ている。奪三振率には課題を残すものの即戦力投手としてMLB球団から注目されることは 間違いない。 ライオンズの高橋光成はメジャー移籍を希望するがランナーを背負っての粘り投球が持 ち味であることからMLBウケは決して良くないだろう。奪三振が少ないと言うことは打た せて取るという投球スタイルであるがパワーヒッター揃いのMLBではリスクが大きい。ラ ンナーを溜める投球は攻撃のリズムにも影響する。コントロールを磨かない限り大型契約 は厳しいのかもしれない。 イーグルスの則本昂大も奪三振率は高くない。ストレートの最速は158キロを記録する がスライダー、フォークで駆使して打者の打ち気をかわすスタイル。これまでの楽天イー グルスへの貢献は計り知れない。田中将大が抜けたあとの先発の柱として長年ローテーシ ョンを守った後、松井裕樹がMLBに移籍するとストッパーに転向しその穴を埋めてきた 。34歳で良い移籍条件が整うかというとそれは厳しいだろう。だが長年の貢献から海外移 籍をイーグルスはできる限りバックアップしてあげて欲しい。 イーグルスの辰己涼介もポスティングを希望している。2024年には最多安打を記録した が現実的には守備力がメイン。好球必打の選手は3Aにも大勢いる。他を圧倒する somethingが無ければメジャー契約を結ぶことは容易ではない。2024年のゴールデングロ ーブ賞受賞のコメントは英語で掲載。実力より形から入るタイプなのか。今のところ球団 は辰巳のポスティングを認めていない。 (坂本 雅彦)

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2025.11.01

今オフ、メジャーリーグを目指す選手たちの展望 その1
今オフ、メジャーリーグを目指す選手たちの展望 その1

海の向こうではかつてのNPBのスタープレイヤーたちが大活躍している。NPBのスター プレイヤーは凡そMLBでも期待に応える活躍を見せるようになった。これも時代の変遷か 。NPBの技術的なレベルはMLBの3Aと同等などと言われてきたが現在はそうではないだろ う。少なくとも3Aより上、メジャーより少し下、つまり3Aとメジャーの中間ぐらいにまで は向上しているのではないか。ドジャースは大谷翔平をはじめ山本由伸は12勝、佐々木朗 希はポストシーズンでクローザーとして活躍。3人のNPBのスタープレイヤーを擁して期 待通りのリーグ優勝を達成している。オリオールズの菅野智之も36歳ながら初年度から二 桁勝利、アストロズの菊池雄星とメッツの千賀滉大は二人とも7勝とまりではあるが防御 率は3点台に留めている。カブスの今永昇太は9勝8敗防御率3.73と健闘した。打者ではド ジャース大谷翔平が本塁打55本を含む173安打を記録、カブスの鈴木誠也も本塁打32本を 含む140安打と期待に応える活躍を見せている。レッドソックスの吉田正尚は怪我で出場 機会が限られた。 さて、MLBで日本人プレイヤーの評価が上昇する中で今年も多くの日本人プレイヤーが 海を渡ろうとしている。球団がポスティングを容認しているのがヤクルトスワローズの若 き主砲村上宗隆だ。村上の今シーズンは怪我の影響で56試合の出場にとどまったが22本塁 打47打点と圧巻の成績を収めている。21年には日本人最多の56本塁打、22年には最年少三 冠王を達成している。パワーはメジャー級であることは折り紙付きだ。守備と打撃の好不 調の波に課題を残すものの今オフのストーブリーグの目玉になることは間違いない。米国 内の報道によると村上の契約は鈴木誠也の5年8500万ドル、吉田正尚の5年9000万ドルを はるかに超える3億ドル規模の大型契約になるのではないかと予想されている。 村上と並んで注目されるのが巨人の岡本和真だ。村上と同様に岡本和真も今年は怪我に 泣かされ69試合15本塁打49打点と成績を下げた。とはいえ、パワーは村上とほぼ互角。こ こ数年は村上とホームラン王のタイトルにしのぎを削ってきたライバルである。DHでの起 用であれば十分にメジャーでの活躍が期待できるだろう。巨人は岡本が抜けると20本塁打 以上を打てる野手がいなくなる。泉口、中山、キャベッジにその期待が向けられるが未知 数だ。岡本がいる間に優勝を成し遂げたかったのだろうかCSファーストステージであえな く散った。現状を鑑みると巨人は岡本が海外FA権を取得予定の2026年まで在籍することが 望ましいだろう。10月22日に岡本のポスティングを容認することが球団から発表された。 経済的利益を優先したこともあるだろうし、岡本の希望をできる限り早く実現することを 考慮しての決定でもあっただろう。ポスティング制度は球団と選手の双方に利益があるこ とが前提である。金満巨人にあってもロジカルな決断は重要だ。(つづく、坂本 雅彦)

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2025.10.31

北島純のオススメ映画NOW『WEAPONS/ウェポンズ』
北島純のオススメ映画NOW『WEAPONS/ウェポンズ』

あの映画『WEAPONS/ウェポンズ』がいよいよ日本で公開されます。全米週 末興行ランキングで三度No.1に輝き、世界興行収入400億円を突破した注目の ホラー・サスペンス映画です(11/28公開予定)。 舞台となるのは、ペンシルベニア州の田舎町。ある小学校のクラスメイト17人 が突如、真夜中に集団失踪します。唯一残ったアレックス少年は沈黙を保ち、 クラスの担任教師(ジュリア・ガーナー)に疑いの目が向けられます。 子供たちの三角形走りがコワすぎ 出典:映画『WEAPONS/ウェポンズ』公式サイト 失踪した子供の父親(ジョシュ・ブローリン)が血眼になって行方を追います が、一向に子供たちは見つかりません。そこに、アレックス少年の叔母(エイ ミー・マディガン)が登場しますが、実は・・・という筋書きです。 監督・脚本・製作は、『バーバリアン』(2022年)で脚光を浴びた俊英ザック ・クレッガー。コメディアン出身の彼が手がけた脚本は争奪戦となり、長編映 画監督2作目であるにも関わらず、ニュー・ライン・シネマが3800万ドル(約 50億円)で契約しました(うち1000万ドル(約13.2億円)がクレッガー自身の 監督・脚本・プロデューサー報酬分)。アメリカン・ドリームですね。 繊細な表情を見せたら当代一のジュリア・ガーナーさん 出典:Julia Garner公式Instagramアカウント 名作『ストリート・オブ・ファイヤー』(1984年)の元陸軍兵士マッコイ役で 知られるエイミー・マディガン、ドゥニ・ヴィルヌーヴ版『DUNE/デューン 砂 の惑星』(2021/2024年)の武官役ジョシュ・ブローリンというベテラン俳優 の演技も渋いですが、なんといっても、教師役のジュリア・ガーナーの演技が 光ります。 『アシスタント』(2019年)や『ロイヤルホテル』(2023年)で見せた繊細極 まりないジュリア・ガーナーの演技が今回も炸裂しています。両手を三角形に して飛行戦隊よろしく走り回る子供たちも恐ろしくて笑えます。必見です。 (北島純・映画評論家)

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2025.10.30

幕府禁制に蔦重・歌麿が打った‶おトボケ″対策
幕府禁制に蔦重・歌麿が打った‶おトボケ″対策

錦絵にモデルの女性の名を記すことを禁じた1793(寛政5)年の町触れは、素人美人モデルにタ ダで見る、会えるという蔦重・歌麿の渾身の作『当時三美人』のウリを封じることになった。モ デルが誰かわからなければ、いくら出来がよくとも美人画は単なる美人画のままである。町触 れ通り名前なしでリリースしても、『当時三美人』のような売り上げを見込むことは難しいだ ろう。 せっかくのヒット企画もここまでとなるのか――。しかしさにあらず、上に政策あれば下には 対策あり。2人はあれこれ知恵を絞ったに違いない。そして出した結論が、奇妙な図柄の入った 美人画だった 町触れ以降に出された歌麿の美人画――例えば夏と思しき簾のかかった部屋で、団扇片手に合 せ鏡をのぞきながら一人くつろぐ艶やかなカット。その壁に奇妙な絵が掲げられているのだ。 蛇、田んぼに小さな焚火の前で踊る人物等々…という具合。現在の目で見ると何のことか分か らない。 しかし、当時の人々にはそれが何なのかは自明だった。田んぼは「た」、踊りが鹿島踊りで「 かしま」、焚火は「ひ」、杯は「さ」、蛇は「み」、舌が九の形をしているから「じたく」。 つまり、「高島ひさ身じたく」というわけである。 絵であって文字ではない。これは何だ?と聞かれても「蛇でございます」「田んぼでございま す」とトボけるわけである。(つづく) 参考文献:近藤史人『歌麿 抵抗の美人画』朝日新書 (西川修一)

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2025.10.30

連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.57『万博フィナーレ~その2』
連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.57『万博フィナーレ~その2』

夕方、俺と母は夢洲駅に到着した。 東ゲートには、入場できなかった人も花火を観覧できるスペースが作られ、少しでも この祭りに参加したい熱い思いが伝わって来る。そこにも、花火があがっているよう に見えた。 ゲートをくぐると、大屋根リングはライトアップされ、遠目からでも群衆がびっしり である。 「未知との遭遇みたいやな♪」 母はそう言いながら、映画の曲を口づさんだ。一瞬、妙にマッチして、本当にUFO が降りて来るように見えた。口づさんだ母本人が、 「ひぃ~」 とビビった。こんなにセルフでUFOを怖がる人を初めて見た。 そのまま、俺と母は宇宙旅行に出かけるような気分で大屋根リングに上がった。 「あっ!ヘリコプター!」 母がはしゃいで空を見あげた。 「わ~!」 俺も同じ位はしゃいだ。 暗い空には、ざっと見ても十機ほどの報道のヘリコプターが旋回していた。異様に怖 かった。『未知との遭遇』から、なぜか『地獄の黙示録』のようになっていた。  (つづく)

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2025.10.29

佐野慈紀のシゲキ的球論 熱戦!日本シリーズ!「ソフトバンク・柳田が機能! ただ阪神打線がまだ有利」
佐野慈紀のシゲキ的球論 熱戦!日本シリーズ!「ソフトバンク・柳田が機能! ただ阪神打線がまだ有利」

 阪神対ソフトバンクは共にリーグV達成した〝王者の風格〟で連日、好ゲームを展開している。  佐野氏はその中でもソフトバンクの打棒が爆発し、10ー1で勝利を収めた2戦目に注目。「1番・柳田がチームに貢献するいい活躍をしている」と分析した。 「簡単にアウトにならないバッティングは相手投手からしたらやっぱり嫌ですよね。そこから近藤や山川につながっている」(佐野氏)  実際に第2戦では、約2か月ぶりの実践登板となる阪神先発のデュプランティエに対し初回、先頭打者の柳田が追い込まれながらも、技あり左前打で出塁。そこから3点をもぎ取り、完全に主導権を握った。今年37歳となるベテランが献身的な働きでチームに貢献している。  それでもシリーズの行方については、佐野氏は「阪神打線の方がまだ上だと思う」と話した。最後まで目が離せない。 (タサイリョウ)

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2025.10.29

「美人画にモデルの名を載せるな」幕府規制の意味
「美人画にモデルの名を載せるな」幕府規制の意味

『よしの冊子』の記述は、続いて「今や水茶屋の店主たちは皆こぞって美しい店員を抱えており、このままでは女たちが芸者同然となってしまい、世の中が衰えるもととなろう」とし、「今のうちに何かしらの規制をかける必要がある」と結んでいる。 これは、町娘が有名になって人を集めることができるようになったのを「はしたない」と考える、もしくは身分制度が危うくなるという危惧であったようだ。今から見れば何とも気の小さい心配事であるが、錦絵という新しいメディアの影響力がここまでとは……という幕府当局の驚きが見て取れる。 これを反映した町触れが出されたのが1795(寛政5)年だった。錦絵に描かれた女性の名前を、その錦絵に記すことが禁じられたのだ。ちょっと首をひねりたくなるような規制だが、2年前に大ヒットした歌麿の『当時三美人』を意識したものであったことは明々白々。どんな美人画を描こうと、モデルが誰か分からなければ、ただの町娘が身分制度を崩壊させる? ほどの人気を集めることはあるまい、という発想だった。(つづく)   参考文献:近藤史人『歌麿 抵抗の美人画』朝日新書 (西川修一)

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2025.10.27

第29回 椎野礼仁のTANKA de 爺さん
第29回 椎野礼仁のTANKA de 爺さん

寺山修司から言葉を借りて   得意げに両手を広げる少年よ 君もほんとは海を知らない ふりむけば思いでボロボロ敗北の 一人の女のほつれ髪嗅ぐ 答えようたったひとつの質問に 私の次の短歌を読めと ベンジンを染ませ女の香の移るマフラーを焼け我が精の果て お祭りに母は行かしてくれずなり水飴のなか真赤な梅干し コーラ瓶の中で太った蜥蜴ども底を破って出てはこれまい   10月24日のNHK文化センター青山の「福島泰樹の実作短歌入門」で寺山修司の講義があり、その日出た課題詠が「田園に死す」。エーッつ、難しい! といっせいに受講生の悲鳴。その結果、先生が「3首でも1首でもいい。できなければ自由題でもOK」と妥協。でも僕は、あの講座の良さはとにかく7首、連作を作らされることにあると思っているので、初志貫徹。とはいうものの、さすがに「田園に死す」をテーマにするのは手に余る。そこで、寺山の短歌や詩や芝居の中から言葉を選んで、そこから連想されるものを勝手に作った。  果たして短歌として成立しているのか。熱烈な寺山フォロワーの伊藤裕作は何というか。聞いてみたい。

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2025.10.27

こいつを観ずに死ねるか! 『冤罪のつくりかた』 正義ってなんだ?すべてを疑え 闘う映画監督泊誠也の咆哮 第3回
こいつを観ずに死ねるか! 『冤罪のつくりかた』 正義ってなんだ?すべてを疑え 闘う映画監督泊誠也の咆哮 第3回

まだクランクアップに至っていないものの本サイト一推し(予定)の泊誠也監督の映画『冤罪のつくりかた』。ここであつかわれる〝冤罪〟サンプルは2000年に発生したいわゆる『秋元司衆議院議員IR汚職事件』である。当時、衆議院議員で内閣府副大臣だった秋元司は、日本国内でIR事業を手掛けようと目論んでいた中国企業から多額の現金をもらっているという疑いで東京地方検察庁特別捜査部(東京地検特捜部)に逮捕される。罪名は収賄罪。以降、秋元は裁判上はもとより一貫して罪を否認している。約6年の格闘の末、今年3月秋元は収監された。 泊は収監される前から秋元に接触し主張するところを聞いてきていた。なんでも泊は秋元とは高校の先輩後輩だそうで、「(秋元には)多少の興味を持っていた」(泊)そうだ。拘置所だけでなく収監後は刑務所にまで行って秋元に接見している。 「先輩後輩などはまあ些細な理由でありきっかけですね。(秋元の)話を聞くうち僕の中でなんというか『この事件を僕なりに扱っていかねばならない』とでもいうような漠とした意識に囚われるようになりました。そして(接見の)回を増していくうちそれは結晶化していった。『僕なりになにか社会に問いかけるようなそんな映画ができるはずだ』、漠としたものがいつのころからか強い使命感に替わっていったのです」(泊)。 だからといって一方的に秋元側に立ち、そこで〝冤罪〟を言い張るような映画を撮るつもりははじめからなかったという。 「〝冤罪〟を被害者側から描いた映画や書籍などは結構出ていますよね。それはそれでとても有意義だと思っています。けれどもそういうのは僕が撮る必要はない、というかあえて僕でなくともやれる人がいるでしょう。じゃあどのようにして〝冤罪〟を料理してやろうか、とことん考えました。そこで僕は秋元さんを〝罪人〟にした側の事情や有様を描くことにしたのです。いったいどのような意識や目的があって人が人を〝罪人〟として成立させていくのか、そこを映画の主題にしようと決めたんです」(泊)。 この発想の転換が期待度フルの作品に仕立てた。筆者はそこに泊のセンスの良さと潔さを見た。(つづく。敬称略)  廣田玉紀(フリーランスジャーナリスト)  

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2025.10.27

連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.56『万博フィナーレ~その1』
連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.56『万博フィナーレ~その1』

母と万博の閉会式に行って来た。 と書こうと思っていたが、着いた時には終わっていた。 実は、俺と母は夕方からの入場券を取っており、閉会式が観られると思っていたのだが、実際には閉会式は昼間で終了し、ドローンショーで幕を閉じることになっていた。 しかし、そんな情報を全く知らない俺と母は、 「閉会式に行くんです~!」 と、数週間前からほうぼう、親戚、友人、知人、先祖の遺影、俺に至っては寄席の東洋館の客席にまで自慢していた。 そして当日、会場に向かう大正区の橋の上にて、スマホニュースで「閉会式終了。サプライズゲストに桜井翔」という事実を知って愕然となった。 「えー!」 俺は川にダイブしたい位恥ずかしかったが、母は笑って、 「まだ、会場に桜井くんがいるかもしれへんで!嵐、嵐、嵐~♪」 と盛り上がりはじめていた。 俺と母は、ウォーリーならぬ、『桜井くんをさがせ!』という新しい自慢の目的を見つけ、すぐに前向きになったのだった。 (つづく)

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2025.10.26

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