高市政権の外国人政策強化

10 月 21 日、高市早苗自⺠党総裁が総理大臣に任命された。我が国初となる女性首相の誕生だ。同日に発足した高市内閣は、自⺠党と日本維新の会の「連立政権」として報じられている。 厳密に言うと、「閣外協力」と「連立政権」はイコールとは言い難いが、20 日に高市総裁と維新の会の吉村洋文代表、藤田文武共同代表が署名した文書は「連立政権合意書」というタイトル。今後は、閣僚を内閣に送り込まない閣外協力であっても連立政権であるという理解が浸透していくだろう。 高市内閣では、女性閣僚の登用が注目されていた。蓋を開けてみると、片山さつき財務相と小野田紀美経済安保相の二人にとどまったが、松島みどり元法相が総理補佐官に起用された。 外国人政策担当の松島みどり総理補佐官 出典:首相官邸公式サイト 松島総理補佐官の担当は外国人政策。小野田経済安保相も「外国人との秩序ある共生社会推進担当」を兼ねている。高市首相の肝入り案件である「外国人対策」の司令塔を首相側近で固めてきたところに、高市首相の本気度が伺える。 自維の「連立政権合意書」も、外国人政策として、外国人に関する違法行為への対応と制度基盤を強化して「ルールや法律を守れない外国人に対しては厳しく対応する」ことを明記している。 その他にも、対日外国投資委員会(日本版 CFIUS)の創設や、外国人および外国資本による土地取得規制を強化する法案も、来年の通常国会での審議入りが目指されている。高市政権は、我が国における「外国人政策」の転換点となるだろう。 (北島純・社会構想大学院大学教授)
政治•経済

2025/10/23

最新記事

米国務省、台湾独立に関する表現を削除
米国務省、台湾独立に関する表現を削除

 米国務省は、台湾に関する政府文書から「台湾独立を支持しない」という文言を削除した。これは、中国が主張する「一つの中国」政策に沿った表現だったため、中国の反発を招く可能性がある。 同省は公式サイトに掲載している台湾の「ファクトシート」を更新し、台湾の国際機関への参加をより強く支持する内容に変更した。文書の更新は2月13日付で行われ、中台問題について「強制を伴わない平和的解決」を求める立場を示した。 中国の習近平国家主席は台湾を武力で統一する可能性を否定しておらず、台湾の頼清徳総統を「独立派」と批判してきた。今回の表現変更は、必ずしもトランプ政権が台湾独立を支持したわけではないが、台湾の専門家は「中国への圧力となる」と指摘している。 台湾外交部はこの変更を「台米の緊密な関係を反映したもの」と評価した。しかし、米国務省の「台湾独立を支持しない」という文言は過去にも削除と復活を繰り返しており、今後の米中関係の動向によって再び変更される可能性がある。 一方、米国は中国の立場に異を唱えないものの、台湾の安全保障にも関与する「あいまい戦略」を維持してきた。今回の文言削除については、中国との関税交渉に向けた取引材料の一つに過ぎないとの見方もある。

政治•経済

2025.02.18

幕府を操る「人形遣い」一橋家当主・治済とは何者か
幕府を操る「人形遣い」一橋家当主・治済とは何者か

 松平定信は1774(安永3)年、17歳で陸奥国白河藩松平家に養子縁組された。嫡男・治察の死で存続の危機にあった田安家の抵抗は押し切られた。以後14年の間、田安家の当主は空位のままだった。なぜこんな‶人事″が行われたのだろうか。   定信が英才をうたわれたとはいえ、11代将軍・家治には嫡男の竹千代――後の家基がいた。当時13歳。快活で鷹狩を好む文武両道の俊才だったという。家治から全幅の信頼を得ていた意次にとっても、家基は末永く権力を握るのに好都合な存在だった。   ところが、その家基が1779(安永8)年、突然落命する。享年16。名前に由緒ある「家」の字を冠しながら将軍の座に就けなかった唯一の跡取りとなった。   問題は家基の死因が急病なのか事故なのか、現在に至るまではっきりしないことだ。意次による毒殺の噂も流れたが、意次と家治との親密度を見ると考えづらい。   一つ言えるのは、家基の死によって一橋家の当主・治済の嫡男・豊千代――後の家斉が将軍の座に就く道が開けたことだ。ついでに言うと、田安家には治済の五男・斉匡(なりまさ)が養子として送り込まれ、実質的に治済の影響下に入ることになる。   一橋治済とは何者なのか。大河『べらぼう』第2話でそれが暗示された。田安、一橋、清水の御三卿の面々が豊千代の生誕を祝う宴席で、2人の人物が仮面を被って人形を操る。一人は意次、もう一人が治済だった。   治済は「傀儡(かいらい)師にでもなるか」と皆を笑わせるのだが、治済は確かに傀儡師――人形遣いとなって幕閣を裏から操る存在となっていく。(つづく)

連載•小説

2025.02.17

選挙のモラルが崩壊(2) 民主主義を冒涜
選挙のモラルが崩壊(2) 民主主義を冒涜

立花孝志氏の下で過激な活動を学んだ黒川敦彦氏が先鋭化し逮捕  ガーシー氏の騒動がもたらしたものは大きい。正当な議論では世に認知されない者たちが悪名を馳せる行為へと走る。センセーショナルな暴挙であれば世の中の耳目を集めることができる。前代未聞の悪意ある行為を公然と行うことは時として犯罪となる。だが、政治の世界は違う。選挙をうまく利用すればある程度は常軌を逸しても看過される。そのことを身をもって知るのがNHK党の立花孝志氏だ。立花氏は公然と参政党の神谷宗幣氏を誹謗中傷している。時には新橋駅前で神谷氏が街頭演説会を開くとそこへ駆けつけて騒動を巻き起こしている。当時、NHK党とつばさの党は活動を連携しており、NHK党の党首は立花氏であるが幹事長はつばさの党の代表である黒川敦彦氏が就任していた。立花氏と黒川氏は足並みを揃えて稼働しており、新橋駅前での参政党の街宣活動に突撃する際も二人は行動を共にしている。立花氏の要請に黒川氏が断ることはなくつばさの党は恰もNHK党の街宣部門、突撃部門のようになっていく。NHK党による参政党への攻撃は過激化していく。目に余る暴挙に耐え切れなくなった神谷氏は立花氏を刑事告訴する。現職議員による告訴であるから警察も動かざるを得ない。ところが警察は立花氏に事情聴取するに留まり起訴することもなく終える。立花氏と黒川氏はこの程度の攻撃では起訴されないことを知ることとなった。政治活動(選挙期間以外の活動)で捕まらないのだから選挙運動(選挙期間中の活動)で捕まるわけがないと考えるのは当然だ。黒川氏は立花氏と行動を共にすることで様々なことを経験し先鋭化していった。当時、NHK党内では立花孝志氏が党首の座を譲った大津綾香氏と揉めており主導権争いを繰り広げるようになっていた。黒川氏はこともあろうか立花氏と敵対する大津綾香氏の側近になることで立花氏と事実上袂を分かった。黒川氏の不満は立花氏が財布を握っており独裁的な運営を行っていたことにある。大津氏も黒川氏と同様に感じており立花氏を突き放した。黒川氏は立花氏の下で攻撃的な活動を繰り返すことによって精鋭化し攻撃的になっていき立花孝志氏に対しての畏怖は消え去っていた。その後、黒川氏は立花孝志氏の自宅前で街宣活動を行うなど派手な攻撃を繰り返す。見かねた大津氏は黒川氏との縁を切る。黒川氏の攻撃が過激化して繰り返されるようになったのには理由がある。黒川氏が立花氏の下で活動しながら覚えたのは過激な街宣活動だけではない。SNSを利用したビジネスにも目を向けるようになった。黒川氏の街宣活動が過激になればなるほどその様子をアップロードした動画の再生回数が急速に増えていく。再生回数に応じて黒川氏にもたらされる収益も増える。要するに黒川氏は立花氏の下でSNS上での炎上がビジネスになることを知った。つばさの党の活動が単独に戻り黒川氏の行動は傍若無人となっていく。つばさの党がNHK党と分かれて最初の選挙となったのが2024年4月の衆議院東京15区補欠選挙である。黒川氏はつばさの党に所属する根本良輔幹事長を擁立した。この選挙の選挙運動が凄まじいことになる。つばさの党の選挙運動はNHK党と連携していた頃から更にエスレートした。他候補の街頭演説に突撃し演説の邪魔をする。他候補の街宣車を追いかけまわす。他候補の選挙事務所に嫌がらせの突撃を行うなど凡そ考え得る傍若無人な暴挙を繰り返す。他の候補に質問と称して誹謗中傷を投げつける。呼び出された警察署内でも警察官に罵声を浴びせ暴れる。その様子はほぼ常時SNS上で配信しており視聴者数がどんどん増えていった。それに比例してつばさの党へもたらされる収益も伸びる。過激化した黒川氏の行動や行為が遂にテレビのワイドショーで連日放送されるようになった。もはやダークヒーローどころではない暴挙に批判の声が殺到する。黒川氏は警察による再三に及ぶ警告を無視し続けた結果、選挙が終わった3週間後に逮捕されることとなった。黒川氏と一緒に立候補していた根本良輔氏と選挙カーの運転をしていた人物も逮捕された。逮捕された3人が保釈されたのは7か月後だった。警察の取り調べで黒川氏の動機は経済的利益を得る為であったことが明らかにしている。つばさの党の暴徒化とNHK党立花孝志氏は無関係ではない。一連の線上に存在し、かつての師匠とかつての弟子みたいな関係であると言えよう。立花氏と黒川氏がどっぷりと嵌る選挙ビジネスとは民主主義の冒涜であり破壊行為である。公選法は性善説の下になりたってきた。悪意を持って利用する者が現れたのは立花氏と黒川氏が初めてであろう。立花氏と黒川氏は政治に関わる者として警察の取締りのセーフとアウトの両方を経験した者同士となった。そして、二人とも全く懲りていないだから倫理も道徳もあったもんじゃない。(つづく)

社会•事件

2025.02.17

道路陥没の危機!老朽化対策は?
道路陥没の危機!老朽化対策は?

下水道管の老朽化による道路陥没事故 国が対策を検討  埼玉県八潮市で下水道管の腐食が原因とみられる道路陥没事故が発生したことを受け、中野洋昌国土交通相は15日、現場を視察した。視察後、中野氏は「国民の安全を守るため、必要な対策を実施する」と述べた。 また、埼玉県の大野元裕知事と意見交換を行い、大野氏は復旧のための技術・財政支援や、老朽化対策のための予算確保を求める要望書を提出した。 国土交通省は、同様の大型下水道管を管理する7都府県に緊急点検を指示。その結果、埼玉県の3カ所で腐食が確認され、地下に空洞ができている場所が埼玉・奈良で各2カ所、東京・神奈川で各1カ所の計6カ所あった。国は、21日に専門家による会議を開き、対策を検討する予定だ。

社会•事件

2025.02.16

激戦をしり目に最高級車を運転し、週末を五つ星ホテルで過ごすウクライナの若い難民
激戦をしり目に最高級車を運転し、週末を五つ星ホテルで過ごすウクライナの若い難民

レアアースを餌に資金稼ぎ?ウクライナに対する疑惑が噴き出ている  (写真 東京大学基金より引用)  現在ロシアと交戦中のウクライナには、欧州最大のチタンとリチウムの埋蔵量が確認されている。加えてベリリウムやマンガン、ガリウム、ウラン、ジルコニウム、グラファイト、アパタイト、蛍石、ニッケルも埋蔵する資源大国である。とはいえ、これら鉱物資源は、総じて旧ドンバス地域のドネツクとルガンスクに埋蔵されているためロシアの支配下に入っている。  ウクライナの豊かな鉱物資源に目を付けた米・トランプ米大統領は、ウクライナ鉱物資源の採掘権を得るため、これまでの援助と交換したいと言い出した。「米国はウクライナへ見返りも取らずに資金援助を続けるのは『愚か』だ」とまで言い切っている。  しかしウクライナのゼレンスキー大統領は。「ウクライナはトランプ氏が望むレアアースをコントロールしていない。リチウムやチタン、その他の金属の埋蔵量について合意に達する用意があるが、まずロシア軍を鉱物資源の豊富な地域から追い出すのに協力しなければならない」とさらなる軍事援助を請う作戦に出ている。  一方、旧東欧諸国は、ウライナに対する援助疲れ、厭戦ムードに加えて、現在ウクライナへの反感が急速に高まっている。 ポーランドの内務大臣によると、現在ポーランドには約1200万人のウクライナ人が居住している。これには2022年のロシア・ウクライナ戦争の激化に伴い流入した難民も含まれる。  当初、新規入国者には住宅や経済的支援を含む幅広い支援が提供されていたが、ウクライナ人による犯罪行為が目立つようになり、国民の不満が高まった。24年にポーランド警察は1万6437人の外国人を拘留したが、そのうち9753人がウクライナ人だった。  ポーランドのカミシュ国防相は、ポーランド国民は、「徴兵を忌避したウクライナ出身の若者が最高級の車を運転し、週末を五つ星ホテルで過ごす光景」に愕然としていると語った。  22年以降、米国議会はウクライナに約1750億㌦の援助を承認している。ドイツのキール研究所によると、24年10月時点で、米国はウクライナに約920億ドルの財政・軍事援助を割り当てており、EU諸国と英国は1310億㌦を割り当てている。  こうしてみるとウクライナのエリート層は、「ロシアとの紛争の資金として送られた米国や欧州納税者の金を横領して私腹を肥やしている」と批判されてもおかしくない。

社会•事件

2025.02.16

選挙のモラルの崩壊(1) 民主主義を冒涜
選挙のモラルの崩壊(1) 民主主義を冒涜

ガーシー氏に端を発した炎上狙いのユーチューバーがSNSで荒稼ぎ    いったい公職選挙法はどうなっているのか。昨年4月に実施された衆議院議員東京第15区補選あたりから立候補者のモラルは雪崩を打って崩壊している。モラルの崩壊には予兆があった。2022年7月の参議院選挙でNHK党から立候補したガーシー氏(東谷義和氏)がドバイに滞在しながらSNSを駆使して有名人に纏わる暴露を繰り返すという凡そ国政とは無関係な選挙運動を展開し当選している。その後、ドバイから帰国することなくその年の臨時国会は欠席を続け、年が明けて2023年1月の通常国会が開かれてもガーシー氏の欠席は続いた。2ヶ月を経過した3月14日にガーシー氏は結局一度たりとも国会に登院することなくその間の報酬だけをせしめて除名となった。参議院を72年ぶりに除名になったガーシー氏には直ちに逮捕状が出され国際手配となった。結果、6月5日にガーシー氏は常習的脅迫罪、名誉毀損罪等の疑いで逮捕された。ガーシー氏は逮捕される結果となったが、ガーシー氏が参議院を除名になった後にNHK党の名簿4位に掲載されていた斎藤健一郎氏が繰上げ当選となっており後味の悪い議席だけが残されることになった。  SNS上で猛々しく有名人を罵ったり、恫喝するガーシー氏に安全圏で視聴する人々が怖いもの見たさの野次馬気分を味わったことは事実。一部の視聴者にはガーシー氏をダークヒーローのように映ったのだろう。NHK党は全国で2%の得票を得て議席を確保した。たった2%の有権者の得票率である、それでも議席を獲得できるのだ。「悪名は無名に勝る」とは言うものの国権の最高機関であって国の唯一の立法機関である。悪がのさばって良いわけがない。だが、あえて悪名を広めることでガーシー氏は当選することができた。確かにダークヒーローもヒーローのうち、プロレスではアブドーラザブッチャーやダンプ松本、デビルマンや北斗の拳のラオウ、闇金ウシジマくんや映画のジャーカーもそうであろう。ダークヒーローもヒーローの一種であるから一定の人気を得てしまう。このパラドックスをうまく利用したのがNHK党を率いる立花孝志氏だ。立花氏自身が脅迫罪や威力業務妨害や不正競争防止法違反で懲役2年6月の有罪判決を受けて執行猶予中の身。アンチヒーローをプロデュースすることはお手の物であったのかもしれない。立花氏はガーシー氏を手玉にとり金を人参にして参院選に立候補させ、SNSやネット上で有名人に対する攻撃や誹謗中傷を煽り加速させることで話題性を高め情報の拡散を加速させた。立花氏の目論見通りにガーシー氏の口撃は綾野剛氏からジャニーズへ移り、そして楽天グループ三木谷氏にまで達し暴走をつつけた。急激に発信力と拡散力を増したガーシー氏は奇跡の当選を果たすのだが、ガーシー氏自身は犯罪行為を繰り返した自覚がある。詐欺や脅迫、誹謗中で逮捕されかねない状況に置かれていることからドバイから帰国する勇気が出ない。参議院ではガーシー氏の欠席に批判が殺到する。ガーシー氏は国会議員を辞職すると逮捕されると思ってか辞職はせずに地震に見舞われたトルコの被災地を慰問するふりをしたり、自分の報酬を被災地に寄付と嘯いたりして態度を誤魔化し続ける。参議院臨死審査会はガーシー氏をあざ笑うかのように粛々と段取り通り警告を行い遂にはほぼ全会一致でガーシー氏を除名するに至った。国会議員ではなくなったガーシー氏はあっけなく逮捕される。立花氏の唯一手元に残ったガーシー氏の置き土産が繰上げ当選することができる1議席であった。ガーシー氏の逮捕を予測した上で自身の腹心である斎藤健一郎氏を繰り上げ当選させるところまで立花氏の想定済みのことであったとしたら稀代の凄腕プロデューサーであると言えよう。 (つづく) (世良 直)

社会•事件

2025.02.16

ルーツからひも解く今や大企業の過去
ルーツからひも解く今や大企業の過去

土着企業が今やグローバル企業の代名詞  大手商社伊藤忠商事と丸紅は兄弟会社だ。創業家である伊藤家は、近江国(滋賀県)犬上郡豊郷で創業したいわゆる近江商人で、創業家の6代目当主である伊藤長兵衛は、紅長(べんちょう)という呉服太物小売商を営んでいた。  長兵衛は、弟の忠兵衛とともに、持下(もちくだ)りという出張卸販売で、西国(下関、小倉、長崎、熊本)にまで手を広げるようになる。  その後弟の忠兵衛は独立して大阪・本町に呉服反物商の紅忠(べんちゅう)を開店。1918年に会社が分割され、伊藤忠商事と丸紅のルーツになった。大建財閥に所属していたが、1949年の財閥解体で伊藤忠商事、丸紅、呉羽紡績、尼崎製釘所に別れている。  話は変わって醤油で知られるキッコーマンの本社は創業以来、千葉県野田市から離れていない。そもそも野田市に根付いたキッコーマンのルーツは、江戸時代にまで遡る。江戸幕府は関東の水路を段階的に整備していくが、その結果、1654年には利根川の本流が江戸湾から銚子口へと代わり、関宿で江戸川と分岐して江戸に物資が運ばれるルートが完成する。  その関宿より南約10㌔にあるのがキッコーマンの本拠地・野田。水運を制し、千葉の片田舎から発展を遂げた同社は、現在売上の約8割、事業利益の約9割を海外で稼ぐグローバル企業へと成長した。同じような土着企業ながら現在グローバル化の最前線に立つのが、トヨタ自動車(愛知県豊田市)やミツカン(愛知県半田市)、新興勢力ではユニクロ(山口)が挙げられる。

政治•経済

2025.02.16

急場しのぎにさせるな 2025年度から導入される「教員2種免許」
急場しのぎにさせるな 2025年度から導入される「教員2種免許」

急場しのぎの策とするな、教員「2種免許」制度  現在、公立小中学校の教育の方向や内容に厳しい目が向けられている。一つは、2020年度の新学習指導要領実施に伴い、小学校の授業にも導入されるようになった「アクティブ・ラーニング」について、消化しきれないという課題だ。  これは「主体的に学ぶ」が主眼の教育法の一つだが、子供たちが自らの立場や意見を表明するには、何よりも基本的な読み書き計算などの基礎学力が求められる。これが教育現場で次第に明らかになっており、その対策が急務だが教員が足らない。  さらにもう一つ。2006年の教育基本法改正で「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有する」と家庭の役割を明示した。しかし条文の新設だけで家庭の教育力が向上するわけでもなく、むしろモンスターペアレントが増加し、減少する先生はその対応に苦心している。  現実的に教員志望者は減少傾向にあり、人材確保が喫緊の課題だ。その対策に文部科学省は、小中学校などの教員免許を最短2年で取得できる短大向けの「2種免許」の教職課程を4年制大学でも特例的に開設可能にすることを決めた。  小中学校教員免許の2種と1種の違いは、1種は大学を卒業して得られる学位「学士」を基礎資格とし、2種は専門学校や短期大学を卒業して得られる学位「専門士」「短期大学士」を基礎資格とするものだ。一般的に教員免許を取得するのに大学では4年、専門学校・短期大学では2年かかる。  「2種免許」制度の狙いは、従来の制度では免許の取得が難しかった学生にも取りやすくし、多様な教育人材の確保を目指すところにある。  特例の2種免許は25年度から開設予定だが、それを得て教職に就けば、様々な難題にすぐ対応しなければならない。人数を揃えるだけの急場しのぎの制度にならないことを祈るばかりだ。

社会•事件

2025.02.15

サイバー攻撃に対抗する「先制攻撃」はできるのか
サイバー攻撃に対抗する「先制攻撃」はできるのか

急がれる「能動的サイバー防御」体制の構築  年末年始にかけて日本航空や三菱UFJ銀行、NTTドコモなどのシステムに大量のデータが送り付けられた。これは「DDos(ディードス)攻撃」と呼ばれるサイバー攻撃だが、その結果、システム障害が発生し社会に混乱を招いたのは周知のとおりだ。  2023年には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)で職員の個人情報などが流出。宇宙開発や先端技術に関する情報を窃取しようとした中国系ハッカーの仕業とみられている。  こうしたサイバー攻撃に対して、能動的にサイバー防御することをアクティブサイバーディフェンス(ACD)という。類似の用語に「アクティブディフェンス」がある。本来は軍事作戦の1つとして「攻撃を未然に防ぐためにとれる行動」を規定する用語だ。  アクティブが示すように、諜報活動によって敵の攻撃を察知したら、被害を事前に防ぐために敵拠点を無力化すること、つまり「先制攻撃」も辞さないという意味だ。  現在日本政府はサイバー攻撃の被害を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」を導入するための関連法案を国会に提出している。政府の諮問を受けた有識者会議はACDの法整備に向けて議論を重ねているが、その論点は2つだ。 ①国の安全保障にかかわる状況で、憲法に規定された通信の秘密をどこまで制限できるか。②有事の際にサイバー攻撃を可能とする法整備だ。  法案は、平時から通信情報を取得・分析し、重大攻撃の兆候を把握した場合、警察と自衛隊が相手側サーバーにアクセスし、攻撃プログラムを除去するなどして「無害化」するためのものだ。外国政府の関与など高度な攻撃には、首相が自衛隊に「通信防護措置」を命じる。  現行法ではサイバーの世界でも、攻撃されてから対処する「専守防衛」が原則となっている。しかし、これでは甚大な被害が生じかねない。他国の主権侵害につながる恐れもある無害化について、政府は「重大で差し迫った危険に対する本質的利益を守る唯一の手段」であれば、国際法上許容されるとしている。  しかし能動的サイバー防御(先制攻撃)は至難の業だ。そのためには日本への攻撃情報をつかみ、事前に相手サーバーに侵入するといっても、これを可能にするには、平時から相手国のネットワークを監視し、膨大な諜報データを収集・管理し続ける必要がある。  有事の際、即座にピンポイントで攻撃を成功させるには、事前に相手サーバーにバックドアを仕掛けておくくらいの準備も必要となる。  政府は警察と自衛隊による合同拠点を新設する方向だ。両者は緊密に連携し、サイバー攻撃に迅速に対処しなければならない。  

社会•事件

2025.02.15

日本企業とAI導入のリアル
日本企業とAI導入のリアル

 米ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が世界19カ国の経営層1803人を対象にAI(人工知能)の活用に関する調査を行った。その結果、AIが自律的に業務をこなす「AIエージェント」の導入に積極的な日本企業の割合は26%と、世界平均(32%)を下回った。日本では業務の品質を維持するため、人が行う仕事を簡単にAIに置き換えることは難しいと考えられている。 一方で、AIエージェントの活用に前向きな企業の割合は、スペイン(38%)、米国(37%)、インド(34%)などが高かった。日本が慎重な理由として、業務品質へのこだわりや、AIによるミスが顧客からのクレームにつながる「レピュテーションリスク」への懸念があるとされる。 しかし、日本でもAIエージェントの活用を「探索中」とする企業を含めると、その割合は72%となり、世界平均(67%)を上回った。日本企業は慎重ながらも、AIの導入による業務の効率化には関心を持っていることがうかがえる。

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