高市政権の外国人政策強化

10 月 21 日、高市早苗自⺠党総裁が総理大臣に任命された。我が国初となる女性首相の誕生だ。同日に発足した高市内閣は、自⺠党と日本維新の会の「連立政権」として報じられている。 厳密に言うと、「閣外協力」と「連立政権」はイコールとは言い難いが、20 日に高市総裁と維新の会の吉村洋文代表、藤田文武共同代表が署名した文書は「連立政権合意書」というタイトル。今後は、閣僚を内閣に送り込まない閣外協力であっても連立政権であるという理解が浸透していくだろう。 高市内閣では、女性閣僚の登用が注目されていた。蓋を開けてみると、片山さつき財務相と小野田紀美経済安保相の二人にとどまったが、松島みどり元法相が総理補佐官に起用された。 外国人政策担当の松島みどり総理補佐官 出典:首相官邸公式サイト 松島総理補佐官の担当は外国人政策。小野田経済安保相も「外国人との秩序ある共生社会推進担当」を兼ねている。高市首相の肝入り案件である「外国人対策」の司令塔を首相側近で固めてきたところに、高市首相の本気度が伺える。 自維の「連立政権合意書」も、外国人政策として、外国人に関する違法行為への対応と制度基盤を強化して「ルールや法律を守れない外国人に対しては厳しく対応する」ことを明記している。 その他にも、対日外国投資委員会(日本版 CFIUS)の創設や、外国人および外国資本による土地取得規制を強化する法案も、来年の通常国会での審議入りが目指されている。高市政権は、我が国における「外国人政策」の転換点となるだろう。 (北島純・社会構想大学院大学教授)
政治•経済

2025/10/23

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新興上場企業の7割が退場!?東証の市場厳格化の功罪
新興上場企業の7割が退場!?東証の市場厳格化の功罪

 アメリカのトランプ政権が打ち出した「相互関税」で世界は大混乱、日本でも日経平均が3万4000円を割るなどしているが、こちらも今後、日本の株式市場になかなかの激震が走りそうな報道だ。同じ4月2日に、東京証券取引所が「新興企業向けのグロース市場での上場基準の厳格化を検討」しており、上場から5年を経過した企業は、時価総額100億円以上を求める可能性があるというのだ。翌日の日経新聞では「新基準に7割未達」とし、単純化すれば、現在615社あるグロース上場企業の400社以上が上場廃止となるからだ。  時価総額毎の上場維持基準では、プライムが100億円以上、スタンダードが10億円以上、グロースは5億円以上となっている。だから100億円以上と言い出すのは、プライム相当企業になれということ。「検討」の中身として、こう語られている。 「未来の日本経済の成長を牽引するスタートアップが1社でも多く生まれるためには、グロース市場上場企業が、機関投資家の投資対象となり得る規模(100億円以上)へと早く成長する必要」  事実このように検討会で語られてはいるのだが、東証は「厳格化」の報道を受け、あくまで検討しているところで、まだ決定をしたわけではないと、火消しのロ¥リリースを行ったが、風が立ったらそうは収まらない。 「実際、以前の新興市場で上場基準が5億円以上だったジャスダック時代を含め、IPO(新規株式公開)を果たした途端に創業者が大量に持ち株を処分する、いわゆる『上場ゴール』は後を絶ちませんでした。またアイデア1つで上場したは良いものの、その後に成長を果たせず、会社のピークがIPOとその前後までという新興企業は多い。東証としては、そういった企業は追い出して、再度、市場環境を改めたいということなのでしょうが」(経済誌記者)   抜け穴探しか、自然退場か    だが兜町スズメの受け止め方は、「スタンダードに行けという事」といった声があれば、グロースの企業をスタンダードに移しても成長性に乏しい企業は残ることから、「上場維持基準を語る前に、上場基準を厳格化しろ」といった声なども。  また東証では、市場改革で上場維持基準を厳格化した際、時価総額のほか株式の流動化や株主数の増加で、未達には経過措置を適用していたが、それが年度末で終了した。そのため昨今は、一時は下火となっていた株主優待が復活。あのトヨタまでが優待を導入したのだが、そのため「QUOカード」や、流行に乗ったビットコインの優待導入など、極めて安易な資本政策も目立った。だがさすがに100億円となれば、付け焼刃は通用しなくなる。  となるとやはりスタンダードへの鞍替えか、銀行から大金を借りてのMBO(自社株買いによる非上場化)の道を選ばざるを得ないが、それでも上場ゴールで資産を築いたら「はい、それまでよ」と、とりわけて策を講じることなく自然退場を選択する企業が大量に生まれるのかもしれない。

短期集中連載 現役国会議員秘書 世良 直のヒストリカルスクープ!黒人侍「弥助」は実在したのか その4  ゲーム「アサシンクリードシャドウズ」による杜撰な歴史考証
短期集中連載 現役国会議員秘書 世良 直のヒストリカルスクープ!黒人侍「弥助」は実在したのか その4  ゲーム「アサシンクリードシャドウズ」による杜撰な歴史考証

著者であるトーマスロックリー氏による自作自演行為が発覚 (写真 トーマスロックリー氏)  トーマスロックリー氏の生み出した凡そ学術的ではない弥助像が世界中に広まりつつある。弥助に関してのみならず誤った世相や慣習まで一緒に広めることになってしまっている。「当時の日本では黒人は差別されておらず、むしろ尊敬されていた。なぜなら日本の寺院では仏像が黒く描かれていたからだ」という記述があるがイエズス会日本年報には「家臣に弥助をどう処分するかを聞かれた光秀は、『黒奴は動物で何も知らず、また日本人でもない故、これを殺さず』として、南蛮寺と命じた」とあることから寧ろ差別されていたのではないかとも思える。トーマスロックリー氏の作品には明らかな憶測が断定的に著わされており多くの批判を受ける要因となっている。  インターネット上では活発な議論がされつつも論点が独り歩きし問題をややこしくしている。「弥助の存在が日本国内の名士の間で黒人奴隷を持つ流行となった」という真偽不確かな記述がいつの間にか「日本が黒人奴隷制度を世界に広めるきっかけを作った」などと内容が変貌をしている。誤った情報はセンセーショナルであるほど独り歩きするものだ。  トーマスロックリー氏は日本大学准教授とはいえ語学教師である。歴史家としての実績は乏しい。当該の弥助に関する著述を学者として記したのであれば大いに問題があるが小説であることを前提としていればここまで大きな問題にはならなかったであろう。憶測と空想に裏付けはない。トーマスロックリー氏は自身の未発表の論文や弥助に関する著書を引用先としてWikipediaなどの編集を自分で行ったことが問題をこじらせた。弥助に関するWikipedia情報をトーマスロックリー氏が作成し、情報の根拠とする引用先を自身の未発表論文や自身の著作とし、アリバイ工作を行った。フィクションを裏付けるのはフィクションしかない。トーマスロックリー氏は約3年間にわたWikipediaの弥助に関しての情報を独占することで自書の内容を正当化しようとした。もしこのような行為がバレずに史実化することが可能なら歴史の改ざんは容易に為せることということになる。当然、隠し切れずにトーマスロックリー氏の行為は発覚し非難を浴びている。

連載•小説

2025.04.05

偽善、情報操作に満ち溢れる「エコ」問題
偽善、情報操作に満ち溢れる「エコ」問題

ああ、お前もか、ウソ、偽善、欺瞞、何でもあり。エコ、環境を声高に言う者の〝正体〟や如何に (写真 マクドナルドの紙ストロー)  「エコ」「環境問題」にはウソ、大げさが多い。地球温暖化の象徴は「自分より少し大きな氷片に乗って流されるホッキョクグマ」だが、これは真っ赤なウソ写真だ。トランプ大統領が紙ストロー使用を廃止する大統領令を出して話題になった。これを「理解に苦しむ環境破壊」と切って捨てることは簡単だが「脱プラ・脱炭素が抱える矛盾」を炙り出したといえる。紙ストロー使用の象徴が、鼻にプラスチックのストローが刺さったウミガメの写真だ。近年、海洋プラスチックごみの問題が地球規模で深刻化している。なかでも5㍉以下の微細なマイクロプラスチックは、海流に乗って世界中の海に拡散し、海洋生物のみならず、人体にも悪影響をもたらすことが懸念されている。プラスチックごみだけではない。化粧品なども超微細なマイクロプラスチックとなって下水から海に流れ込み、海洋生物の胃から我々の血管内まで侵入する。トランプ氏の「紙ストロー廃止」を「それは違う」というほど事は単純ではない。脱プラにも表と裏がある。ストローやレジ袋について脱プラスチックを目指すのはいいが、小売流通業界が、脱炭素で排出量を50%削減するのであればレジ袋有料化より、精肉や鮮魚のトレイや総菜弁当の容器など過剰な包装の廃止による脱プラを進めていかなければ目標に届かない。こっちが本筋であることは誰もが分かっているが、誰も言わないし廃止に動かない。  悪だくみはこれに留まらない。比較的高価な商品に多い過剰包装は、インフレ経済下ではステルス値上げに役立っている。中にトレイを敷き、商品を1つずつ包む。だから中身だけを吟味すると半分くらいになってしまう。つまりステルス値上げを優先したい企業としては、脱プラは後回しというわけだ。政府もレジ袋有料運動以降は、過剰包装問題には言及していない。シンボリックにレジ袋やストローのように目立つところで、マイバッグ化や紙ストロー化を推進して産業界はSDGsのやったふりをしているのだ。現在、紙ストローには消費者から使いにくいという声が上がって、以後課題解決のためにバイオマスストローへの転換が提唱されているものの紙ストローがバイオマスストローへ置き換わったところで脱炭素はほとんど進まない。問題点を絞ると日本だけでなく世界中で「情報がおかしいこと」だ。例えば、太陽光発電は自然にいいという情報があれば、太陽光パネルが阿蘇山の景観や環境を破壊しているという情報もある。EV化を進めるべきだという情報でもEV化は欧州の自動車会社の陰謀で、その野望はすでに破たんしているという情報も流れる。脱炭素に関しては、グローバルな石油業界では何十年も昔からロビイストが暗躍し、怪情報が飛び交う世界であることは少なからず常識となっている。例えば、AI推進により日本だけでなく全世界でデータセンターの建設が進んでおり、予測では2040年頃には電力需要は現在の何倍にも跳ね上がると予測される。そこでは脱炭素と逆行する電力需要大幅増が、気候変動を憂うる人たちを逆上させる。同じように2020年10月に菅義偉首相(当時)が「2050年カーボン実質ゼロ宣言」を提唱し、これを受けて、日本の産業界は、30年代にもガソリン&ディーゼル車の販売を禁止する方針を決めたことで、燃料電池車など「水素社会」に注目が集まっている。しかしひと口に水素といっても「環境に良い水素」と「悪い水素」がある。悪い水素の場合大量の電力が要る。良い水素だけでは需要は賄いきれない。問題解決に至るにはあまりにも多くの困難が横たわっている。    

社会•事件

2025.04.05

異物混入が相次ぎ全店閉鎖のすき家に「陰謀論」まで浮上
異物混入が相次ぎ全店閉鎖のすき家に「陰謀論」まで浮上

お前らはどこから来たのか?ネズミ、ゴキブリ 陰謀論も渦巻く (写真 Rocketnews24.より引用)  前代未聞の全店閉店。今年1月、味噌汁へのネズミの混入事案があった大手牛丼チェーンの「すき家」が、3月31日午前9時から4月4日午前9時まで、全国約1900店舗すべての店舗の営業を取りやめると発表した(一部例外もあり)。  思い出すのは、2016年、指入りラーメンが客に提供された「幸楽苑事案」や古くは昭和53年の「手首ラーメン」を思い出した人も多いだろう。だがこの2件は指の微細な一部や手首を鍋の中に入れただけで、ネズミが丸々入っていたとの今回の事案はにわかには信じがたい。ネズミの混入事案の公表まで約2カ月の空白期間があったが、ネット上で“ネズミ入り味噌汁”の画像が出回り、大騒ぎとなった後にその事実を認めるという消費者からすれば悪印象を持たれたのも事実だ。そんな中、3月にはテイクアウト商品にゴキブリの一部が混入していたことも判明した。相次ぐ異物混入事案の発生に、すき家側としてももはや穏便に済ますことを諦め、全店閉鎖に至ったのだろう。だが、すき家での従業経験者はネズミ混入に疑問を呈する。 ≪味噌汁用のお椀のひとつにネズミが入っていたとしていますが、味噌汁作りのオペレーションを考えると、多少ぼんやりしていようがさすがに気づくはずです≫ ≪お椀の内側の面積が10だとすると、具材は1くらいなので、あんなに大きなネズミが紛れ込んだら持ったときにすぐ気づくはずです。また、味噌汁は80度を超える熱さなので、お椀に注ぐときは、やけどしないように手元を見ます≫ ネズミ味噌汁の画像を見た人は、≪日本人が味噌汁を飲む場合には普通は箸を使うが、ネズミ味噌汁はスプーンを使っている。見つけた人は日本人では無いのでは≫とも。  一部では株価の下落を意図的に狙った某勢力の仕業ではないかとの指摘もある。  そもそもすき家を傘下に持つ「ゼンショーHD」は、「はま寿司」や「なか卯」「華屋与兵衛」「ジョリーパスタ」など様々な飲食チェーンを展開しており、グループ全体の売上高は9657億7800万円(2024年3月末)で1兆円を射程内にしており、すき家の売上高比は27.5%と全体の4分の1にすぎない。それだけにグループ全体ということで考えると、今回のネズミ事案が与える影響は軽微だと市場は見ており、株価下落も一時のことで、それも軽微だった。また、すき家が国産米しか用いないことをウリにしていることから、海外勢力からターゲットにされ、異物混入も株価の下落からの企業買収・乗っ取りを狙うがための人為的なものではないかという陰謀論がネット上で盛んに飛び交った。  これも現状の株価の推移をみる限り、陰謀の首謀者の影は見えないが、果たしてネズミやゴキブリはどこからやってきたのか。  

社会•事件

2025.04.04

新連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』②
新連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』②

『グッバイ原稿用紙』  この原稿は400字である。つまり原稿用紙1枚分だ。俺はこれをパソコンで書いているのだが、一昔前までは原稿用紙を使っていたせいか、一体、今どれくらい進んでいるのか非常に分かりにくい。一応、左下に文字カウント表示はあるが、これは現状、何文字書いたのかが分かるだけである。  俺としては残りの文字数が一目瞭然の原稿用紙の方がイメージを掴みやすい。きっと俺は最後の原稿用紙世代なのだろう、未だにパソコンに慣れない。  初めて原稿用紙を使った少年時代、遠足の作文1枚書く時に、まだ右側しか書けてないから残りを絵で描いたらイメージが湧いて、結果、文章が浮かび上がって来たこともあった。アナログのいい所である。原稿用紙の需要が減った今、博物館などにある作家の生原稿の展示もなくなるのだろうか。  もしかしたら未来の博物館には、「みなさん、これがかの有名な村上・・・」と、人気作家のUSBメモリが沢山並べられているのかもしれない。

連載•小説

2025.04.04

短期集中連載 現役国会議員秘書 世良 直のヒストリカルスクープ!黒人侍「弥助」は実在したのか その3  ゲーム「アサシンクリードシャドウズ」による杜撰な歴史考証
短期集中連載 現役国会議員秘書 世良 直のヒストリカルスクープ!黒人侍「弥助」は実在したのか その3  ゲーム「アサシンクリードシャドウズ」による杜撰な歴史考証

トーマスロックリー氏の著書は壮大なファンタジー  弥助に関する歴史的資料が非常に少ないことから俄然注目されるようになったのが、トーマスロックリー氏の著作「信長と弥助、本能寺を生き延びた黒人侍」(太田出版)である。この著書に著わすほどの弥助に関する史実は無い。上記に記した歴史的資料に残された情報以外は壮大なファンタジーである。トーマスロックリー氏も推測や憶測、希望的観測であることを隠しはしないが、問題は時代考証がハチャメチャであること。例えば、「地元の名士の間ではキリスト教徒であろうとなかろうと、権威の象徴としてアフリカ人奴隷を使うという流行が始まったようだ。」“ようだ”と付せば何を書いても良いというわけではない。フィクションは歴史的資料が僅かしか残されていない弥助に関する推測であって背景となる時代考証は確かなものだと受け止める読者も少なくないだろう。弥助は扶持を与えられていたことが資料に記されていることから奴隷ではないだろう。黒人を雇う日本の名士はいたが日本国内でアフリカ人奴隷を使うことが流行ったという史実は残されていないはずである。ルシオ・デ・ソウザ & 岡美穂子「奴隷たちの世界史」によると「航海王子」の名で知られるアヴィス朝のエンリケ王子(1394~1460年)の指揮下でポルトガルは本格的に海外進出に乗り出します。16世紀以降、新大陸の金鉱脈発見などにより金の価値が下落し始めると、奴隷が主要な貿易商品となっていきます。ポルトガル人たちはサブサハラ諸王国間の戦闘で発生する捕虜やムスリム商人との取引で、無尽蔵に奴隷を入手することができていました。アフリカ人奴隷を確保し奴隷貿易を本格化させたのはポルトガル人である。17世紀にはいるまでは奴隷貿易はポルトガル人の独占状態であった。同著では日本で布教活動を始めていたイエズス会は、ポルトガル人の貿易活動全般に関わり、16世紀末までは決して積極的とはいえないまでも、人身売買にも関与していました。ポルトガル人が日本で購入してよいのは「合法の奴隷」のみとされており、その合法性を証明する「セデュラ」と呼ばれる保証書を発行するのはイエズス会宣教師の仕事であったからです。と記されている。大航海時代の寵児であるポルトガル人は日本人を奴隷として世界各国に輸出していた。ポルトガル人の奴隷貿易はインド人に始まりアフリカ人、アジア人にまでラインナップを拡大していった。では、日本国内でアフリカ人奴隷が流行したのか。トーマスロックリー氏の著書にある「イエズス会は清貧の誓いを立てて奴隷制に反対しており、通常はアフリカ人を伴うことはなかった」は相当違う。イエズス会は岡美穂子氏も指摘しているが国籍を問わない下人を伴っている。そして、ポルトガル人は奴隷貿易に立役者であり、イエズス会は日本人奴隷を世界に輸出する供給側の既得権益者である。イエズス会はトーマスロックリー氏の著述とは真逆の存在と察する。8世紀半ばくらいまで日本にも官奴婢・私奴婢が存在していたのは事実。日本に差別階級が存在したのも事実。渡来人が奴隷を連れていたことがあるのも事実。だが、弥助が黒人奴隷の流行の発端になったかどうかは資料が残っていないのだから誰も知らないはず。そういう意味でトーマスロックリー氏の記述は不確定なものと言える。  トーマスロックリー氏の「信長と弥助」(※写真)には以下のような出版社による紹介文が記され ている。  1582年、本能寺。織田信長の側近のなかに、特異な容貌でひときわ眼を惹く男がいた。その男こそ、日本史上初とされる黒人侍、弥助だった。信長の切腹後、弥助は危険をかえりみず、嫡男の信忠のもとへと走る。彼を駆り立てたのは、自分を信頼し、侍へと取り立てた信長への忠義心だった……。国内のみならず海外でも注目を集める異色の黒人侍、弥助。その知られざる生い立ちから来日にいたる経緯、信長との出会いと寵愛、本能寺後の足取りまで、詳細に踏み込んだ歴史ノンフィクション。弥助に関する情報はほとんど残されていない。新しい歴史的資料が発見されない限り弥助の生い立ちや来日の経緯など知りようもない。ノンフィクションとすることには偽りがある。本文の中にも推測と銘打っているように内容はフィクションに過ぎない。英語版であるYasuke: The true story of the legendary African Samuraiも誇大したタイトルをつけていて問題がある。「伝説のアフリカ人侍の実話」と解せるがこちらもその内容はフィクションに他ならない。「信長と弥助」とはタイトルも内容も違うことから別物の作品であろうが、いずれにせよ弥助に関する多くの史実は残されていない。

連載•小説

2025.04.04

米国から掃き出される不法移民、だが中国人はなぜか残る
米国から掃き出される不法移民、だが中国人はなぜか残る

えっ!不法移民の強制送還に中国人はいない!?どうして? (写真 難民研究フォーラムより)  米国土安全保障省は、トランプ米大統領が1月の就任から1カ月で3万7660人の不法移民を強制送還したと発表した。バイデン前政権の最終年の月平均である5万7000人を大きく下回るが、トランプ政権の高官や専門家は、トランプ大統領は不法移民の取り締まり強化に向けた新たな手段を講じつつあると語っていたが、実際3月22日までの強制送還のチャーター便は計175便に達した。グアテマラへ60便、ホンジュラスへ54便、メキシコへ31便、エルサルバドルへ25便、そしてインドへ5便だ。それでも不法移民はあと数百万もいる。とりあえず受けいれ先のない不法移民はグアンタナモ基地に収容されている。  不思議なのは中国から押し寄せている不法移民が強制送還されていないことだ。ほかに送還されていない国に、ベネズエラとウクライナがあるが、ベネズエラは受け入りを拒否しているし、ウクライナは人道的立場から送還は難しく世論も支持しないから理由は明白だ。が、中国人の不法移民を過去に280人だけ強制送還したが、少ないのはなぜか。政治亡命を申請すれば審査が長引くという盲点を付いて、弁護士を立てて入国の合法化を図る知恵者が多いことが1つ。280人の送還後に中国が受けいれを拒絶していることも理由にある。インド人の強制送還の航空便は5便ほどで、米国内にはまだ50万人ほどの不法入国者がいるが、彼らは米国内では凶悪犯罪とは無縁なので、最終的にどうするかは不明であるらしい。    

社会•事件

2025.04.03

経費使い過ぎ…朋誠堂喜三二が担った江戸留守居役とは
経費使い過ぎ…朋誠堂喜三二が担った江戸留守居役とは

 朋誠堂喜三二とは旧知の仲良しで、黄表紙の走り『金々先生栄花夢』を著した恋川春町もまた、後に執筆活動を再開し蔦重を支えた売れっ子作家のひとりだった。本名は倉橋格(いたる)。紀州徳川家御付家老の安藤帯刀の次男であり、後に駿河小島藩(現静岡県静岡市清水区)滝脇松平家の家臣団のトップとなる。   藩政の中核を担いつつ戯作のほか浮世絵師としても活躍。洒落本や滑稽本の挿絵も手掛けている。喜三二の著作に提供した挿絵も多い。しかし田沼意次が失脚し松平定信が実権を握る世となったとき、悲劇的な結末を迎えてしまう。   江戸の悪所・歌舞伎と吉原は、地位こそ低かったがそこに身分を越えた様々な文化人が出入りし、江戸文化を産む土壌となった。喜三二はその典型だったが、同時に江戸留守居役という役職も一つのポイントだった。   江戸留守居役は御城使とも言われ、参勤交代で藩主が国元にいる間に藩の江戸屋敷に常駐し、幕府や他藩との折衝を始め様々な情報取集を行う役回り。言わば外交官であり、各藩の留守居役が集まって公認の組合を作り、他藩との横の連携も持っていた。   情報収集には飲み食いが付いて回る。留守居役は料亭通い、吉原通いが半ば職務になり、歯止めが利かなくなりがちだった。中には藩主よりも豪勢な生活を送る留守居役もおり、接待費の使い過ぎがどの藩でもしばしば問題視されていたという。   喜三二は、恐らくそれをよいことに吉原に通い詰め、吉原での通の遊び方や滑稽を綴った洒落本のヒット作も数多く残した。趣味と実益を兼ねた、何ともうらやましい話ではある。(つづく)    

連載•小説

2025.04.03

短期集中連載 現役国会議員秘書 世良 直のヒストリカルスクープ!黒人侍「弥助」は実在したのか その2  ゲーム「アサシンクリードシャドウズ」による杜撰な歴史考証
短期集中連載 現役国会議員秘書 世良 直のヒストリカルスクープ!黒人侍「弥助」は実在したのか その2  ゲーム「アサシンクリードシャドウズ」による杜撰な歴史考証

 弥助に関する情報は多くない。現存する歴史的資料としては信長公記、家忠日記、LuisFroisによる1581年イエズス会日本年報、Lorenzo Mesiaによる1581年イエズス会日本年報、Luis Froisによる1582年イエズス会日本年報だけしか残されていない。それぞれの記載内容を確認する。  信長公記(太田牛一写)「二月廿三日きりしたん国より黒坊主参り候年之齢廿六七と見えたり、惣之身の黒き事牛之如彼男健スクやかに器量也爾シカも強力十之人に勝スグレたり」→キリストの国から黒い男が来た。歳は26歳か27歳に見える。がっちりした体形で牛のようだった。健康そうで体格がよく、しかも力持ちであった。信長公記(尊経閣本)「然に彼黒坊被成御扶持、名をハ号弥助と、さや巻之のし付幷私宅等迄被仰付、依時御道具なともたさせられ候」→弥助と名付けられて、給料が払われていて、装飾をされた短刀と家を与えられ、時々道具持ちなどを仰せつかていた。  Luis Froisによる1581年イエズス会日本年報→復活祭に続く月曜日、信長は都にいたが、多数の人々がカザの前に集まって黒奴を見ようとしたため、すごい騒ぎになって投石の為にけが人が出て、死にそうになった者もいた。多くの人が門を警備していたにもかかわらず破壊されるのを防ぐのは困難だった。もし金儲けの為に黒奴を見世物にしたら短期間で8千から1万クルザードを稼ぐのは容易だろう。信長も黒奴をみたいというのでバードレオルガンティーノが連れて行った。大変な騒ぎの中、黒奴の肌の色が自然であって人工ではないことを信用せず、帯から上の着物を脱がせた。信長は子息を呼んだがみんなとても喜んだ。大阪の司令官である信長の甥もこれを見て非常に喜び銭一万を与えた。  Lorenzo Mesiaによる1581年イエズス会日本年報→黒人を一人同伴していたが見たことがなかったので都では多くの人が見に来た。信長も見たことがなかったので墨を塗ったものではないことを容易に信じなかった。何度も見て少し日本語を話せたのでたっぷり会話した。力持ちで芸が少しできたので信長は喜び護衛をつけて市内を巡らせた。彼を殿にするようだという声もあった。家忠日記「十九日、丁未、雨降、上様御ふち候、大うす進上申候、くろ男御つれ候、身ハすみノコトク、タケハ六尺二分、名ハ弥助ト云」→19日の雨の降る昼下がりに上様のお付の者がやってきた。連れてきた黒い男は身長188cmで名前は弥助という。  Luis Froisによる1582年イエズス会日本年報→「ビジタドールが信長に贈った黒奴が、信長の死後世子の邸に赴き、相当長い間戦ってゐたところ、明智の家臣が彼に近づいて、恐るることなくその刀を差出せと言ったのでこれを渡した。家臣に弥助をどう処分するかを聞かれた光秀は、『黒奴は動物で何も知らず、また日本人でもない故、これを殺さず』として、南蛮寺と命じた」以上が弥助に関する資料のすべてである。上記にないものはすべて憶測と言って良いと考える。

社会•事件

2025.04.03

短期集中連載 現役国会議員秘書 世良 直のヒストリカルスクープ!黒人侍「弥助」は実在したのか その1  ゲーム「アサシンクリードシャドウズ」による杜撰な歴史考証
短期集中連載 現役国会議員秘書 世良 直のヒストリカルスクープ!黒人侍「弥助」は実在したのか その1  ゲーム「アサシンクリードシャドウズ」による杜撰な歴史考証

アサシンクリードシャドウズというゲームソフトがことの発端  初めにお伝えしておくが私は歴史家でも歴史愛好家でもない。ゲームもパックマンやドンキーコング以来ほとんど嗜んだことがない。少年時代も青年時代もボードゲームやカードで遊ぶ程度で日常は野球やボクシングに打ち込んでいた。私には流行りのテレビゲームが入り込む余地はなかった。どうやら最近ではコンピューターゲームなどの腕を競うeスポーツが生まれ国際大会も開かれるようになっているという。IOCはeスポーツに触手を伸ばし将来のオリンピック正式競技入りを検討するに至っている。コンピューター機材の前に座ってスポーツ競技を仮想空間で競うなんて私にはSF的に思えて時代の変遷を感じてしまう。そうした中で今年11月に発売予定のフランスのUBIsoft社が手掛けるアサシンクリードシャドウズというゲームソフトに端を発して日本のみならず海外を巻き込んだ熾烈な論争が起きている。ピクシブ百科事典によると問題の概要は以下のようにある。    『アサシンクリード』とは、UBISoft(以下「UBI」)によるアサシン(暗殺者)を主役とした潜入アクションゲームシリーズである。シリーズを重ねるごとに様々な時代や地域が題材に選ばれ、2024年11月15日発売予定の『アサシンクリードシャドウズ』では初めて日本が舞台になることが発表された。  しかし、主人公のひとりが日本人ではなく黒人の「弥助」であったこと、またゲームPVに明らかに不自然な日本要素が散見されたことで不満を抱いた多くのユーザーによって炎上騒ぎとなる。……だがこれはほんの切掛けにすぎなかった。ゲームの詳細や様々な事情が明らかになるにつれ、炎上要素が山と積みあがっていき、もはやアサシンクリードシャドウズというゲームや開発元のUBIを飛び越え、世界的なポリコレバイアスや特定人物による歴史の捏造まで議題に上がるとんでもない騒ぎが持ち上がったのである。  今回、ゲームソフト内における外国人にありがちな間違いや誤解を論うことはしない。それは他者にお任せする。本来、民間事業者が開発販売するゲームソフトの内容についてその是非を問う必要などないし、表現の自由は憲法で保障された権利である。日本でもフランスでもその権利は保障されている。併せて検閲も禁止されていることからよほどのことがない限り表現の自由が制限されることは無い。ゲームはゲームとして自由に表現しコンテンツを構成すればよい。アサシンクリードシリーズについてUBIは"Inspired byhistorical events and characters. This work of fiction was designed, developed andproduced by a multicultural team of various religious faiths andbeliefs"としてあくまで歴史フィクション作品という扱いである。一方、アサシンクリードシャドウズのゲームディレクターを務めるCharles Benoit 氏はXboxのインタビュー記事で“We’re showing realhistorical figures, such as Oda Nobunaga and a lot of events that happened during thattime,”と答えている。これを多くの批判的な立場にある人物が「実在した歴史上の人物や当時の出来事を忠実に描いている」と訳すことで「歴史に忠実に描いていない」ということを非難することに繋がっているのだろう。だが、インタビューの原文には「忠実に描いている」というフレーズは見当たらない。よって、UBIはフィクションをフィクションとして描くことを明らかにしており、そこに齟齬は見当たらない。ではなぜアサシンクリードシャドウズに多くの批判が集まるのか。それはいい加減な歴史考証や既存著作物の無断盗用が発覚したことによる。「関ヶ原鉄砲隊」(任意団体)の画像や「相馬野馬追」の画像など無数の画像盗用が確認されている。桜の時期にコメの豊作を喜ぶという季節感の錯誤。スタッフインタビューでの「日本では斬首は珍しい光景ではなかった」という誤認。  日本語吹替版のトレイラーに中国語の字幕を表示するミス。二条城障壁画を無断で模写し改変して使用。営利目的使用を禁じている東大寺大仏殿の八角燈籠を無断使用。神社で線香を焚いている。上座と下座の概念がない。弥助の幟に豊臣の家紋を使用。甲冑に記された織田家の家紋が上下逆。関ヶ原鉄砲隊の画像のアートブックでの使用許可を得たという発表が虚偽であったことが判明。次から次へアサシンクリードシャドウズに関する不始末が発覚し炎上が拡大していった。そして、最も問題とされるのが主人公の一人である黒人の「弥助」についてである。UBI公式は弥助を「圧制者から日本を救う伝説の侍」と誇張表現している。フィクションだから受け流すが、圧制者とは誰を指しているのか。理解しがたい弥助の紹介が「弥助の正体」へと多くの人が関心を移すこととなる。(つづく)

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2025.04.02

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