2025/06/11
戦後80年――。戦争の惨禍を継承する重要な機会ともいえるだろう。第二次世界大戦で父親を亡くした遺族らが戦地の海域を訪れて船から弔う「洋上慰霊」が、6月1日から11日まで行われている。神戸港を出航後、フィリピン沖などを巡る11日間の航路で、日本遺族会が9年ぶりに主催し、今回が最後の実施となっている。戦後に遺骨が見つからず、海に眠る日本人戦没者は約30万人とされ、参加している約220人の遺族らは亡き父らに思いをはせている。
▼2011年と2016年に続き3度目
洋上慰霊は、日本遺族会が国から委託されて主催している、激戦地を訪ねて戦没者を追悼する「慰霊友好親善事業」の一環。これまでに2011年と16年に行われ、それぞれ300人以上が参加してきた。
遺族の高齢化に伴う参加者の減少で、最後の開催となった今回は、全国から約220人の遺族が参加。1日に神戸港から旅路についた。
関係者によると、参加者の中には戦後80年の節目で初めて参加を決めた人や。10歳代となる戦没者のひ孫が参加する家族もいるといい、戦艦の「大和」などの沈没地点や南西諸島沖なども巡り、11日に神戸港に戻るスケジュールとなっている。
▼戦後80年
厚生労働省によると、硫黄島と沖縄を含む海外で戦死した日本人は約240万人に上る。
政府は遺骨収集事業を継続しているが、現在も半数弱の約112万人の遺骨は見つかっていない。海で亡くなったとされる30万人については、現実的に収集活動が不可能となっているだけに、今回の最後の洋上慰霊にかかる期待は大きい。
参加する遺族らは「戦争はまだ終わっていない。海で眠る父親の言霊を迎えに行きたい」「父の最後を目に焼き付けたい」と意気込んでおり、心から追悼できる貴重な機会となっているようだ。
戦後80年という節目ながら、皮肉にも最後の開催となってしまった洋上慰霊。遠い異国の地で亡くなった戦没者に対し、船上から弔う遺族らの思いが届くことを祈るばかりだ。
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