2025/07/09
金融庁に出向中の裁判官や東京証券取引所の職員らによる信じられないインサイダー事件が相次ぐ中、顧客情報を悪用した大手金融機関の元部長(54)にも有罪判決が下された。東京地方裁判所は7月4日、業務で知った顧客情報を基にインサイダー取引を行ったとして、三井住友信託銀行元部長の片山肇被告に対し、懲役2年、執行猶予4年、罰金200万円、追徴金約6140万円の有罪判決を言い渡した。
判決などによると、片山被告は2022年12月~2024年8月、顧客企業のTOB(株式公開買い付け)情報の管理などを担当する部署で次長や部長に就いていたが、業務で把握した3件のTOB情報について、公表前に計2万5900株(約3210万円)を買い付けた。不正に買い付けた株を公表後に売り抜け、約2930万円の利益を得たとされる。
片山被告は裁判を通じ、「老後資金を貯蓄したかった」などと不正の動機を述べたが、東京地裁は「銀行幹部の立場を悪用して自らの利益を追求し、史上の公正性や健全性を損なった」と糾弾した。
■金融機関が失う大きな社会的信頼
金融機関は顧客の財産を管理・運用するため、高いコンプライアンス意識が求められるが、顧客の資金を着服するといった業務上横領事件は後を絶たない。もちろん、業務上横領も重大な罪であり、金融機関が行員らの犯罪によって失う社会的信頼は小さくないだろう。
ただ、今回のように金融機関の幹部によるインサイダー事件は異例で、事件を通じて三井住友グループが失った社会的信頼、受けたダメージは相当でかいはずだ。
単なるイチ若手行員による「魔が差した」といった犯罪ではなく、幹部職員による用意周到な計画犯罪で、長期間にわたり見逃してきた銀行側の責任も重いといえる。
三井住友グループは、再発防止策はもちろん、顧客や社会の信頼回復に向け、抜本的な組織改革が必要になるだろう。
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