2025/07/08
国が2013~15年に生活保護費を大幅に引き下げたのは違法だと認め、減額処分を取り
消した先月27日の最高裁判決を巡り、原告側と国側のせめぎ合いが続いている。最高裁は「
引き下げの判断の過程や手続きに過誤、欠落があった」として、減額処分を決める「過程」に瑕疵があったと判断したにすぎず、適正な基準額や3年間で減額された約670億円を遡って支給すべきといった点については言及していない。一方、受給者ら原告や弁護団は「遡って全額を支給すべき」などと主張しているが、現時点では最高裁判決の趣旨を「拡大解釈」する形で訴えているようにうつる。迅速な議論と根本的な解決に向け、弁護団の冷静な対応が求められそうだ。
■厚労省が専門家の会議体設置へ
一連の生活保護訴訟を巡り、最高裁が初めて「違法」との統一判断を示したことを受け、生活保
護を所管する厚生労働省の福岡大臣は7月1日、今後の対応のあり方を検討するため、専門家で
審議する会議体を設置する意向を示した。
国が原告を含む全ての生活保護受給者に減額分を支払うかや、そもそも適正といえる基準額が
どの程度になるかなどを見極めるため、まずは専門家で議論してもらおうという狙いだ。
最高裁判決は、違法とした減額処分について、専門家らによる適正な審議が尽くされていない
点などを重視。減額処分を決める過程や手続きに問題があったと結論付けているため、「専門家で会議」という厚労省の意図は合理的であり、原告側にも一定程度は配慮した対応ともいえるだろう。
■原告弁護団は役所批判に注力
だが、原告弁護団らは最高裁判決が出て以降、ひたすら国の批判に注力している。「石破首相
や厚労大臣が謝罪もしていないのに、いきなり原告にも伝えずに専門家で会議を開いて検討するというのはあまりに酷い」などと国の動向に憤りを隠さず、各地で会見を開くなどし、ひたすらに「役所批判」に励んでいるのだ。
大事なのは、専門家で審議する会議体が早期に設置され、速やかに当時の基準についての議
論が進み、適正な基準額が決まることなのは言うまでもない。
弁護団が厚労省を批判すればするほど、担当幹部らはその対応に追われ、専門家の会議体の
運営にも支障が出かねない。迅速な見直しにつながれば、生活保護受給者にとってもメリットは大きいはずだ。原告弁護団は、最高裁判断を法律家として正確に受け止め、冷静な対応を取ることが必要だろう。
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