社会•事件 離島防衛へ本腰ならぬまだ“中腰”か
離島防衛へ本腰ならぬまだ“中腰”か
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2025/07/05

  離島とくに南西諸島の有事を想定し、迅速に部隊、車両、物資を運ぶ「自衛隊海上輸送群」が発足した。陸海空3自衛隊による共同輸送作戦は、先の統合作戦司令部が発足したのに伴う離島防衛の政府の“本腰”が試されている。

何より部隊や装備品を運ぶ能力が不足している現状の改善を図るもので、2027年度までに計10隻体制をめざす。

 この「海上輸送群」の規模は、当初100人規模で、2隻の輸送艦を配備する。海上自衛隊の呉基地(広島県)に司令部を置き、阪神基地(兵庫県)も拠点にし、陸海空自衛隊の共同部隊として防衛相が直轄する。

新たな輸送艦の配備者は、陸自隊員が大半を占め、当面は海自隊員が艦長を務めるという構成になりそうだ。南西諸島間の輸送任務に当たる場合を想定している関係上、砂浜に直接乗り付けることもできる。まさに迅速な展開が可能となる。

周囲を海で囲まれたわが国は、海岸線が長い特性が弱点になる。先の大戦では長い補給線を断たれ、米軍の周辺離島を拠点とした空爆の猛攻で敗戦につながった。専守防衛といっても、いかに前線が孤立せずに防衛できるかが大きなカギとなる。

現在の戦闘状況をみると、長射程のミサイルや無人機などの主力化に伴い、前線も後方もないグレーゾーンと化している。とはいえ、敵の侵攻を抑止していく上で兵員、物資の補給支援の重要性は変わらない。

今回の陸海空共同の海上輸送部隊は、その意味で本土と一体となった防衛ラインの構築となる。いわばこれまで「点」として存在した部隊が「線」で繋がり、さらにはプレゼンスが強化されて「面」としての機能拡大が期待される。

ウクライナ戦争の教訓、そしてトランプ米政権の欧州や日本への防衛予算の大幅拡大の要求などは、いかに軍事衝突を避け、有事を抑止するかを焦点とするが、日米同盟はあるものの「自国の防衛は自国で」という本来の原則に基づき布石を打つ努力を怠ってはならない。

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