2025/08/23
警察による「見立て捜査」が信じられない重大な冤罪を引き起こしたといえるだろう。
精密機械製造会社「大川原化工機」の社長ら3人が不当に逮捕・起訴された事件で、警視庁は捜査を担当した当時の公安部幹部ら19人を処分した。「逮捕ありき」で当初の見立てに沿った捜査に固執し、冤罪を引き起こした警察当局の責任は極めて重い。冤罪防止に向け、組織改革は急務だ。
▼見立て捜査で暴走
この事件では、社長らは2020年、軍事転用できる機械を中国など海外に不正輸出した疑いで警視庁公安部に逮捕された。逮捕にいたるまでに、警視庁は社長に対して任意の事情聴取を40回は行い、輸出規制を担当する経済産業省からは省令の解釈に疑義を呈する資料も共有されていたが、警視庁は見立て捜査を突っ走り、前代未聞の冤罪を引き起こしたのだ。
取り調べのあり方も問題だった。社長らの否認した供述を調書に記さず、逆に容疑を認めたかのような内容に誘導しており、言語道断だ。
現場の捜査員だけではなく、捜査の状況を把握せずに現場任せにしていた幹部らの責任も重い。
経済安全保障の観点から、技術の海外流出を防ぐことは重要さを増している。不正輸出といった犯罪の疑いがあれば、捜査に乗り出すのは当然だが、今回の事件では捜査が尽くされたとは到底いえない。ただ「逮捕ありき」で暴走したともいえ、警察にとっては史上最大級の不祥事だ。
大きな不正輸出事件を摘発したいという功名心が暴走を引き起こしたのではないだろうか。逮捕された3人は1年近く勾留され、1人は裁判で無罪を勝ち取るまで生きられず、被告の立場の病死してしまった。任意踏査に協力し続けた社長らを逮捕する必要があったかも疑問だ。
冤罪を受け、警視庁は、公安捜査の法令解釈や証拠収集をチェックする部署を新設することを決めているが、適切な運用が求められる。冤罪で無実の善良な市民が逮捕され、人生を無駄にするようなことは絶対に起きてはならない。
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