政治•経済 社会•事件 三菱商事「洋上風力発電」事業が風前の灯火
三菱商事「洋上風力発電」事業が風前の灯火
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2025/06/23

 ロシアによるウクライナ侵攻は、世界のエネルギー価格を引き上げている。特に再生可能エネルギー(再エネ)による発電は、インフレの大きな影響を受け、大きくなった初期投資額が運転期間中の発電コストを決めるだけに、発電コストの上昇も避けられないところまで追い込まれている。

再エネ発電事業の中でもっとも大量の鉱物、資材を利用する洋上風力は、事業開始前に約束した電気の売り渡し価格では赤字になるので、事業者は20年を超える期間中、赤字を続けるよりも、違約金を支払ってでも事業からの撤退を選択する事業者が相次いでいる。

欧州勢が先行し、中国と米国が追従した洋上風力を、日本も負けてはならぬと導入に乗り出したはいいが、早くも赤信号が灯った。

先陣を切って国内3地域で落札した三菱商事も事業の行き詰まりで、2月に洋上風力事業に係る522億円の損失を計上し、計画を見直すどころか、撤退の姿勢さえ見せている。

洋上風力発電の設備は、発電量当たり最も多くの重要金属を必要とし、セメントと鉄鋼の使用量も極めて大きい。

国際エネルギー機関(IEA)によると23年の世界の風力発電設備の利用率は、陸上風力36%、洋上風力41%だった。

火力発電設備(天然ガス)の利用率を60%、原子力設備の利用率を80%と想定した場合の、発電量100万KWh(電力量の単位)当たりの必要鉱物量は洋上風力がもっとも多くなる。

風力設備は大量のセメントと鉄鋼製品も必要とすると前述したが、同じ発電量を得るのに必要なセメントは天然ガス火力の10倍以上、鋼材は4倍以上だ。洋上風力は海中に建設される設備なのでさらに必要資材が多くなる。そのためリードタイムが長いこともあり、金利上昇の影響も大きく受ける。

加えて、これらの鉱物の多くは中国から供給されている。米地質調査所によると、24年の世界の銅生産に占める中国のシェアは33%、亜鉛のシェアは44%だ。

中国依存度が高いのは鉱物だけではない。世界の風力発電設備製造業者大手10社の内6社は中国メーカーだ。中国の風力発電設備メーカー大手6社だけで世界シェアの3分の2近くを占める。

三菱商事が最初の事業を落札したのは21年だった。中国がまだ洋上風力設備では覇権を持たない時期で、発電コストは下落を続けると想定されていた。その前提で、政府は洋上風力に賭けた。

 もはや時代は変わった。洋上風力のコストは、これから下がりはするだろうが、かつて想定していたレベルに達することはほぼないと言われる。

東京電力リニューアブルパワー(RP)の永澤昌社長は「三菱商事は落札した以上、責任ある事業者としてぜひ放り投げないでやってほしい」と悲痛な叫びを上げている。

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