2025/06/14
6月3日、韓国で実施された大統領選挙において、進歩派の李在明(イ・ジェミョン)氏が勝利
を収めた。この結果は、韓国の国内外の政治・経済情勢に大きな影響を与えると予想される。李
氏はこれまで一貫して進歩的な政策を掲げ、特に日本に対する批判的な姿勢を示してきたことで
知られている。しかし、現在の韓国を取り巻く安全保障環境や経済的課題、そして国内の政治的
バランスを考慮すると、李在明新大統領が過度な反日姿勢を貫くことは難しく、現実的かつ建設
的な対日外交が求められる状況にある。
李在明氏は、京畿道知事や城南市長としての実績を背景に、経済格差の是正や社会福祉の拡充
を訴え、幅広い支持を集めた。特に、若年層や中低所得層からの支持が厚く、進歩派の基盤を固
めた。しかし、選挙戦では保守派との熾烈な争いが繰り広げられ、李氏の過去の強硬な発言や政
策が議論の的となった。特に、歴史問題や対日関係をめぐる発言は、国内の保守層や中道派から
懸念の声が上がっていた。
李氏の勝利は、韓国社会の分断を反映している。進歩派は経済的平等や社会改革を求める声に
応える一方、保守派は安全保障や国際協力を重視する立場から、李氏の外交姿勢に注目している
。特に、若年層や中道派の有権者は、過度な対外批判やイデオロギー色の強い政策には冷ややか
な反応を示しており、李氏がどのように現実的な政策を打ち出すかが注目される。
現在の東アジア情勢は、韓国にとっても厳しい安全保障環境を突きつけている。中国の海洋進
出は南シナ海だけでなく、東シナ海や黄海においても顕著であり、韓国の海洋権益にも影響を及
ぼしている。また、台湾海峡をめぐる緊張は、米中対立の激化とともに地域の不安定要素となっ
ている。さらに、北朝鮮の核ミサイル開発は依然として解決の目途が立たず、最近では北朝鮮と
ロシアの軍事的接近が新たな脅威として浮上している。このような状況下で、韓国は単独で安全
保障を確保することは難しく、近隣国との協力が不可欠である。
特に、日本との関係は安全保障面で極めて重要である。日韓両国は、米国を共通の同盟国とす
る枠組みの中で、北朝鮮の脅威に対抗するための情報共有や軍事協力を行ってきた。2016年に締
結された日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)はその象徴であり、両国の安全保障協力の基盤
となっている。しかし、李氏の過去の反日的な発言や、歴史問題をめぐる強硬な姿勢は、日韓関
係に緊張をもたらす可能性は排除できない。
経済面でも、日本は韓国にとって重要なパートナーである。両国は半導体や自動車、電化製品
などの産業で競合しつつも、相互依存関係にある。経産省によると、日本にとって韓国は世界第3
位の輸出先であり、韓国にとって日本は世界第4位の輸出先であり、両国は経済的にも相互依存
関係にある。近年、韓国の若年層を中心に日本文化への関心が高まっており、K-POPや韓国ドラ
マが日本で人気を博する一方で、J-POPやアニメ、ファッションも韓国で広く受け入れられてい
る。このような文化交流は、両国の民間レベルでの結びつきを強化し、対日関係の改善に寄与し
ている。
李在明氏が大統領として直面する最大の課題は、理想主義的な進歩派の理念と、現実的な外交
政策のバランスを取ることである。過度な反日姿勢は、国内の支持基盤である進歩派の一部を満
足させるかもしれないが、若年層や中道派からの支持を失うリスクがある。また、国際社会での
韓国の立場を弱め、特に米国との同盟関係にも影響を与える可能性がある。米国は日韓の協力を
重視しており、両国の関係悪化は米国のアジア戦略にも悪影響を及ぼす。
李氏は、歴史問題や領土問題を完全に棚上げすることは難しいものの、過度な対立を避け、経
済や安全保障での協力を優先すると考えられる。例えば、北朝鮮のミサイル発射への対応では、
日韓の情報共有が不可欠であり、日韓GSOMIAの維持・強化が求められる。また、経済面では、
グローバルサプライチェーンの安定化や気候変動対策での協力も重要である。これらの分野で日
本との協力を深めることは、韓国の国益に直結する。
李在明新大統領の対日外交は、韓国の将来を左右する重要な要素である。過度な反日姿勢は国
内の分断を深め、国際的な孤立を招くリスクがある。一方で、現実的な対日協力は、韓国の安全
保障と経済的安定を強化し、若年層や中道派の支持を得るだろう。李氏が過去の発言をどのよう
に調整し、どのような外交政策を打ち出すのか、国内外の注目が集まる。日韓関係は、歴史的な
課題を抱えつつも、相互依存と協力の重要性が増している。両国が過去の対立を乗り越え、未来
志向の関係を構築できるかどうかは、李在明政権の外交手腕にかかっている。現実を見据えた柔
軟な姿勢が、韓国と日本の新たなパートナーシップを築く鍵となるだろう。
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