2025/07/30
協力者の善意で成り立つ献血事業において、前代未聞の不祥事だ。東京都赤十字血液センターで今年5月、冷凍庫の電源が落ちて保管中の血液製剤「新鮮凍結血漿(けっしょう)」(FFP)約1万3700本が使えなくなるトラブルが発生した。FFPは献血で集めた血液から作られる血液製剤で、血液凝固を助ける作用があり、患者の血液を固める「凝固因子」が不足した時などに使われる。冷凍庫の電源が落ちた原因は機器の故障によるようだが、これほど大量のFFPが使用不能になるのは極めて異例だ。福岡厚生労働大臣も閣議後記者会見で苦言を呈し、「献血者の善意による貴重な献血由来の血液製剤であり、日本赤十字社にはしっかりと再発防止策を講じることを強く要請した」としている。
▼国への報告は1か月後
トラブルの詳細は以下のような内容だ。
関係者などによると、5月11日夜、血液製剤を保管していた東京都赤十字血液センター辰巳供給出張所(江東区)で、冷凍庫の電源が落ちて警報が作動。通報で駆け付けた業者が修理して約4時間後に復旧した。だが、冷凍保管の基準温度(マイナス20度以下)を上回る状態が2時間以上続き、120~480ミリ・リットル容量のFFP計約1万3700本が使えなくなった。これらのFFPについて、同センターは廃棄せず、保管温度がより高い別の血液製剤の原料に転用するという。
担当した業者が工事の際にミスをしたことで、機器の故障を引き起こしたようだが、日本赤十字社が厚労省に事案を報告したのはトラブル発生から約1か月後。国から献血事業を認められた唯一の組織として、危機管理への対応が甘かったのは明らかだろう。福岡厚労相は「日赤内部で対応を検討していたため報告が遅れたと聞いている。速やかに報告するように日赤に強く要請した」と話している。
▼甚大な影響が必須
日赤側は、使用不能となったFFPの代替のFFPを全国の在庫から融通したため、「医療機関への納品に影響はなかった」と強調しているようだが、在庫から一気に1万3700本ものFFPがなくなったわけで、長期的スパンでみた場合の影響はかなり甚大だろう。
献血者の善意を無駄にしないためにも、日赤は原因究明と徹底的な再発防止策を講じることが不可欠だ。
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