2025/07/22
自民“圧敗”に終わった参議院選挙だが、日本の国防意識の低さは何ら争点にならなかった。日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しているにもかかわらず、自衛官の採用を巡っては、定員割れが常態化している現状は放置されたままだ。
人員不足解消に向けては、政府は昨年10月、関係閣僚会議を発足するなど自衛官の処遇改善に動きだしてはいる。
防衛白書によると23年度の採用数は8190人と目標に対して半分の51%の達成率と低迷。22年度と比べても、採用者数は約1900人減った。増加する中途退職者の影響も相まって、自衛官の定員約25万人のところ、実際の人員はその9割にとどまっている。
24年10月に発足した関係閣僚会議では、給与の引き上げや生活勤務環境の整備、再就職支援の強化などを検討し、25年度予算案に4097億円を計上した。
この中で注目されるのが自衛官の定年年齢だ。現在階級に応じて55~60歳に設定され、退官後の人生設計が難しいという課題がある。海外調査では、軍人が退職後に受けられる恩給制度が大きなモチベーションになっていることも判明しており、日本でも所得の不利益を軽減するため「国家補償年金制度(仮称)」を創設することが一部財団から提案されている。
若い自衛官の意識上の変化にも目を向けなければならない。「キャリア形成」という言葉が一般的になった現在、自衛官個人の能力を高め、「入って良かったと思われるキャリア支援」を提供できるかどうかが採用と離職防止の分かれ目になる。
自衛官の人員不足という危機的状を打開するため、「国民の国防意識の向上」が重要であることには変わりはないが、命を懸けて困難な職務に従事する自衛官へのリスペクトを社会全体で持ち、自衛官が誇りと名誉を持って勤務できる社会基盤を整備しなければならない。
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