社会•事件 急がれる厳罰化 川崎ストーカー殺害事件の教訓
急がれる厳罰化 川崎ストーカー殺害事件の教訓
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2025/09/25

元交際相手からのストーカー被害を訴えていた神奈川県川崎市に住む岡崎彩咲陽さん(20)が昨年12月に行方不明となり、今年4月に市内の住宅で遺体となって見つかった事件は、交際相手だった白井秀征被告(殺人罪などで起訴=27)が5月3日に逮捕された。だが、この事件をめぐる神奈川県警の対応には、事件発生当時から疑問の声が上がっていた。

 5月9日には県警が事件前後の対応を確認する検証チームを設置したが、9月4日になって、県警が岡崎さん側からの相談にストーカー事案として適切な初動対応をしなかったことを認め、「対処体制が形骸化し、組織的問題があった」と総括する検証報告書を公表した。

 報告書では、県警による過去の大失態であるオウム真理教事件の1つ坂本弁護士一家殺害事件をめぐる捜査のあり方と、今回の川崎の事件と比較しながらまとめている。

 坂本事件をめぐっても検証はなされているはずなのに、繰り返される同県警の“失態”の繰り返し。もはや組織として受け継がれるマイナス体質なのではないか。あるいは、所属する警察官の資質や能力の問題なのか。

いずれにしても救えたはずの命が奪われたことは痛恨の極みだ。

岡崎さんと家族は昨年6月以降、白井被告からの暴力や付きまとい行為をたびたび川崎臨港署に相談していた。一時沈静化し、昨年12月に被害が再開したが、申告を受けた同署はストーカー事案として対処せず、同月20日ごろ岡崎さんは行方不明になった。

報告書は、岡崎さんが行方不明となる前の県警の対応について、本部と署の連携や情報共有が不十分で、昨年11月に被害が沈静化したという判断も所轄署単独で行われたと指摘している。

署が沈静化したと判断したのは、白井被告と岡崎さんから復縁の申し出があったためだ。だが被害者が身を守るために偽装復縁するケースもあり、警察はもっと深読みすべきだった。

ストーカー被害を巡っては、1999年の「桶川ストーカー殺人事件」以来、警察に相談していたにもかかわらず、被害女性らが命を奪われるケースが繰り返されてきた。

桶川事件の翌年には、付きまといなどへの禁止命令を出せるストーカー規制法が成立。規制法はメールやSNSを規制対象に加えるなど改正を重ねてきたが、改正後に殺害された女性もいる。

今月1日には、東京・世田谷区で、韓国籍で同港区に住む自営業、バン・ジ・ウォンさん(40)が刃物で切りつけられるなどして殺害され、警視庁は、交際相手だった韓国籍で住所・職業不詳のパク・ヨンジュン容疑者(30)を殺人の疑いで逮捕した。が、バンさんもまた警視庁にストーカー行為を相談していた。

 警察庁によると、2024年の規制法違反の検挙は過去最多の1341件。全国の警察に寄せられた相談は2万件近くに上った。悲劇を防ぐには、警察の組織改革と共に、ドイツやカナダでは付きまとい罪の最高刑が10年と厳罰であることを参考に対処すべきではないか。

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