2025/06/17
6月13日以降、イスラエルがイランの核関連施設や軍事拠点に対し大規模な空爆を実施したこと
で、両国間の軍事的応酬が激化している。この衝突は、中東地域の緊張を一気に高め、国際社会
に深刻な懸念をもたらす。イスラエルはイランの核開発プログラムを阻止する目的で攻撃を正当
化するが、イランは報復を宣言し、ミサイルやドローンによる反撃を繰り返す。こうした状況下
、トランプ米政権はイスラエルへの全面支持を表明し、米国が紛争に巻き込まれるリスクが高ま
る。一方、中国は中東の混乱を台湾への軍事侵攻の好機と捉える可能性があり、グローバルな安
全保障に新たな火種を生む恐れがある。
イスラエルとイランの軍事衝突の背景
イスラエルは6月13日、イランの核分裂性物質の生産能力を無力化するため、テヘランやナタン
ズの核施設を含む100以上の標的を攻撃したと発表した。これに対し、イランは最高指導者ハメネ
イ師が「イスラエルは報いを受ける」と報復を誓い、イスラエル領へのミサイル攻撃を実施。両
国の衝突は、軍事拠点だけでなく民間施設にも及び、中東全域に波及する危険性を孕む。
この応酬は、両国の長年にわたる軍事的緊張や顕在化した結果である。イランはレバノンのヒ
ズボラやガザ地区のハマスといった代理勢力を通じ、イスラエルを軍事的に威嚇し、攻撃を行な
ってきた。一方、イスラエルはイランの核開発を最大の脅威とみなし、過去にも秘密裏にサイバ
ー攻撃や暗殺作戦を実行してきた。今回の空爆は、イスラエルがイランの核開発の進展をこれ以
上許容できないと判断したことを示す。しかし、双方が攻撃のエスカレーションを辞さない姿勢
を見せる中、紛争の収束は見通せない。
トランプ政権のイスラエル支持と米国のリスク
トランプ米大統領は、イスラエルによるイラン攻撃について「起きる可能性が高い」と事前に
警告しつつ、イスラエルへの強固な支持を改めて表明した。米国は、イスラエルの後ろ盾として
軍事支援を強化し、事前にイラク・バグダッドの米大使館員に退避命令を出すなど、緊張の高ま
りに対応している。しかし、イランが報復として湾岸諸国の米軍基地を攻撃した場合、米国は直
接戦闘に巻き込まれる可能性がある。これは、中東全域を巻き込む大規模戦争の引き金となりか
ねない。
トランプ政権のイスラエル支持の背景には、国内の政治的要因も存在する。米国では、イスラ
エルを支持するロビー団体やキリスト教福音派の影響力が強く、トランプ氏はこれらの支持層を
意識した政策を展開する。また、2024年の大統領選でイスラエル支援を訴えた実績は、共和党内
の結束を高める材料ともなっている。しかし、米国世論ではガザ紛争を巡りイスラエルへの不支
持が強まっており、トランプ政権の強硬姿勢は国内の分断を深めるリスクも伴う。
中東での大規模な戦争は台湾有事を現実化させる?
そして、中東の混乱は、中国にとって地政学的なチャンスを生む可能性がある。中国は、米国
が中東での戦争に注力せざるを得ない状況を、台湾への軍事圧力を強める好機と捉える恐れがあ
る。米国が中東で軍事資源を割く場合、 インド太平洋地域における対応能力が低下し、中国は台
湾海峡での挑発行動をエスカレートさせる可能性がある。中国がイランに軍事支援を行い、代理
戦争を通じて米国を牽制するシナリオも考えられよう。
中国はこれまで、台湾問題を巡り慎重な姿勢を維持してきたが、米国の注意が中東に分散する
状況は、軍事侵攻のリスクを高める。特に、トランプ政権が中国に対し強硬な経済制裁や技術規
制を続ける中、習近平政権は国内のナショナリズムを高揚させるため、台湾への軍事行動を本格
的に進める恐れがあるこれは、アジア太平洋地域の安定を揺るがし、日米同盟にも重大な影響を
及ぼす。我々としては、イスラエルとイランの軍事衝突の行方を台湾有事に照らし合わせて考え
る必要があろう。
TIMES
政治•経済 社会•事件


