2025/09/21
佐賀県警科学捜査研究所の男性技術職員がDNA鑑定で虚偽報告などの不正を重ねていたことが明らかになり、社会に衝撃を与えている。善良な国民が、誤ったDNA鑑定で犯人だと追及されたらたまったものではないが、その恐怖を現実としかねない警察の重大な不祥事といえるだろう。佐賀県警は職員を懲戒免職とし、虚偽有印公文書作成・同行使や証拠隠滅などの疑いで佐賀地検に書類送検したが、職員の氏名や役職も明かしていない。不正の件数は130件と極めて多いにもかかわらず、逮捕を見送った県警の対応の甘さにも批判が集中している。
■鑑定したと偽装 130件の不正
佐賀県警の発表などによると、職員は2012年4月に採用されて以降、2024年10月までに約630件のDNA型鑑定を実施したことになっていた。ただ、2017年6月から約7年間にかけては、実際には行っていない鑑定を過去の試料を使って鑑定したかのように装うなどの不正を130件も重ねたとされる。そのうち16件は殺人未遂や不同意わいせつなどの事件の証拠として実際に検察庁に送られた。県警は「刑事処分の決定や公判で使用された事例は無く、影響はなかった」としているが、影響がなかったことを裏付ける根拠は示しておらず、そもそもそれで済まされる問題ではないはずだ。
現代の事件捜査において、DNA型鑑定は重要な役割を担っている。現場で採取した毛筆や唾液などから検出されるDNA型が容疑者と一致するかを調べるのは主流な捜査手法となっており、個人識別精度は99・9%以上ともされている。そのため、万が一誤っていた場合は冤罪に直結しかねず、今回の佐賀県警の不祥事は極めてゆゆしき事態だ。
■全国警察でも点検を
なぜ不正が7年以上も長期にわたって見過ごされてきたのか。科学捜査研究所の組織の仕組みに問題はなかったのか。疑問は尽きない。佐賀県警の調査が不十分だったのは言わずもがなだ。
これだけ重大な刑事司法の信頼を揺るがす前代未聞の不祥事。身内の県警内での調査や捜査だけで終わっていいはずがなく、外部の有識者らによる第三者委員会などによる徹底的な調査が必要だろう。さらに、佐賀県警特有の問題なのか、警察庁には全都道府県警察の徹底的な点検も求められる。
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