政治•経済 社会•事件 障害者虐待が相次ぐ 2023年度は過去最多の3477件
障害者虐待が相次ぐ 2023年度は過去最多の3477件
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2025/01/16

 全国の自治体が2023年度に受けた障害者虐待に関する通報・相談件数が、過去最多の1万5590件(前年度比2836件増)に上ることが、厚生労働省のまとめで分かった。実際に虐待があったと認定されたケースも過去最多の3477件(同398件増)で、障害者の虐待が後を絶たず、深刻化している実態が浮かんでいる。

2012年から通報義務

障害者の虐待防止や家族ら養護者への支援などの施策を促進するため、2012年10月に施行された障害者虐待防止法により、虐待を受けている可能性がある障害者を発見した人には、自治体に通報することが義務づけられた。厚労省は、自治体への通報・相談件数をまとめ、毎年公表している。

通報・相談件数や虐待認定されるケースは年々増加しているが、2023年度に過去最多に伸びたのは、障害者向けグループホーム運営会社「恵」による組織的な食材費の過大徴収問題の影響が強かったとみられている。

 通報・相談件数のうち、加害者別でみると、家族ら養護者が9972件、施設職員が5618件だった。虐待の類型では、殴る蹴るなどの「身体的虐待」が2162件と最多で、怒鳴る無視するなどの「心理的虐待」は1302件、必要な金銭を渡さないなどの「経済的虐待」は473件、食事を与えないなど世話を放棄する「放棄・放置(ネグレクト)」は337件、性的な行為を強要するなどの「性的虐待」は183件と続いた。被害者とされたのは4641人で、このうち男性2人、父親による身体的虐待や、施設でのネグレクトによって亡くなったという。

▼虐待で死亡も厚労省は詳細明かさず

一方で、虐待により死亡に至った2について厚労省は「障害者虐待防止法は件数を公表するよう規定しているが、個別の施設名や詳細を公表することは定められていない」(厚労省関係者)として、施設名や自治体を含む詳細を明らかにしていない。

 ただ、虐待で死亡するということは、事件性が高いのは明らかだ。さらに、同じ施設で過去に死亡事例がないかなどを検証する上で、施設名など詳細な情報公開が重要なのは言うまでもない。「法律」を壁にし、詳細を明かさない厚労省の姿勢は不誠実ではないか。そもそも、公表することが定められていないとはいえ、「公表してはならない」とも定められていないわけで、公益性公共性の高い情報を発信するのが行政省庁の務めのはずだ。

 障害者虐待は相次いでおり、深刻な社会問題だ。再発防止に向け、施設名の公表による牽制や啓発の必要性を求める声も根強くある。単純に件数を公表しても、社会の関心を集めにくく施設や養護者側に対する意識改革にもつながりにくい。厚労省はせめて死亡事例については詳細を説明するなど、福祉行政を担うその責務を果たすべきだろう。

 

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