社会•事件 選挙のモラルの崩壊(1) 民主主義を冒涜
選挙のモラルの崩壊(1) 民主主義を冒涜
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2025/02/16

ガーシー氏に端を発した炎上狙いのユーチューバーがSNSで荒稼ぎ

 
 いったい公職選挙法はどうなっているのか。昨年4月に実施された衆議院議員東京第15区補選あたりから立候補者のモラルは雪崩を打って崩壊している。モラルの崩壊には予兆があった。2022年7月の参議院選挙でNHK党から立候補したガーシー氏(東谷義和氏)がドバイに滞在しながらSNSを駆使して有名人に纏わる暴露を繰り返すという凡そ国政とは無関係な選挙運動を展開し当選している。その後、ドバイから帰国することなくその年の臨時国会は欠席を続け、年が明けて2023年1月の通常国会が開かれてもガーシー氏の欠席は続いた。2ヶ月を経過した3月14日にガーシー氏は結局一度たりとも国会に登院することなくその間の報酬だけをせしめて除名となった。参議院を72年ぶりに除名になったガーシー氏には直ちに逮捕状が出され国際手配となった。結果、6月5日にガーシー氏は常習的脅迫罪、名誉毀損罪等の疑いで逮捕された。ガーシー氏は逮捕される結果となったが、ガーシー氏が参議院を除名になった後にNHK党の名簿4位に掲載されていた斎藤健一郎氏が繰上げ当選となっており後味の悪い議席だけが残されることになった。

 SNS上で猛々しく有名人を罵ったり、恫喝するガーシー氏に安全圏で視聴する人々が怖いもの見たさの野次馬気分を味わったことは事実。一部の視聴者にはガーシー氏をダークヒーローのように映ったのだろう。NHK党は全国で2%の得票を得て議席を確保した。たった2%の有権者の得票率である、それでも議席を獲得できるのだ。「悪名は無名に勝る」とは言うものの国権の最高機関であって国の唯一の立法機関である。悪がのさばって良いわけがない。だが、あえて悪名を広めることでガーシー氏は当選することができた。確かにダークヒーローもヒーローのうち、プロレスではアブドーラザブッチャーやダンプ松本、デビルマンや北斗の拳のラオウ、闇金ウシジマくんや映画のジャーカーもそうであろう。ダークヒーローもヒーローの一種であるから一定の人気を得てしまう。このパラドックスをうまく利用したのがNHK党を率いる立花孝志氏だ。立花氏自身が脅迫罪や威力業務妨害や不正競争防止法違反で懲役2年6月の有罪判決を受けて執行猶予中の身。アンチヒーローをプロデュースすることはお手の物であったのかもしれない。立花氏はガーシー氏を手玉にとり金を人参にして参院選に立候補させ、SNSやネット上で有名人に対する攻撃や誹謗中傷を煽り加速させることで話題性を高め情報の拡散を加速させた。立花氏の目論見通りにガーシー氏の口撃は綾野剛氏からジャニーズへ移り、そして楽天グループ三木谷氏にまで達し暴走をつつけた。急激に発信力と拡散力を増したガーシー氏は奇跡の当選を果たすのだが、ガーシー氏自身は犯罪行為を繰り返した自覚がある。詐欺や脅迫、誹謗中で逮捕されかねない状況に置かれていることからドバイから帰国する勇気が出ない。参議院ではガーシー氏の欠席に批判が殺到する。ガーシー氏は国会議員を辞職すると逮捕されると思ってか辞職はせずに地震に見舞われたトルコの被災地を慰問するふりをしたり、自分の報酬を被災地に寄付と嘯いたりして態度を誤魔化し続ける。参議院臨死審査会はガーシー氏をあざ笑うかのように粛々と段取り通り警告を行い遂にはほぼ全会一致でガーシー氏を除名するに至った。国会議員ではなくなったガーシー氏はあっけなく逮捕される。立花氏の唯一手元に残ったガーシー氏の置き土産が繰上げ当選することができる1議席であった。ガーシー氏の逮捕を予測した上で自身の腹心である斎藤健一郎氏を繰り上げ当選させるところまで立花氏の想定済みのことであったとしたら稀代の凄腕プロデューサーであると言えよう。

(つづく)

世良 直

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