2025/05/22
深刻さを増してきている〝オンライン取引に利用される口座乗っ取り〟ややこしい手口を紐解いていけ
(写真 フィッシィング詐欺のイメージ フィッシィング対策協議会HPより)
証券会社のオンライン取引に利用される口座が何者かに乗っ取られ、株を勝手に売買される被害が相次いでいる。犯罪グループによる相場操縦などに利用されている疑いが濃厚で、証券会社や顧客は早急に対策を講じる必要がある。口座乗っ取りによる被害は3月下旬に楽天証券で表面化し、これまでに大手9社で発覚。1月から4月までの4カ月間に確認された不正取引の件数は3505件に上る。また株式などを勝手に売却された金額は約1600億円、買い付けられた金額は約1400億円で、5月8日時点で計3049億円に上っている。証券口座の乗っ取りを防ぐため、インターネット取引を行う多くの証券会社がログイン時に「多要素認証」を必須化することを発表した。また、金融商品取引法は証券会社が顧客の損失を補填することを禁じているが、加藤勝信金融相は各社に被害回復に向けて誠実な対応を取るよう指示。大手証券10社は被害顧客への「補償」を行うことを表明した。
まず今回の金融犯罪の手口を整理すると、犯行グループは売り用口座を2つの手段で入手していると考えられる。まず偽造した身分証明書などを活用して銀行口座を開設し、その銀行口座を入出金先に指定して売り用の証券口座も不正に開設する。口座開設者がそのまま不正売買に使うケースもあれば、第三者(他の犯行グループ)に譲渡するケースもある。最近の金融犯罪は、分業化が進んでいることが特徴の1つにあげられる。身分証明書を偽造するグループ、口座を開設するグループ、フィッシングなどでログインID等を詐取するグループ、実際の不正取引を行うグループ、出金後にマネーロンダリング(資金洗浄)をするグループなどが存在する。それぞれの犯行グループがAIなどのテクノロジーやSNSなどを活用しているほか、金融業の知見も持ち合わせている。近年、金融犯罪被害が急増しているのは、こうした分業体制の下で相当な人数が関与しているためだと思われる。
2つ目がSNSなどを通じて口座を不正に買い取るルートだ。SNSに書き込まれている「買い取り募集」の多くは銀行口座だが、信用金庫・信用組合の口座や証券口座、暗号資産アカウント、クレジットカードなどの書き込みも多数存在する。そのため転売目的で銀行口座と証券口座を同時に作り、犯行グループに高額の値段で譲り渡す顧客も一定数いるものと思われる。顧客に成り済まし、勝手に株を売買する手口も見られる。株価が変動しやすい低価格の株を大量に買い付けて相場をつり上げ、高値で売り抜けたようだ。こうした行為は金融商品取引法が禁じる相場操縦に当たる可能性がある。また証券口座の乗っ取りは不正アクセス禁止法に違反する疑いがあり、警察は不正を行った人物の特定を急がなければならない。
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