2025/10/02
8月の新聞には「2度と戦争をしない」の文字が躍った。異論の余地のない正論だが、ウクライナのように他国に軍事侵略された場合はどうするのか。
旧ソ連の軍事的脅威が高まった1970年代後半に森嶋通夫ロンドン大学教授(当時)が、「白旗赤旗論」を提唱した。曰く「もしソ連が侵略してくれば、左手に白旗(降伏)、右手に赤旗(ソ連歓迎)を持って整然と降伏すれば、被害は多くないからそうすべきだ」という内容だった。
旧日本社会党などが唱えた「非武装中立」の根幹を成す考えだ。これに猛然と反論したのが、関嘉彦・東京都立大学名誉教授(当時)で、「しかるべき防衛力を整備した上で、侵略を許さない国造り」を唱えた。世に言う「森嶋・関論争」だ。
今日の日本の平和論を説く、日本学術会議やそれに賛同するマスコミは、「国の守り」を意図的に無視しているので、「白旗赤旗論」を踏襲しているといえるが、ウクライナを見れば、降伏すれば、被害は多くないというのは虚構だと子供でもわかる。
「世界は自国の物」的な動きを強める中国や、核・ミサイル開発を進める北朝鮮の脅威が高まる中、安全保障を強化する上で、軍事と民生の両方に利用できる技術「デュアルユース」(民生と軍事の両方の目的に使用できる技術や製品)の重要性が増している。
いまや軍事と民生の区別をつけるのは困難だ。生活に欠かすことのできないカメラのオートフォーカスやインターネット、全地球測位システム(GPS)はもとは軍事技術だ。
武装忌避で平和を守ることはできないことは、「子供でも分かる」。デュアルユースを抑止力向上に生かして戦争を起こさせないためにも、日本学術会議や政府は「空想的平和主義」から脱するべきだが、その大本山学術会議も22年7月、「科学技術を(軍事への)潜在的な転用可能性をもって峻別し、その扱いを一律に判断することは現実的ではない」として、デュアルユースの研究を事実上容認せざるを得なくなった。
2025年度の将来の防衛装備品開発につながる技術の基礎研究を支援する「安全保障技術研究推進制度」の採択件数が過去最多の49件になった。応募総数は過去最多の計340件に上った。
このうち大学が123件と前年度の3倍近くに急増し、採択件数は前年度比2.5倍の20件に達し、東北大や日本大など7大学は初めて選ばれた。
遅きに失したとはいえ、日本もようやくまともな国になりつつある。
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