2024/11/09
話は40年ほど前に飛ぶ
千葉真一は、そのころ主演を張る映画が軒並みヒットしていた。『柳生一族の陰謀』、『里見八犬伝』、『戦国自衛隊』、いずれも角川映画であるが、出身は東映。そういえば、東映映画『新幹線大爆破』(1975年佐藤純弥監督)での新幹線運転士役は印象深かった。筆者は、千葉真一といえば、『キーハンター』、時代劇、ヤクザもの、刑事ものなどより、この運転士役が、いの一番に頭に浮かぶ。実に良かった。主役の高倉健を凌駕していたと言っても過言ではない。いや、閑話休題。
その頃のことである。故野際陽子さんとの間の長女、真瀬樹里(ませじゅり 俳優。野際さんに生き写しです。若き日の野際さんを彷彿とさせますが、やっぱりキーハンターの頃の母親の方が少しだけ魅力的かも。筆者注)が小学校の上がった頃のことである。千葉真一は、眼の中に入れても痛くないこの長女を大事に育てたいため、京都に自宅を設けることを考える。その辺の脈絡については、本人(あるいは野際さんのご意見もあったかもしれないが)のみぞ知るところだろうが、とにもかくにも京都に自宅を建てることにした。そして、実際にそれは嵐山のそばに新築された。プール付きの大豪邸である。当時この自宅建築は大いに喧伝された。『12億円プール付き豪邸。すべては、愛嬢樹里のために』というような見出しの記事が盛んに書かれたりもした。
その豪邸を建てる決心をした千葉真一は、どうやってその金を作るか思案した。そして、それを故岡田茂(東映社長。言わずもがな、ですな)に直談判したのだ。角川映画でヒットを飛ばしていても、やっぱり千葉真一は古巣東映の人だったのだ。
(千葉)『岡田さん、京都に家を建てたいんだ、娘のためにね。なんとか(カネを)つくるアテを教えてくれませんか』。
(岡田)『会社から出すことはできんが、アテなら考えてみよう。千葉ちゃんのためだからな(笑)』。
岡田は動く。ここからが面白い。
岡田は、京都の愛人Oはそれ(芸子を落籍(ひ)かせた(今、こういう言葉を知っている人が幾人いるか))にピロートークでこう言った。
(岡)『千葉の奴が京都に家を建てたいと言うんだがね、丸(※カネ)がねえって言うんだよ、なんとかならんかな?おまえにどうこうしてもらおうって言っているんじゃないぜ、京都で丸を作るうまい手はねえかって訊いてんだ』。
(愛人O)『会社(東映)で、お出しになったらええんと違いますか?』。
(岡)『おいおい、冗談言うなよ、一俳優の自宅を会社で造らせるわけにはいかんよ。うちは、一部上場の優良企業だよ。そんなことをしようものならたちまち株主総会で突き上げを食らっちまうよ。うちを舞台に『暴力金脈』(1975年中島貞夫監督。総会屋の実態をリアリスティックに描いた作品。主演は松方弘樹。共演の池玲子が魅力的だった(※個人的見解)。この映画は東映ヤクザ路線の一環という位置づけだったがその枠を外して見ても佳作です。余談ついでに。この映画は脚本家の笠原和夫の書き下ろしだが、笠原は、これを総会屋の故小川薫に密着取材して書き上げた(※笠原はあの『仁義なき戦い』の脚本家だったから広島に入り浸った時期があった。その時、広島出身の小川と知り合ったという。縁というのは面白いものですね)。それ故にこの映画はリアリティーに富んでいるのだろう)を地で行っちゃシャレにならないだろ』。
(愛人O)『そうですね。私なりに一思案してみましょうか』。
愛人Oは、岡田のために(いや、千葉のためにと言うべきだろう)難題を解決するソリューションをあっさりと導き出した。
それを岡田は愛人Oにさせている先斗町にある趣向を凝らした茶屋の茶室で聞いている。
(愛人O)『ええ人がおりますえ。銀行の支店長どすえ』。
(岡田)『おう、千葉の件か。そりゃどういう人なんだ?』。
(愛人O)『私の担当ですねん、その支店長。その人に千葉はんのこと言いましたんや。そしたら、早速、理事長(※すなわち、その支店長がいる金融機関は銀行ではなく信用金庫だった)に打診しはったんです。そしたら、(融資を)考えてもええと言うことでした。よかったですね、旦那様』。
当時大騒ぎとなった千葉真一の京都豪邸新築にこんな裏話があったなんてことは、むろん誰も知るところではない。今初めて本誌にて公開されるのだ。
さて、話はここから佳境に入る。いよいよ本稿の主役のひとつJJクルーズに関わってくるのだが、ここでひとまず紙面は尽きた。以下は、次号ということになる。おっと、ここで切ってしまっては如何にも唐突無愛想というものである。次号への太い繋ぎだけお伝えしておこう。
愛人Oの担当というのは、本稿前述のJJクルーズ前代表である、〝京都在住のM氏〟なのである。
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