2024/12/08
子どもの性被害を巡り、公訴時効の撤廃を求める声が強まっている。昨年6月に性犯罪の構成要件を大幅に見直した改正刑法が成立し、不同意性交罪の時効は5年延長されて15年になったが、幼少期の被害は相当期間が経ってから判明するケースも散見されるためだ。海外には性犯罪の時効がない国もあり、被害者支援団体などの間には「日本は時効が短すぎる」と不満が根強い。「魂の殺人」とも言われる性犯罪の厳罰化が進む中、法務省や国会は時効の問題についても被害者らの声に真摯に耳を傾け、議論を本格化させるべきだ。
昨年6月に刑法改正で時効5年延長
昨年6月の刑法改正により、精神的ショックなどで被害申告しにくい性被害の実態を踏まえ、時効は各罪で5年延長された。だが、幼少期の被害は、相当期間の経過後によみがえるケースもある上、小中高生時代に生徒が教諭から受けた行為が大人になって性犯罪だと認識するケースも少なくないため、被害者団体は時効の5年延長に不満を示している。
性暴力被害者らでつくる一般社団法人「スプリング」(東京)が2020年に行った実態調査によると、性被害を認識するまでに要した年数が16年以上だったのは、799件中119件で約15%にも上った。このため、不同意性交罪の時効が15年に延びたものの、被害を認識した時点で15年が過ぎていれば既に時効が成立し、処罰できなくなってしまうのだ。
スプリングの関係者は「時効はまだ短すぎる。政府は性暴力の実態をさらに調査して把握し、時効の撤廃を早期に検討すべきだ」と強調している。
同法人などによると、英国は不同意性交罪の時効がなく、フランスは30年と長い。
ドイツは20年で日本より5年長いだけだが、被害者が30歳になった時点を起算とする
ため、50歳までは罪を問うことが可能だ。
施行後5年は遅すぎ
昨年7月に施行された改正刑法には、 「施行後5年で見直しを検討する」との規定が付則に盛り込まれた。ただ、施行から5年経過するまで待っている間にも、幼少期の被害など新たな性被害が次々と明るみになる恐れは強い。救われるべき人が救われず、性犯罪に問われるべき者が時効成立によって野放しになることは許されない。
改正刑法の施行後5年まで議論を先送りにしてしまっては、遅すぎる。法務省や国会は、改正刑法の付則の規定にとらわれることなく、時効撤廃やさらなる延長に向けた検討を早期に進めるべきだ。
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