2025/04/07
女性起業家への投資家によるセクハラが相次いでいる。相手が投資家の場合、出資してもらっている立場から声を上げにくいことが背景にあり、直近1年間で105人のうち5割超がセクハラを受けたとの調査結果もある。被害者らは昨秋に当事者団体を結成。起業家を守る仕組みの法制化を訴えており、今年3月には国に要望書を提出した。被害者が泣き寝入りを強いられないよう、政府は具体的な対策を講じるべきだ。
▼女性起業家の5割が被害
研究・教育機関「アイリーニ・マネジメント・スクール」(東京)の2024年の調査では、女性起業家105人のうち、52・4%が直近1年間にセクハラを受けたと回答しており、加害者では、投資家や投資会社の担当者が約4割と最多で、顧客・取引先が約3割と続いた。
大半が被害を受けたとしながらも、「加害者との人間関係が壊れ、投資を打ち切られるのが怖かった」「訴えても不利益が大きい」などの理由で、被害を周囲に伝えられずにいたという。起業家が逆らえないと分かった上でセクハラに及ぶような悪質な加害者も見受けられ、対策は急務といえそうだ。
もちろん、セクハラも身体を触るなど度が過ぎるケースの場合は、不同意わいせつ罪や不同意性交罪など性犯罪として被害を訴え、警察に刑事事件として対応してもらうことは十分ありえる。ただ、「愛人にならないか」「胸が大きいね」といった典型的な言葉によるセクハラの場合は、ハラスメントとして対処するしかなく、投資家や商品を買ってくれる顧客・取引先の場合は声をあげにくいのが実情だ。
そもそも、セクハラを防ぐ法律としては現在、男女雇用機会均等法が企業に対してハラスメント防止措置の実施を義務づけているが、同法の保護対象は会社が雇用する労働者のみとなっている。このため、昨年に発足した当事者団体は、起業家も法的に保護されるべきだとして、公的な相談窓口の設置など環境整備を推進するよう国に求めており、3月には厚労省や金融庁に要望書を提出した。
▼法制化が必要
要望書では、公的な相談窓口の設置のほか、セクハラに及んだ投資家らの実名公表なども求めている。実名公表は、名誉毀損のリスク等からも慎重な検討が必要だろう。だが、未然防止の観点からすれば、新法によりセクハラに厳格に対処すべきだという女性起業家らの主張はもっとだ。
性暴力の被害者らの訴えは、これまでも時として大きなうねりとなり、性犯罪の厳罰化を図る刑法改正までも実現させてきた。今回も例外ではないはずだ。政府は早急の法制化に向け、被害を受けた起業家らの声に真摯に耳を傾け、具体的な議論を始める必要があるだろう。
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