2025/04/18
公認会計士が関与した金融商品取引法違反(インサイダー)事件が、会社資金で不正に自社株を取得したとされる会社法違反事件に発展する異例の事態だ。
名古屋証券取引所上場のウェブサイト運営会社「オウケイウェイヴ」(東京)を巡り、東京地検特捜部は4月4日、同社の元社長ら2人を会社法違反(自社株の不正取得罪)で東京地裁に在宅起訴した。特捜部は、3月にインサイダー事件で起訴していた元公認会計士・佐久間将司被告についても、2人と共謀したとして会社法違反(同)で追起訴した。
▼立件は異例
会社法は、企業に対し、自社株を取得する際、取締役会や株主総会の決議を得るなど、適正な手続きを行うよう義務づけている。役員らによる会社財産の流出やインサイダー取引を防ぐのに加え、特定の株主に便宜を図るなど「株主平等の原則」に反する行為を抑止するためだ。違反した場合の罰則は、5年以下の懲役か500万円以下の罰金、又は両方となっている。
自社株の不正取得罪は形式的に会社法で定められてはいるとはいえ、これまでの立件例はほとんどなく、立件は極めて異例といえる。
会社法違反の特別背任罪の場合、法定刑は10年以下の懲役または1000万円以下の罰金で、併科もあり、自社株不正取得罪より重い。ただ、役員らが「任務に背く行為により、会社に財産上の損害を与えた」と立証するハードルは高いとされるため、特捜部は今回、間違いなく有罪立証できる自社株不正取得罪を選択し、立件に踏み切ったようだ。
▼公認会計士も関与
起訴状などによると、オウケイウェイブ社の元社長・福田道夫被告と元取締役・野崎正徳被告、佐久間被告の3人は2022年1月、同社の取締役会や株主総会の決議を経ずに、同社資金約8億円を不正に支出し、同社株約94万株を買い付けたとされる。1株あたりの買い取り額は、当時の市場価格の2倍以上だったという。
関係者の話などによると、福田、野崎両被告は、同社株を大量に保有していた男性から株購入を求められ、佐久間被告が経営に関与していた別会社を通じて買い取りを決めたが、買取額が高額に及ぶことが見込まれたため、取締役会・株主総会の決議を得るのは困難と判断。不正支出に及んだ疑いが強いという。 一連の取引では、佐久間被告が株式取得の具体的な方法を考案するなどし、多額の報酬を得たとされる。
3被告は特捜部の調べに対し、不正取得について認め、経営を安定させる狙いがあったなどと説明しているという。今後の裁判で詳細な実態解明が待たれるところだ。
企業によるこうした不正な自社株取得が横行すれば、株式市場の信頼性そのものが揺らぎかねない。経営者は、株主平等の原則を順守し、適正な取引に努める必要がある。
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