社会•事件 カスハラ対策 企業に義務化 厚労省が法改正へ
カスハラ対策 企業に義務化 厚労省が法改正へ
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2024/12/24

客から理不尽な要求を突きつけられるカスタマーハラスメント。事態の深刻化を受け、国がようやく対策に本腰を入れ始めた。厚生労働省は今月、カスハラから従業員を保護するための体制整備などを企業に義務づける方針を決めた。ただ、カスハラの行為者となりうるのは消費者であり、抜本的な未然防止のためには、国による消費者教育の充実やカスハラが犯罪にあたりうることの周知も求められる。

▼パワハラ防止法対策

 12月17日に開かれた厚労相の諮問機関・労働政策審議会。事務局を務める厚労省が、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)でカスハラの定義を明確化した上で、対策を企業に義務づける方針案を示し、労政審が承認した。厚労省は、来年の通常国会にパワハラ防止法改正案を提出し、法改正を目指す。

 厚労省が示した方針案は、カスハラについて、①行為者は顧客や施設利用者など②社会通念上、許容される相当範囲を超えた言動③就業環境に悪影響を及ぼす――の三要素を満たすものと定義した。②には暴行や脅迫、中傷などが想定されており、クレームを入れた客が従業員に土下座を強いるといった行為が念頭にあり、今後、さらに具体例を示すとされた。

 企業に義務づける措置の内容は、被害を受けた従業員向けの相談窓口の設置や、カスハラへの対応方針を明確化して、周知すること、カスハラのきっかけとなった商品やサービスの問題点の改善を図ることなどを挙げた。

 一方、方針案では、顧客からのクレームや主張の全てが必ずしもカスハラに該当するわけではないとも指摘。顧客ら消費者側の権利を尊重すべきだとして、企業には特に障害を持つ消費者への合理的な配慮が求められると明記した。例えば、身体障害者がホテル従業員に車椅子の移動などを巡ってフォローを求めることなどが想定されている。

▼消費者側に注意喚起

 企業側のカスハラ対策が進めば、顧客ら消費者側への啓発にはつながるが、未然防止策としては不十分だ。このため、厚労省の方針案は未然防止に向け、国が消費者教育に取り組む必要性についても触れた。ただ、「理不尽な要求をしない」というのは、単純に「企業―顧客」「店―客」の関係に限らず、一般的な社会生活においても当然のことであり、実効性のある消費者教育がどこまできるのかは疑問視せざるをえない。

 これまでも、度を超えたカスハラは、例えば店員側に脅迫めいた言動で繰り返し土下座を強要したケースについて、強要罪で立件されるなど、刑事事件化されたケースも少なくない。

政府は「カスハラは犯罪になりえる」という厳格なメッセージをしっかり発信し、消費者側への注意喚起に努めることが重要になるだろう。

 

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