2025/04/11
いやはや、図らずも大地震でめくれてしまった中国有力企業の『手抜き工事』、そして、『汚職』
(写真 ミャンマー大地震によって倒壊した建設中の高層ビル 東京海上ディーアールHP内コラム欄より引用)
3月28日にミャンマー第2の都市マンダレー郊外を震源地とするМ7.7の大地震が発生し、ミャンマー国内で未曽有の死傷者を出す大惨事となっている。この大地震は震源地から1000㌔以上も離れたバンコクにも被害をもたらした。建設中だったタイ国家監査院(SAO)の新本部ビル(33階)がわずか5秒で倒壊したのだ。この崩壊で工事現場にいた15人が死亡し72人が行方不明になった。
ただ周辺ビルは1棟もビクともしておらず、このSAOビルだけが崩落した。このビルを受注していたのは、中国国有企業「中鉄十局」(本社:山東省済南市)だが、同社には基準を満たしていない鉄筋を使用していたことが発覚しており、中国の手抜き工事に「豆腐ビルをおっ建てた(タイにも豆腐はある)」との批判が巻き起こった。ただしこのことを中国メディアは一切報じていない。
現場を視察したタイのペートンタン・シナワット首相は「わが国ではどの建物も無事で済んだ。たった一つの例外を除いてはだ! 徹底的に調査する必要がある」と怒り心頭だ。そればかりか、地震から2日後、事故直後に建物が崩壊した立ち入り禁止区域に、中国人4人が強引に侵入し書類を持ち出してタイ警察に逮捕されている。最大3カ月の懲役刑が下る可能性があるというが、このニュースにもタイ国民は怒り心頭なのだ。というのもタイ内務省は、超高層ビルの崩壊について緊急の会議を開いて、倒壊した超高層ビルの残骸の中から2種類の鉄筋を証拠として押収していたからだ。4人の侵入は証拠隠滅の意図からだろう。倒壊した建物が会計監査院の入るビルだったのはなんとも皮肉だ。この政府機関は、契約の偽造や政府関連の怪しいプロジェクトの精査が任務だからである。精査第1号が自分自身に降りかかってくることになる。
SAOビルを請け負った「中鉄十局」(中国鉄道第10工程グループ)は、世界最大級のエンジニアリング建設会社で、国有の中国鉄道工程公司(CREC)の一部門を担っている。中鉄十局の従業員は約1万4000人。22の子会社を持ち、2023年の売上高は684億元(約1.4兆円)に上る。この国営企業は、中国の習近平国家主席が2013年に唱えた中国とヨーロッパを結ぶ広域経済構想「一帯一路」の中核を担ってきた。すでにベラルーシ、ベネズエラ、南スーダン、ウガンダ、ケニア、スリランカなどでインフラ整備のプロジェクトを受注している。すべてが「豆腐」だらけだから今回のような「手抜き」を原因とする事故が各国で多発すること請け合いである。中鉄十局は、中国共産党の指導の元、タイでも他にも多くのプロジェクトを受注している。いずれも一帯一路プロジェクトに包括されている関係にあることからタイ王国警察経済犯罪対策課、歳入局は、CRECおよび中鉄十局と関連があるタイ国内の12件の他のプロジェクトの捜査を開始した。
タイにおける中国の一帯一路プロジェクトの目玉が「東部経済回廊」の建設だ。中鉄十局が担当するこのプロジェクトは中国・雲南省からラオス縦断の新幹線をタイ側に延長し、北部ノンカイからバンコクへの873キロの鉄道を敷設する長大なものだ。またマープタープット港やウタパオ空港の建設など大型プロジェクトが含まれている。ところが、建設は遅遅として進んでいない。手抜きや材料横流しの汚職は中国に限らずタイの役人にも共通するため完成の見通しは立っていない。
中国企業の手抜き工事と汚職の蔓延にメスが入るか?
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