2025/01/20
働き手の精神的安定を図ることが企業の重要な責務となっている。労働者の心理的負担を検査する「ストレスチェック」について、厚生労働省は全ての会社に実施を義務づける方針を固めた。ストレスチェックは現、は従業員50人以上の事業所に年1回の実施が義務づけられているが、厚労省は今年の通常国会で労働安全衛生法を改正し、義務化の対象を従業員50人未満の小規模事業所にも広げ、対策強化を図る考えだ。仕事上のストレスが原因で精神疾患を発症する人が増えている現状を踏まえた措置で、労働者のメンタル面の保護を強化し、生産性が高まることが期待されている。
◆2015年から50人以上で義務化
ストレスチェックは、働き手の精神不調を防ぐため、2015年から従業員50人以上の事業所に年1回の実施が義務づけられている。仕事量や職場の人間関係、食欲などについて回答してもらい、ストレスの度合いを数値化する仕組みだ。指標によって「高ストレス」と判定された人は、医師との面接を勧められることになる。
国による調査では、受検者の7割以上が「有効だった」と回答するなど一定の成果を上げてきた一方で、近年は長時間労働などが原因で心の健康を崩す労働者は相次いでいる。2023年度にうつ病などの精神疾患を発症し、労災認定を受けた人は過去最多の883人に上った。
対策強化が急務となる中、労使の代表者や医師、大学教授らでつくる厚労省の有識者検討会が昨年に発足し、改善に向けた議論が進められてきた。議論を踏まえ、厚労省の事務局は昨年10月、義務化の対象を従業員50人未満の事業所にも広げる案を検討会に示し、了承を得た。
◆300万人近い働き手のメンタルケアへ
厚労省は今後、今国会に改正労働安全衛生法案を提出し、早期の法改正を目指す。ただ、全企業に実施の義務付けとなると、零細企業にとっては業務負担の増加が危惧されることなどもあり、実際の義務化拡大は数年後になる見通しだ。
国の統計によると、従業員50人未満の事業所は全国に30万か所以上あり、その事業所で働く労働者は300万人に上る。義務化の拡大により、精神面をケアされる労働者が一気に増えることにはなるが、ストレスチェックの実施に伴う事務手続きが企業の負担になり、「ストレス」につながってしまっては、本末転倒だ。
国や自治体は、ストレスチェックの全事業所での実施に向け、マニュアルの充実化を図るなど、企業の取り組みをバックアップするきめ細やかな態勢整備を進めていくべきだ。
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