椎野礼仁のTANKA de 爺さん 第25回『少年のピョンヤン』
連載•小説
2025/09/22
イルボネソワッソヨと言っても不審顔ピョンヤンの子どもの知らない語彙か
イルボネソワッソヨ=日本から来ました
「チャイニーズ!」大声で叫び走り去る 好奇と羞恥ピョンヤンの少年
地下鉄は撮らないでくれと一言いい後は黙認ガイドのキムさん
そこここに焦げ茶の軍服あふれいて道路やビルにツルハシ振るう
インラインスケートの音があふれかえる 少年たちの金日成広場
1970年3月。過激派セクト赤軍派の9人の学生が日航機「よど号」をハイジャックしてピョンヤンに入国した。その彼らの手記を出版する企画が実現し、2012年に訪朝して、かの地に暮らす6人の本を作った(『「拉致疑惑」と帰国……ハイジャックから祖国へ』河出書房新社)。それから何回か、ピョンヤンを訪れる機会を得た。街やレストランで意外だったのは、欧米人がやたらに目に付くことだった。
ある時、前からきた少年がすれ違いざまに僕らに向かって「チャイニーズ!」と大声をあげ、次の瞬間、脱兎のごとく走り去った。外国人との接触は禁止されていると聞いていたが、少年の抑えきれない好奇心はどこも同じなのだと実感した。
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