椎野礼仁のTANKA de 爺さん 第17回 『父への挽歌 別離』
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2025/07/28
天井の節を見上げる一日をいつまで長いと思えていたか
少しずつ息が苦しくなっただろう あした、あさって、しあさって、そして
運び込まれし簡易ベッドに母を寝せ酸素マスクの父と対峙す
体温は三十九度、血圧は上六十と医師の宣告
苦しげに眉の寄せらる それのみが迫る定めへの抵抗のごと
口・喉・胸 口・喉・胸と蠕動す やがて間遠になって終わった
母と子供三人が見送った。Xデーはわかっていたが、さすがには母取り乱し、父の耳に口を寄せて何か言っていたが、意味をなしてない日本語だった。一時間ほどたって、短歌のお弟子さんたちがそろって訪ねてきた。彼ら。彼女らの方が目をはらしていた。
今日の題材、うまく歌にできなかった。
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