連載•小説 大阪ロマンボーイズ その12 おしゃべりロマンボーイズ②
大阪ロマンボーイズ その12 おしゃべりロマンボーイズ②
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2025/10/01

藤原さんはリハーサルに遅刻することも多い。二日酔いで遅れることも多いがそうでない
場合もある。ライブ中のMCでこんなこともあった。
「藤原さん、今日はなんで遅刻したんっすか」
「いや、色々と取り込んでて」
「取り込んでてって何ですか?こっちはお仕事でっせ」
「彼女と一緒やったから」
「彼女って藤原さんには奥さんがいるやんか」
「いやいや、色んな大人の事情があんねん」
「あかんやん、ちなみに彼女の名前聞いていい?」
「コンチっていうねん」
「なんやそれ、その東京ラブストーリーのカンチみたいなノリがダッサ。それでどこにお
ったんすか」
「駅前におったよ」
「近くにいたんやんか、何でリハに来なかったのよ、すぐそばやのに。駅前のどこにいた
んすか」
「タイヨーホール」
「パチンコ屋やんか!」
「そやで」
「コンチも一緒にか」
「そやで、コンチネンタル」
「それ、パチスロ機やん」
「そやで、彼女やねん」
こんな調子である。スベりたくなくてもスベる。電車の中で吐いてしもた話や流し忘れた
大便と出会った時の話、カラスに追いかけられた話や自転車でデートに行った話、花火大
会で〇玉やぁ~と叫んでしまった話、ローソンで刈上げ君を買おうとした話、テレビのリ
モコンを冷蔵庫の中から発見した話、好きだった女の子の前でおぼれたふりをして人工呼
吸を狙い担任にバレた話などマヌケな話ばかりだ。人気が出るわけがない。その素養もな
い。
(つづく、坂本雅彦)

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