美人画が大ヒット!歌麿が天下を取った「大首絵」とは
連載•小説
2025/10/09
財産没収の憂き目を見てから約1年経った1792(寛政4)年、逆風が続いた蔦重の反転攻勢が始
まる。そのパートナーの第一は、もちろん喜多川歌麿だった。
この年、このコンビが世に送ったのが『婦人相學十躰』と『婦女人相十本』という2つの美人画
の作品集。前者は当時流行していた相学=人相学をもとに様々な女性の性格や特徴を表現、後
者は「文読む女」「煙草の煙を吹く女」「ポッピンを吹く女」等々の様々なしぐさの女性の表
情を追った作品集である。
特筆すべきは個々の絵の構図だった。当時の美人画ナンバーワン、鳥居清長が現代のモデルの
ような長身の女性の全身像を優雅に描いていたのに対し、歌麿のそれはほぼ胸から上のみ。残
りをカットした代わりに、女性の顔がクローズアップされていた。
女性が見えるほんの一瞬の表情をとらえ、それを細密で大きな図柄に落とし込んだこの構図は
「大首絵」と呼ばれる。現代人が浮世絵、美人画と聞けば多くがこの大首絵を思い浮かべるの
は、この2つの作品集が爆発的な支持を受け、他の絵師たちもこの蔦重、歌麿のアイデアを一斉
に真似をし始めたことが理由だろう。
清長に代わる美人画の主役に、歌麿は一気に躍り出た。(つづく)
(西川修一)
TIMES
連載•小説







