連載•小説 短期集中連載 現役国会議員秘書 世良 直のヒストリカルスクープ!黒人侍「弥助」は実在したのか その5  ゲーム「アサシンクリードシャドウズ」による杜撰な歴史考証
短期集中連載 現役国会議員秘書 世良 直のヒストリカルスクープ!黒人侍「弥助」は実在したのか その5  ゲーム「アサシンクリードシャドウズ」による杜撰な歴史考証
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2025/04/06

弥助に発する黒人奴隷問題は慰安婦問題捏造に類する

 さて、吉田清治という人物を覚えているだろうか。そう、『朝鮮人慰安婦と日本人』という書作を世に出した人物である。吉田氏は済州島など朝鮮での「慰安婦狩り」の当事者として多くの証言を作品として残すだけでなく、多数の戦後補償の裁判や講演会で証言し、新聞や雑誌での報道に利用されてきた。朝日新聞は都合18回、北海道新聞やしんぶん赤旗でも複数回にわたり吉田氏の証言が記事の中で装用されている。その結果、韓国ではいるはずのない強制連行されたと宣う元慰安婦が現れて日本政府への賠償訴訟を提起するに至っている。1992年の韓国政府による日帝下軍隊慰安婦実態調査報告書でも吉田の著書が証拠として採用されている。2011年8月30日、韓国の憲法裁判所が「韓国政府が日本軍慰安婦被害者の賠償請求権に関し具体的解決のために努力していないことは憲法違憲」と判決した際にも吉田証言が事実認定の有力な証拠のひとつとして用いられた。2012年9月5日に朝鮮日報は、社説で吉田氏の著書『朝鮮人慰安婦と日本人』を取り上げ「この本一冊だけでも日帝の慰安婦強制連行が立証されるのに十分である」として強制連行の証拠であるとしている。吉田氏の著作が朝日新聞のみならず韓国報道機関や裁判所までが事実を裏付ける証拠として扱うに至っている。ところがである。この吉田氏の著作や証言の裏付けはほとんどといって良いほど取れないことが発覚する。韓国国内での調査においても日本国内の調査においても吉田証言に沿うような言質は取れなかった。むしろ、吉田氏の記述や発言を否定する言質ばかりが聞かれる。それだけではない。吉田氏は自身の経歴や養子にした息子の戦死なども虚偽であったことが発覚する。

 1983年以降、朝日新聞はすべての吉田氏に関わる記事を取り消し「虚偽の証言を見抜けなかった」として謝罪している。北海道新聞もしんぶん赤旗も同様に記事を取り消した。1996年に週刊新潮のインタビューで吉田氏は「まあ、本に真実を書いても何の利益もない。事実を隠し、自分の主張を混ぜて書くなんていうのは、新聞だってやることじゃありませんか。」と完全に開き直った発言を残している。問題なのは吉田氏本人が虚偽を認め、新聞社が記事を取り消しても、一度出回った情報は完全に消し去ることは不可能だということ。日本政府による慰安婦の強制連行は実しやかに世界中を駆け巡り日本バッシングのプロパガンダとして利用され続ける。旧日本軍慰安婦の少女時代をモチーフとして作成された慰安婦像は韓国ソウルの日本大使館前に設置されて以降、アメリカ合衆国・カナダ・オーストラリア・中華人民共和国・中華民国・ドイツに、次々と設置されている。現在では韓国国内に100か所以上も設置されている。サンフランシスコに慰安婦像が設置されたことに対して大阪市は抗議して姉妹都市を解消するに至った。独り歩きした虚偽情報に起因する行為が国際的な関係悪化を招いている。

 吉田清治という人物が為した証言は虚偽であることが公に明かされたものの、事実ではない情報は未だに消し去られることなく広く認知されたままにある。「群集の受容能力は非常に限られており、理解力は小さいが忘却力は大きい」19世紀のフランスの社会心理学者ル・ボンの作品「群集心理」の一文である。群集の特徴として、物事を深く理解することができないばかりか何もかも瞬く間に忘れてしまうという特徴を指摘している。自分が虚偽の証言に騙されたと理解できない人民は多く、記憶はそのまま放置される。おいてきぼりになった間違った情報を打ち消す手段は多くない。情報を発信することは独りよがりでもできることだが、発信した情報を完全に消し去ることは不可能に近い。そう考えると吉田証言は凄まじく罪深い。国家や先人を冒涜する許しがたい行為だ。そして、軽率に虚偽情報を発信し続けた朝日新聞ら報道機関の責任は重大である。

 トーマスロックリー氏の著書によって日本のみならず各国に拡散された情報には不確かなものが多い。拡散された間違った歴史認識が外国で根付いてしまう可能性も否定できない。何より、一度発信された情報を完全に消し去ることは不可能に近い。人の関心は長続きしない。間違った情報は間違ったままに放置され存在することになる。問題を不用意に煽る必要はないが、事実に基づかない歴史の上書きは国家として容認するべきではない。不用意な介入は表現の自由を妨げる。とはいえ、「虚偽の風説を流布」することは信用棄損や名誉棄損などの罪に問えないのだろうか。歴史の上書きは一種のテロ行為、油断してはならないという警鐘をここに記しておきたい。(おわり)

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