連載•小説 新連載 没後20年、戦争を危惧した後藤田正晴いまありせば  元官房長官秘書官 平沢勝栄が語る 第1回
新連載 没後20年、戦争を危惧した後藤田正晴いまありせば  元官房長官秘書官 平沢勝栄が語る 第1回
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2025/05/25

≪聞き手 本誌 香村啓文≫

香村 私は昭和52年に「政策集団シリーズ」という企画もので、当時、新生クラブの代表だった藤波孝生さんにインタビューしました。平沢議員は昭和60年に、藤波さんの秘書官をやられましたね。八ヵ月ほどおやりになられて、その後、内閣改造で後藤田(正晴)さんの秘書官もやられた。この人事は大臣官房でやるわけですか?

平沢 これは警察庁の人事で、最後は後藤田さんと藤波さんにそれぞれ打診して決められたかもしれません。藤波さんが靖国神社の公式参拝とか日航機の事故の発生のあと一段落したあわただしい時期でしたね、私がいたのは。

香村 藤波さんが官房長官の時(1983.12.27~85.12.28)の後藤田さんのポストは?

平沢 おそらく初代総務庁長官(1984.7.1~85.12.28)だったと思います。

戦争と中国が生涯のテーマ

香村 今おっしゃられたように、靖国神社参拝を巡ってだいぶ揉めましたね。その時は後藤田さんは官房長官じゃないんですけど、その後、後藤田さん自身が長官になって、靖国神社の総理参拝を厳しく批判しましたね。

平沢 後藤田さんは、「中国と喧嘩しちゃいかん」というのが口ぐせでした。靖国神社を参拝すれば必ず中国と争いになる。戦争中、中国には多大な迷惑をかけたが、靖国神社でまた中国を心配させることになる。だから靖国参拝はダメだというのが、後藤田さんの考え方でした。後藤田さんの考え方の根底にあるのは戦争で日本は中国に多大な迷惑をかけたが、その中国といかにして仲良くやっていくかということでした。特に、後藤田さん自身が戦争で台湾に行ったこともあり、戦争だけは絶対にやっちゃいけないが口ぐせでした。ちょっとしたことでも争いが起こると、政治家や軍人などは、その小さな出来事を拡大して戦争をやりたがるが、戦争だけは絶対にやっちゃいけないと。このことを後藤田さんは繰り返し言っていました。戦争を知らない、あるいは戦争を経験したことがない政治家が、この国の舵取りをする時代が来た時に日本は大丈夫だろうか、大変に心配だ。後藤田さんが繰り返し言っていたのはこのことでした。

香村 それで靖国神社の参拝には批判的でした。同時にA級戦犯ですね。戦争中の戦争指導者で、東京裁判で戦犯になった人たちに対しては、結果責任があるということをおっしゃってたようですね。

平沢 結果責任ということは言ってはおられたが、公の場では私は余り聞いていません。要するに政治家は結果責任が大事だということです。靖国参拝にしろ何にしろ、やればどういう影響が出るか。これをよく考えてからやらなきゃダメだ。ただ安直になんでもいいからといって政策に飛びつくんじゃなくて、必ず影響が出るので、その出てきた影響が日本にとってプラスかマイナスかを、よく考えてやらなきゃならないと。このことは繰り返し言ってました。(つづく)

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