連載•小説 大好評連載 椎野礼仁の『TANKA de 爺さん』   第8回
大好評連載 椎野礼仁の『TANKA de 爺さん』   第8回
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2025/05/19

五郎丸(2015年ラグビーワールドカップ日本代表)その1

 

クルリクルリ手の中で感触確かめてボールを立てる 静寂の中

球を立て数歩下がって身を低く ラグビー場は息を止める

満場の視線をすべて従えて キッカーすでに哲学者の顔

いつも通り球の軌跡をイメージせよ 男ひとつの視線となって

男たちの希求をのせて楕円球 ポストを越えてどこまでも行け

幾万の視線一斉に突き刺さる レフリーの右手高々と上がる

 

 この連載の3、4回目で少し触れたように、高校時代はラグビー部だった。五郎丸は2015年のラグビーワールドカップで、ゴールキックを狙う時の独特の “ルーティン”が人気になった。そこで詠んでみた。ラグビーを知らない人でも、なんとか男の緊張が伝わってほしい。

 これらの一連の歌は、自分では悪くないと思っていたが、ある歌人のラグビーの歌に出会って、打ちのめされた。彼我の才能の差を嫌というほど見せつけられた。

 その歌と歌人(T)の話は、紙幅が尽きたので、来週に。

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