政治•経済 高市新総理誕生と日中関係の行方
高市新総理誕生と日中関係の行方
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2025/10/10

初の女性総理として高市早苗氏が誕生したことは、日本の政治史における新たな一歩である。その一方で、高市氏が掲げる外交・安全保障政策は、特に最大の外交課題の一つである日中関係に大きな影響を与える可能性を秘めている。

高市氏は、故安倍晋三元総理の保守的な外交路線を継承するとの見方が強く、対中強硬派として知られている。安全保障面では、日米同盟を外交の基軸とし、その強化を通じて、海洋進出を強める中国への抑止力を高めることに主眼を置く政策を推し進めることが予想される。具体的には、防衛費の増額や、南西諸島を含むインド太平洋地域における日米協力の拡大に積極的に取り組む姿勢を示す可能性が高い。米国も高市氏を対中抑止における連携相手として期待しているとの報道もあり、安全保障分野での日米日の連携は一層強化されるであろう。

一方で、中国は、高市氏の首相就任に際し、歴史認識や台湾問題に関する言動に高い警戒感を示している。高市氏は靖国神社参拝を続ける意向を公言しており、中国が「核心的利益」と位置づける台湾を巡る発言にも神経をとがらせている。歴史問題や台湾問題は、日中関係の最もデリケートな部分であり、高市氏の姿勢が強硬であればあるほど、両国間の政治的な摩擦は激化する恐れがある。

中国側の警戒感は、日中首脳会談の実現にも影響を与えかねない。秋にはASEAN関連会議やAPEC首脳会議など重要な国際会議が控えているが、高市氏と中国首脳との間で早期にトップ会談が実現し、関係改善の糸口を見つけられるかは不透明な状況である。

経済面では、高市氏が経済安全保障を重視する姿勢は、サプライチェーンにおける中国依存の低減や、重要技術の流出防止に向けた取り組みを加速させるであろう。これは、短期的には日中間の経済的な緊張を高める要因となるが、長期的には日本の経済安全保障を強化する側面も持つ。

高市政権下における日中関係は、「対立と協力の並存」という複雑な様相を呈する可能性が高い。安全保障や歴史認識を巡っては厳しい局面が予想されるが、経済や環境などの分野では対話のチャンネルを維持し、実務的な協力を図っていくことが、日本の国益にとって不可欠である。高市首相には、強固な安全保障体制を構築しつつも、粘り強く対話を継続し、大局的な視点から日中関係をマネージメントする手腕が求められる。このバランスこそが、今後の日中外交の鍵となるであろう。

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