政治•経済 結局、台湾有事の可能性は?
結局、台湾有事の可能性は?
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2025/08/23

 台湾有事、すなわち中国と台湾間の軍事的緊張がエスカレートし、紛争に至る可能性は、国際社会で様々な意見がある。この問題の背景には、歴史的・地政学的要因が複雑に絡む。中国は台湾を自国領土と主張し、「一つの中国」原則を堅持。対する台湾は実質的な自治を維持し、民主的価値観を共有する米国や日本などと関係を深めており、この対立構造が有事のリスクをはらんでいる。

 台湾有事の可能性を高める要因として、第一に、中国の軍事力強化と習近平政権の強硬姿勢がある。中国は近年、軍事費を増強し、台湾周辺での演習を頻繁化。2022年のペロシ米下院議長訪台時には、台湾を包囲する形で大規模な軍事演習で反応した。習氏は「統一」を国家目標とし、武力行使も辞さない姿勢を示唆する。第二に、米中の対立激化がある。米国は台湾関係法に基づき、武器供与や軍事交流を強化する一方、中国はこれを挑発とみなし、対抗措置を取る。このエスカレーションが偶発的衝突を誘発するリスクを高める。第三に、台湾内部の政治的動向であり、独立志向の民進党政権下で、国民の「台湾アイデンティティ」が強まり、中国との統合を望む声は減少し、これが中国の不満を招いている。

 反対に、可能性を下げる要因としては、第一に、経済的な相互依存がある。台湾は半導体産業の要であり、TSMCの生産停止は世界経済に壊滅的打撃を与える。中国も欧米からの経済制裁や孤立を避けるため、慎重な判断を迫られる。第二に、米国との本格的な戦争におけるリスクがある。米中は核保有国であり、米国との軍事的衝突は習近平政権にとってあまりにも大きな被害が生じることは想像に難くなく、台湾侵攻が習近平政権にとって失敗ができない決断であることも踏まえれば、大きな抑制要因となる。

 一方、現時点で全面戦争の可能性は低いものの、偶発的衝突や限定的な軍事行動(例:海上封鎖)のリスクは無視できない。中国が台湾周辺で海上封鎖を実施すれば、台湾南部、東部海域を経済シーレーンとする日本としては、大きな影響を被ることは回避できない。特に、日本はエネルギーや食糧の多くを輸入に依存しており、シーレーン遮断は経済や国民生活に深刻な影響を及ぼす。また、米軍基地を抱える日本が巻き込まれる可能性も高く、防衛力強化や日米同盟の連携深化が急務である。

 日本国内では台湾有事、台湾有事とその名前だけが前面に出ているが、今後は高める要因と下げる要因を考慮し、もっと冷静な分析が必要だろう。また、有事といっても何が有事なのか、海上封鎖や大量の偽情報の流布、海底ケーブルの破壊、そして侵攻など様々なケースが考えられ、各ケースが今後どれほど現実的リスクなのかを個別にチェックしていく必要がある。さらに、日本は有事シナリオごとの危機管理計画を策定し、国民への情報開示と国際協力を強化すべきである。

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