2025/09/30
自民党は6月、「造船業が滅べば国も滅ぶ」として、再生への緊急提言を政府に提出した。四方を海に囲まれた日本にとって造船業は重要であることは疑いの余地がない。
日米両政府が署名した5500億㌦(約80兆円)の対米投資に関する覚書では、造船分野が対象の一つとなっており、米国造船業の再生に向けて日本が協力することで、両国の造船業が復活する道を模索することになる。
日本は、貿易量の99%以上を海上輸送に依存しており、造船業は経済安全保障を支える上で大きな役割を担っているが、1950年代後半以降、新造船建造量で世界首位を滑り落ちた。90年代以降は巨額の政府支援を受け、日本の技術を盗み、移転させた中韓勢の台頭によって急速にシェアを奪われたからだ。
その結果、造船業を営む総合重工メーカーは他社との再編や事業売却を進め、現在は高齢化による人手不足が追い打ちを掛け、日本のシェアは10%強にとどまっている。
米国が頼る日本造船業の強みは2つ。まず競争力の強化に向けて鍵となるのは、脱炭素に対応した次世代船の開発だ。海事分野のルールを定める国際海事機関(IMO)は「2050年ごろまでに国際海運からの温室効果ガスの排出ゼロ」という目標を掲げている。
今後はアンモニアや水素を燃料とする次世代船の需要が増えるとみられており、アンモニア用の燃料タンクの技術などで優位に立つ日本にとっては大きなチャンスだ。
もう1つは、中国やロシアが進出を強める北極圏などで使われる砕氷船の技術だ。日本は船の強度を高める特殊な技術で強みを持っている。海氷融解が進む北極海で法の支配に基づく海洋秩序を維持するためにも、この分野での日米連携は重要だ。
国土交通省は8月、26年度予算の概算要求で、船舶の製造工程自動化や船舶燃料の脱炭素化などに関し、新規予算や前年度を上回る額を求め、詳細が決まっていない日米協力分野については、額を明示しない青空天井ともいえる「事項要求」とした。
再編による企業の大規模化も大きな課題だ。国内造船最大手の今治造船は今年6月、世界シェア拡大のため業界2位のジャパンマリンユナイテッド(横浜市)を子会社化すると発表した。
ところで9月11日、中国の最新空母「福建」が東シナ海を航行する姿を自衛隊が初めて確認した。同艦は中国海軍の3隻目の空母だ。
トランプ米政権が造船分野で日本に協力を求めたのは、米国の造船業を立て直し、強引な海洋進出を続ける中国に対抗する狙いがある。日本政府は米国と連携するとともに戦略的な観点に基づいて国内造船業への支援を強化すべき時に来ている。
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