政治•経済 積極財政だけでは景気は良くならない②
積極財政だけでは景気は良くならない②
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2025/10/09

高市早苗自民党新総裁は、積極財政論者として知られる。積極財政論者である経済評論家の三橋貴明氏や、京大教授の藤井聡氏が、SNSで高市早苗に期待する動画投稿を盛んに行っていたのは、高市総理なら、積極財政を実施するという期待からだろう。
だが、積極財政で景気が良くなるのなら、失われた30年など最初からなかった。小渕恵三政権(1998年~2000年)の時も積極財政で、盛んに公共投資を行ったが、思うように景気は良くならなかった。財政出動による景気浮揚効果より、国の借金が増えていったのだ。
積極財政とは、とどの詰りケインズ経済学の政策である。民間の投資意欲や消費が冷え込んだ状態で、国が公共投資等の財政出動をすることにより、雇用を増やし、労働者に賃金を支払い、消費を増やして景気を良くしようという政策だ。だが、ケインズ的経済政策は、新自由主義者から批判され、近年は影が薄くなっている。代わりに登場したのがマネタリストである。いわゆる金融緩和で通貨供給量
を増やすことにより、経済の拡大を期待する政策だ。アベノミクスは、マネタリストの政策だった。アベノミクスを指南した元財務官僚の高橋洋一教授は、貨幣供給量を増やしていけば、インフレ予想から消費が増えると予測したが、日本人の多くはインフレで将来の生活が苦しくなると予想して、益々貯蓄に励んだ。日本人は、“宵越しの金は持たねぇ”という江戸っ子ではなく、借金しても消費する国民で
もなかった。
その結果、景気拡大による賃上げよりも、インフレのスピードが速くなり、国民の生活はますます苦しくなり、政権党の自民党は選挙で大敗してしまう。

高市新総裁が目標にする“鉄の女”サッチャーやレーガン大統領は、新自由主義者として知られるが、その経済政策は、必ずしも新自由主義的ではなかった。レーガンは軍拡というケインズ的政策を行い、サッチャーも新自由主義的な政策が上手くいかないとなると、財政出動を行っている。
だが、より重要だったのは、サッチャー政権が、労働組合運動潰しをやったことだろう。サッチャー首相は、労組こそ、当時のイギリス経済を蝕む要因と考え、これと対決して弾圧している。確かに、当時の英国の労働組合運動は、かなり過激だったと言えよう。
では、今の日本経済を蝕み、成長を阻む要素はどこに求めるべきか。少なくとも労働組合でないことは確かだ。今の日本の労組は、サッチャーが対決したイギリスの労組が虎やライオンとすれば、飼い猫みたいなもの。鼠すら捕らなくなり、いつも寝てばかりいる老いた猫なのだ。 

(青山みつお)

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