政治•経済 今年度の最低賃金(時給)が決定 全国一律1000円超 ただ、適用時期の大幅後ろ倒しも
今年度の最低賃金(時給)が決定 全国一律1000円超 ただ、適用時期の大幅後ろ倒しも
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2025/09/09

今年度の最低賃金(時給)が9月5日、47都道府県で出そろった。厚生労働省が発表した各都
道府県の改定額によると、初めて全国一律で1000円を超え、全国加重平均は、現在の1055円
から過去最大の66円(6・3%)引き上げられ、1121円となった。ただ、改定された最低賃金の適用時期を例年の10月から後ろ倒しにする県が続出。秋田県は80円超の引き上げに踏み切って全国
ワーストから脱したもの、改定額の適用時期を最も遅い来年3月末までずらした。半年以上も適用
時期が遅れれば、その分が受ける恩恵も大幅減となるため、見た目だけの大幅アップに懐疑的な
声も根強い。

■国の目安超は39道府県
「最低賃金を2020年代に全国平均15000円」――。9月7日に退陣を表明した石破首相が、首
相就任早々から掲げてきた政府目標だ。
最低賃金は、都道府県ごとに決められている時給の下限額。労使と学者の3者代表で構成され
る国の審議会が8月4日、各地域の経済状況などに応じ、都道府県をA(東京や大阪など6都府県
)、B(京都など28道府県)、C(秋田など13県)の3グループに分け、目安をA、Bで63円、Cで64円
と示していた。
 実際の改定額を決める各都道府県の審議会は、この国の目安を参考に議論を進めてきた。9月
5日に福島県の審議会で答申が出たことで、全都道府県で改定額が出そろった形だ。引き上げ額
が最も高かったのは、目安を18円上回った熊本の82円。大分が81円、秋田が80円、岩手が79円な
どと続いた。
 最低賃金の最高額は、東京の1226円。最低額は宮崎、沖縄、高知の1023円で、最高と最低の
差額は203円で、昨年度と比べて9円縮まった。地域で経済水準に差はあるものの、人材流出を
懸念する地方にとっては、地域間格差の縮小は喜ばしいことだろう。
背景にあるのが、人材流出を懸念する各都道府県の「引き上げ合戦」だ。各地の知事も自ら審
議会に国の目安を超える大幅賃上げを要求するなど、異例の動きが相次ぎ、特に最低賃金額が
低い地域で大幅引き上げが目立った。国の審議会が引き上げ目安を決めた際、初めて下位ランク
を上位ランクより高く設定した影響も大きいようだ。引き上げ率はランク別に、Aは5・6%、Bは
6・6%、Cは8%だった。結果、国が示した引き上げ額の目安を超えた都道府県は39にも上った。

■6県は改定額の適用開始が越年
生活を支える最低賃金の大幅アップは、労働者にとってはもちろん、経済活性化の観点からもメ
リットは大きい。だが、賃金の見直しなどに迫られる経営者側への配慮から、適用時期を大幅に遅
らせる地域も目立った。新たな最低賃金の適用開始時期について、来年3月末、3月1日に決定し
た秋田や群馬など計6県が年をまたぎ、現行の改定方式となった2002年以降、適用時期が越年
する初めての事態だ。経営者側への配慮とはいえ、労働者側からは「適用が遅ければ労働者の生
活改善につながらず、引き上げの恩恵が薄まる」との批判が集中している。
最低賃金の大幅アップの実現に向け、政府は中小企業に対する支援策を充実化させることは
当然だが、適用遅れの影響を分析し、今後の施策に活かす必要があるだろう。

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