政治•経済 「パレスチナ国家承認」の是非
「パレスチナ国家承認」の是非
政治•経済

2025/10/14

9月22日、ニューヨークの国連本部で、イスラエルとパレスチナの「2国家共存」を目標とする首脳会合(フランスとサウジアラビア共催)が開かれた。

英、仏などがパレスチナの国家承認を宣言し、ほかにモナコ、ルクセンブルク、マルタ、アンドラ公国がパレスチナの国家承認を宣言した。その結果、パレスチナを承認する国は国連加盟国中193カ国(約8割)に達した。

国連安保理の常任理事国では、英・仏2カ国が国家承認側に回ったことで、イスラエルを支持する国は米国だけとなった。

「2国家共存」は耳障りはいいが、パレスチナが主権国家の条件を満たした後、初めて問われる課題だ。主権国家イスラエルと国家でもないパレスチナがどうして「2国家共存」を実現できるのか。「2国家共存」を実現するために国家承認するというのでは話が逆だ。

そもそも国家の主要条件は、①領土、②国民、③主権の3つだ。それに④国際社会の承認を加えるとしても、現在のパレスチナは④以外の3つの「国家の条件」を備えていない。

日本は米国と同様にパレスチナの国家承認に二の足を踏んでいるが、その理由は「パレスチナの国家承認は目標だが、まだそのプロセス中だ。この時期に国家承認することはイスラエル側に強い反発を誘発する危険性が出てくる」という内容だ。米国追随と批判する向きもあるが、これは正鵠を射ている。

この問題を複雑にしているのは、イスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)が和平協定を結んだ1993年のオスロ合意以降、自治政府が主導権を掌握できず、もともとオスロ合意を妨害してきたイスラム組織ハマスに奪われてしまったことだ。

ハマスのテロ行為を取り締まる治安力がヨルダン川西岸の自治区に拠点を置く穏健派の自治政府にはなく、これまでもなす術もなくハマスを野放し状態にしてきた。

 ハマスは単なるテロ組織にとどまらない。強大な軍事力を備えており、イスラエルを頻繁に攻撃してきた。

とりわけガザはハマスの拠点となり、反イスラエルの外国勢力の援助の受け入れ口になった。中でもイランは、かつてのアハマディネジャド大統領が「イスラエルを世界地図から消す」と発言したように、同じ目的を持つハマスを支援していることで知られる。

もともとイスラエルのガザ侵攻は、2023年10月7日に起きたハマスのイスラエルへの大規模襲撃から始まったものだ。襲撃では最大で6000人のハマス部隊がイスラエルに侵入し、250人を人質として連れ去り、外国人を含む1139人が犠牲になった。

 とはいえ、ガザ侵攻から2年が経とうとした現在、パレスチナ側の犠牲者は6万人以上になった。イスラエルの報復は、倍返しどころか10倍返しと言える過剰なものだ。

テロ組織としてのハマス壊滅に納得できる国々も一般人を巻き添えにガザを廃墟にすることには納得できない。

パレスチナ人の悲惨な状況とパレスチナの国家承認とは本来、別問題だが、イスラエル消滅を目指すイラン、ハマスの影響を排除する力がない国連には中東危機を収拾する力はない。

TIMES

政治•経済