2025/08/05
最近の日米関税交渉は、日本にとって厳しい結果に終わり、トランプ大統領の巧みな交渉戦術
が際立つ形となった。日本からの輸入品に対する米国の関税率は25%から15%に引き下げられた
ものの、日本側は大幅な譲歩を強いられた。具体的には、5500億ドルの対米投資(その9割が米国
に利益をもたらす)、自動車、トラック、コメなどの農産物市場の開放、ボーイング製航空機100
機の購入、コメ輸入の75%増、そして自動車および自動車部品の追加関税が半減しつつも既存税
率2.5%を含めて15%に設定された。これらの条件は、日本経済に大きな負担を課す一方、米国経
済の利益を最大化する内容だ。トランプ氏の「アメリカ・ファースト」を体現した交渉術に、日
本は翻弄された形となった。この交渉結果は、日本が米国の圧力に屈したとの見方を強め、国内
では経済界や農業界から不満の声が上がっている。特に、コメ市場の開放や自動車関税の引き下
げは、国内産業に長期的な影響を与える可能性が高い。
しかし、トランプ大統領の視線はすでに次のターゲットである中国に向けられている。彼は中
国に対する貿易規制を一層強化する姿勢を崩しておらず、特に半導体分野での対中圧力を強めて
いる。今後、この動きは日中貿易にも波及し、日本に対して対中貿易規制への同調を求める圧力
が強まることが予想される。半導体は現代産業の基盤であり、日本は世界有数の半導体製造装置
や材料の供給国だ。米国が中国への技術輸出制限を拡大する場合、日本企業もその影響を免れな
い。例えば、米国の対中輸出規制リストに日本製の半導体製造装置が含まれる可能性があり、米
国の要請に応じなければ、日本企業が米国市場での競争力を失うリスクが浮上する。実際に、過
去の米国の対中制裁では、日本企業が輸出制限に協力せざるを得ない場面も見られた。
日本政府は、この圧力にどう対応するかが問われる。対中貿易規制に同調すれば、中国との経
済関係が悪化し、日本企業は中国市場でのシェア縮小や報復措置に直面する可能性がある。中国
は日本の重要な貿易相手国であるが、特に、半導体関連製品や自動車部品の輸出が大きく、規制
強化はこれらの産業に直接的な打撃を与える。一方で、米国との同盟関係を重視し、規制に協力
することは、日米の安全保障や経済連携を強化する一方で、国内産業への影響を最小限に抑える
ための難しいバランスが求められる。日本企業の中には、すでに米国市場での事業拡大を優先し
、対中ビジネスを縮小する動きも見られるが、こうした戦略転換には時間とコストがかかる。
さらに、半導体サプライチェーンはグローバルに複雑に絡み合っており、日本単独での対応に
は限界がある。例えば、台湾や韓国との競争も激化する中、米国との協調を模索しつつ、ASEAN
や欧州との多国間連携を通じて、対中依存のリスクを分散させる戦略が求められる。政府は、半
導体産業の国内基盤強化に向けた補助金や技術開発支援を加速させているが、短期間での成果は
期待しにくい。また、トランプ政権の予測不可能性も、日本の政策立案を難しくしている。トラ
ンプ氏は、過去にも突然の関税引き上げや貿易協定の破棄をちらつかせ、交渉相手を揺さぶって
きた。今後、対中規制を巡る交渉でも、同様の強硬姿勢が予想される。
トランプ大統領の対中強硬姿勢は、日本にとって新たな試練だ。日米関税交渉での譲歩は、ト
ランプ氏の交渉力の強さを示したが、今後は対中貿易規制を巡る圧力が、日米関係と日本経済に
さらなる影響を及ぼす可能性が高い。日本は、経済的利益と国際的な立場を守るため、戦略的な
対応を迫られている。米国との同盟を維持しつつ、中国との経済関係を損なわないバランスを取
るには、緻密な外交と産業政策の連携が不可欠だ。政府は、半導体サプライチェーンの再構築や
新興国市場の開拓を加速させることで、この難局を乗り切る必要があるだろう。
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