2025/08/02
2025年7月、日米間の関税交渉が決着し、両国間の貿易関係に新たな枠組みが構築された。日本
からの輸入品に対する米国の関税率は25%から15%に引き下げられ、自動車および自動車部品の
追加関税も半減し、既存の2.5%を含めて15%となった。しかし、この交渉は日本にとって大幅な
譲歩を伴う結果となり、その背景には安全保障上の政治力学が強く影響している。
交渉の結果、日本は米国に対し、5500億ドルの投資(その9割が米国の利益となる)、自動車・ト
ラック・コメなどの農産物市場の開放、ボーイング製航空機100機の購入、コメ輸入の75%増とい
う大きな譲歩を提示した。これにより、米国は経済的利益を最大化しつつ、日本市場へのアクセ
スを拡大。特に自動車と農産物市場の開放は、米国の産業にとって大きな追い風となる。一方、
日本は関税引き下げによる輸出競争力の向上を期待するが、国内産業への影響が懸念される。
この交渉の背景には、日米間の安全保障の力学が色濃く反映されている。米国は日本にとって
最も重要な同盟国であり、軍事的な核の傘を提供する存在だ。北朝鮮のミサイル開発や中国の海
洋進出など、アジア太平洋地域の安全保障環境は依然として不安定である。こうした中、日本は
米国との同盟関係を維持・強化することが自国の安全保障にとって不可欠と考えている。米国が
提供する抑止力や情報共有、共同軍事演習などの恩恵は、日本が単独では代替できないものだ。
トランプ政権下での「アメリカ・ファースト」の姿勢が再び強まる中、米国は経済的利益と安
全保障上の影響力を最大限に活用し、日本に圧力をかけた。日本の譲歩は、経済的負担を伴うも
のの、米国との同盟を損なうリスクを回避するための戦略的な選択だったといえる。日本の防衛
力強化には米国製兵器や技術の導入が欠かせず、これが交渉における日本の立場を弱める一因と
なった。
しかし、この結果は日本国内で議論を呼んでいる。農産物市場の開放は地方経済に打撃を与え
る可能性があり、自動車産業も競争激化に直面する。国民の間では、経済的譲歩が安全保障の名
の下に正当化されることへの疑問も浮上している。それでも、現在の国際情勢下で日本が米国と
の関係を損なう選択は現実的ではなく、政府は安全保障を最優先に据えた判断を下した。
日米関税交渉の決着は、経済と安全保障が複雑に絡み合う現代の国際関係を象徴している。日
本は米国との同盟を基盤に、経済的コストを支払いつつ安全保障を確保する道を選んだ。今後、
この交渉が両国の関係や日本国内の産業にどのような影響を及ぼすのか、注視する必要がある。
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