政治•経済 石破政権のアフリカ支援強化と日本企業が直面するリスク
石破政権のアフリカ支援強化と日本企業が直面するリスク
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2025/09/19

石破茂首相が主導する日本政府は、2025年8月に開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD9)を機に、アフリカへの支援と投資を強化する方針を打ち出した。この政策は、アフリカの成長潜在力に着目し、日本企業のアフリカ進出を後押しする狙いがある。特に「インド洋・アフリカ経済圏イニシアチブ」を提唱し、インフラ整備やAI人材育成、ワクチン供給支援など、総額約8100億円規模の資金協力を表明。従来の「援助」から「投資」へのシフトを強調し、日本とアフリカの相互利益を目指す姿勢を示した。しかし、こうした積極的なアフリカ進出の裏には、日本企業にとって無視できないリスクも潜んでいる。

アフリカは人口増加と豊富な資源を背景に、経済成長が見込まれる魅力的な市場だ。人口の年齢中央値が19歳と若く、労働力や消費市場としての可能性が高い。また、鉱物資源や農産物の供給地としても重要で、日本企業にとって新たなビジネスチャンスが広がる。一方で、政治的不安定さや法制度の未整備、インフラの不足など、ビジネス環境には課題が多い。たとえば、多くのアフリカ諸国では政情が不安定で、政権交代や内紛が経済活動に影響を及ぼすことがある。実際に、過去には日本企業が現地での事業中断を余儀なくされたケースも存在する。

さらに、法的リスクも見逃せない。アフリカ諸国では契約や財産権の保護が不十分な場合があり、投資回収の不確実性が高い。また、汚職や官僚主義が根強い国も多く、透明性の低いビジネス環境が日本企業にとって障壁となる。現地でのパートナー選定や契約交渉では、慎重なリスク管理が求められる。加えて、インフラの未整備も大きな課題だ。電力供給の不安定さや物流網の不足は、製造業や輸出入を展開する企業にとってコスト増や遅延の原因となる。

もう一つのリスクは、国際競争の激化だ。中国は「一帯一路」構想を通じてアフリカでのインフラ投資を拡大し、強い影響力を築いている。ロシアや新興国もアフリカ市場に進出しており、日本企業は後発の不利を背負いながら競争に挑む必要がある。こうした中、トランプ米政権の高関税政策など、グローバル経済の不確実性もアフリカ進出のハードルを高めている。日本企業がリスクを取って投資に踏み切るには、政府の支援や現地との強固な信頼関係が不可欠だ。

石破政権は、こうしたリスクを軽減するため、官民連携を強化し、物流網「ナカラ回廊」の整備やアフリカ連合(AU)との経済連携協定の検討を進めている。また、AIやデジタル技術を活用したスタートアップ支援や、若者・女性の能力向上を通じて、現地の経済基盤を強化する方針だ。これにより、日本企業が参入しやすい環境を整え、長期的な利益を確保しようとしている。しかし、国民の間では巨額の支援に対する批判も根強く、「国内の課題解決を優先すべき」との声も上がる。政府は、支援が日本の国益につながることを丁寧に説明する必要があるだろう。

アフリカ市場の潜在力は大きいが、リスクもまた大きい。日本企業は、慎重な市場調査とリスク管理を徹底しつつ、官民一体となった戦略でこの新たなフロンティアに挑むべきだ。石破政権の支援強化は、その第一歩となるが、成功には現地の実情に即した柔軟な対応が求められる。

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