政治•経済 着々と進む先端防空システムの日米共同開発
着々と進む先端防空システムの日米共同開発
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2025/04/12

際限のない兵器開発、先端防空システムは日米共同で次から次に開発されているというこの現実

(写真 終末高高度地域防衛ミサイル(THAAD) Wikipediaより)

 日本の周辺では軍事的脅威が高まっている。核開発を行う北朝鮮は頻繁に弾道ミサイルを日本海に向けて発射しているし、沖縄県・尖閣諸島の周辺海域では、中国海警局の公船が威圧的に常駐し、空では中露の軍用機が領空侵犯を続けている。さらに台湾の統一をもくろむ中国は台湾海峡での軍事演習、軍用機による威嚇を強めており、数年のうちに軍事侵攻に踏み切る可能性が指摘されている。こうしたなか、ロシアと中国、そして北朝鮮までもが迎撃が不可能といわれる極超音速滑空弾(HGV)の開発・導入を推進している。 HGVは、弾道ミサイルなどで大気圏外に打ち上げられ、切り離された後、高度30~80㌔大気圏内をマッハ5〜20の極超音速でスキップや滑空しながら軌道変更しつつ標的に接近、最後はダイブして標的を破壊する。

 こうしたミサイル攻撃への対応策として、海上自衛隊のイージス艦、航空自衛隊の警戒管制レーダー、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)などを組み合わせた統合防空ミサイル防衛を定めている。現在運用されているミサイル防衛システムの迎撃兵器には、それぞれ対応可能高度がある。大気圏内用の「PAC3」の最大迎撃高度は15㌔、大気圏外用のイージス弾道ミサイル(SM-3)と地上配備迎撃ミサイル(GBI)の最低迎撃高度は70㌔、同じ大気圏外用の終末高高度地域防衛ミサイル(THAAD)の最低可能高度は40㌔といわれている。HGVは、大気圏外の宇宙空間に飛び出すことなく、希薄な大気が残る高高度を飛ぶことにより、弾道ミサイル防衛用の大気圏外迎撃ミサイルであるSM-3とGBIを無力化する。THAADで、HGV襲撃への対応は可能とされているが、THAADの迎撃弾頭はサイドスラスターのみで機動するので、細かい機動はできても大きく軌道変更することはできない。このため跳躍しながら軌道変更して飛んでくるHGVへの対応は困難だ。唯一、PAC-3がHGVに有効だが、最大迎撃高度は15㌔と防護範囲が小さい。そこで、米国は、高度30~80㌔でHGVを迎撃可能な新型迎撃兵器の開発を目指した。それが、滑空段階迎撃ミサイル(GPI)だ。

 日本政府は、2023年8月にGPIを日米で共同開発することを決定した。またHGVを探知・追尾する手段として、多数の小型衛星を一体的に運用して情報収集する「衛星コンステレーション」の整備費用として2025年予算案に2832億円を計上している。加えて、新たに発足した「統合作戦司令部」は、敵基地攻撃能力を持つ長射程ミサイルを運用する。米国製巡航ミサイル「トマホーク」が来年度末に配備されるが、米軍の力を借りながら統合作戦司令部の下で十分に機能させることが可能であることを中露朝に示す時が来ている。GPIの日米共同開発の一般的な技術的利点は次の2点だ。

①、誘導弾としてSM-3ブロックⅡA以来の日米共同開発であり、日米同盟のさらなる進化が期待できる。

②、既存のイージスシステムを含む弾道ミサイル防衛体制(BMD)を最大限活用する形で、HGV対処能力を早期に構築できる。

 3月6日、トランプ米大統領は「日本は米国を守らない」と日米安全保障条約の片務性に不満を述べたが、その裏で先端防空システムの日米共同開発は着々と進んでいる。

 

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