2025/05/25
新教皇レオ14世戴冠、ああ、しかし、ここでも水を差すのか、ロシア&中国
(写真 新教皇レオ14世 カトリック中央協議会HPより)
米国人初のローマ教皇はレオ14世を名乗る。「レオ」と名の付く教皇というと西暦800年のレオ3世によるフランク王国カール大帝への戴冠で有名だ。このいわゆる「カールの戴冠」により、カールは神聖ローマ帝国の初代皇帝となる。キリスト教の理想を世俗の最大の権力者として委託された形で、その後の西欧世界に安定をもたらした。新教皇は移民問題などでトランプ米政権に批判的だが、一方で「西欧の現代文化が『福音と矛盾する信念を育んでいる』として、LGBTなど性的少数者の権利に慎重な発言をしたほか、ジェンダー教育推進にも反対したとされる」(時事通信報道)など保守的な側面もある。
新教皇は、2つの難問との対峙しなければならない。第一にロシア正教会の最高指導者モスクワ総主教のキリル1世と会見し、ウクライナの停戦および終戦の実現を説得できるかどうかだ。そんな中、ウクライナのゼレンスキー大統領は12日、教皇レオ14世と電話会談をした。また15日には、バチカンにウクライナ・ギリシャ・カトリック教会のキウイ大司教スビアトスラフ・シェフチュク氏を迎えている。そして2人はレオ14世との会見に感謝の意を表した。キリル1世はロシアのプーチン大統領のウクライナ戦争を「形而上学的な闘争」と位置づけ、ロシア側を「善」として退廃文化の欧米側を「悪」とし、「善の悪への戦い」と説いてきた。キリル1世は09年にモスクワ総主教に就任して以来、一貫してプーチン氏を支持してきた人物だ。
次に中国である。15日、世界のキリスト信者の迫害状況を発信してきた非政府機関、国際宣教団体「オープン・ドアーズ」は、ウィーンで報道向けのステートメントを発表し、「中国共産党政権が今月初めから中国での外国人の宗教活動をさらに厳しく取り締まる法を施行し、中国当局の宗教統制政策は、新たな次元に引き上げられた」と批判した。新法は「外国人の宗教活動に関する管理規則」と称し、具体的には、中国当局は外国人宣教師による説教、伝道、その他の宣教活動を禁止し、教会の礼拝に参加するにも政府の許可が必要と定めている。宗教を認めない共産主義政権下においては、中国のキリスト教徒は、国家公認の「愛国教会」に加入するように強いられている。中国では1958年以来、聖職者の叙階(聖職者任命)はローマ教皇ではなく、中国共産党政権と一体化した「中国天主教愛国会」が行い、国家がそれを承認してきた。これに対しバチカンは司教任命権を主張し、一方の「天主教愛国会」任命聖職者の公認を久しく拒否したが、18年9月、中国側の強い要請を受けて、愛国会出身の司教をバチカン側が追認する形で合意した。この合意は2年間の有効期限が設定されており、20年と22年に延長された。そして今回、両者はその有効期限を倍の4年間に延長することで合意した。なお、この合意の正確な内容はずっと非公開となっている。ところが中国当局は、フランシスコ教皇の崩御とレオ14世選出の間の空位期間に、上海市と新郷市で2人の新しいカトリック補佐司教を一方的に任命している。この動きは、司教任命に関する18年の合意に反する行為だ。
またバチカンは毛沢東が1951年、バチカンの最後の外交官を国外追放して以来、中国とは国交関係がない一方、台湾とは外交関係を維持している。フランシスコ教皇は昨年9月、中国側との対話について、「満足」としたが、欧米諸国ではバチカンの中国共産党政権への対応の甘さを指摘する声が小さくない。中国側の狙いはバチカンが台湾との国交を断絶し、中国共産党政権との国交を締結することだ。レオ14世は、ロシアと中国とどう向き合うのか注目される。
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