2025/07/27
現行の年金制度は大盤振る舞いをしているという音喜多氏の批判だがこちらも疑問符である。2004年以降、年金改革と称しマクロ経済スライドを導入したのだが、年0.9%程度の減額が20年間で3回実施されただけに留まっている。20年間で2.7%の年金支給額が削減されているが当初の予定通り毎年削減されていたら18%が削減されることになっていた。一方、現役世代から徴収する保険料率は一定であっても賃金が2%以上のペースで上昇していれば20年間で4割以上の増加が見込まれた。ところが政府の経済対策の失政と財務省主導の緊縮財政措置の継続によって賃金の上昇もままならない状況が続いた。焦った政府は社会保険料率を2014年の14%から現在の28%まで引き上げた。経済成長をすることなく消費税や社会保障費負担を引き上げ続けた結果、日本国の貧困化が進んだ。
消費税は社会保障の為の財源とは言い切れない。消費税は一般会計であるからその特定はできないししない。社会保障の財源は正確には保険料徴収と国債発行による調達によってである。政府与党は消費税減税が社会保障制度の毀損に繋がると国民を脅すが実は違う。消費税減税が紹介保障削減と引き換えだとする政治家の貨幣観には聊か不安を感じる。社会保障費の財源は消費税ではない。ちなみに高齢者の負担を大きくしたら若年層の負担が減るかというとそのようなことは絶対にない。政府は取りやすい方、取れる方から取れるだけ取ってきただけであり、高齢者と若年層のどちらの負担も軽減する意向は微塵も窺えない。
年金制度を危惧するのであれば年金を減らしたり保険料を引き上げることを考えるのではなく国債発行によって年金支給額を逆に増やせばよい。政府の支出は誰かの所得になる。需要はGDPそのものであるし生産に繋がる、生産というGDPが所得というGDPを押し上げる。年金を増額しても高齢者が使わない場合には課税すればよい。景気の調整は税の役割でもある。一方、高齢者が必要とするものを購入するように税の優遇などで消費を誘導するのも税の役割。昨年の衆院選では現役世代の手取りを増やす政策を掲げた国民民主党が大躍進した。その陰で年金受給者を中心とした高齢者の支持を国民民主党は得られていない。現役世代に偏ると国民を分断しかねない。毎年増え続ける年金受給者の所得を厚くすることは日本経済を再び高成長に繋げる可能性を秘めている。少子高齢化社会を牽引するのは高齢者によるGDPの底上げにあるのではないか。(紅 良作)
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