2024/12/25
大企業優遇による経済停滞
90年代後半以降の低金利政策の端緒は、不良債権で傷付いた銀行の救済だった。低金利はゼロ金利となり、マイナス金利となり、20年以上続いている。
2000年度末の家計の金融資産は約1400兆円だった。その後増え続け、昨年末に2100兆円を超えた。その半分以上が預貯金であり、仮に金利が2%付いていれば、預金者は、20年間で500兆円以上の金利を得ていたことになる。銀行はこれだけの金利支払いを免れて来たのだ。「当時、銀行は救済を受ける代わりに、米英のような投資銀行を目指すとか、担保主義によらず、産業創出を担う融資を行える能力を付けると言われましたが、合併を繰り返して規模が大きくなっただけで、旧態依然として優良企業中心の融資であり、担保主義も脱することができず、経済成長を促す存在になっていません」(前出・経済誌記者)。
前出、自民党への献金総額1位は三菱UFJフィナンシャルグループ、2位はみずほフィナンシャルグループだが、メガバンクのもう1つ、三井住友フィナンシャルグループも4位である。銀行だけではなく、2000年以降の自民党政権による大企業優遇について、企業の内部留保問題を早くから指摘したマクロ経済学者はこう指摘する。「アメリカで、マイクロソフト、グーグル、アマゾン……と新興企業が成長して主力になる間に、日本は旧来型の大企業の救済または優遇を優先し、新産業は育ちませんでした。今、AI(人口知能)の世界では、技術力も人材も、日本は米国にも中国にも敵いません。この20年の間に開いた差は、簡単には埋まらないでしょう」。
円安放置で経済停滞続くかそして現在の円安だ。
22年の自民党への献金額上位には、歴代の経団連会長企業がずらりと並んでいる。円安で利益が増えるのは、経団連に加盟する輸出型大企業だ。一方で輸入価格の上昇による物価の値上がりは庶民を苦しめている。「円安により企業の利益が増えるのは、実質利益が増えるのではなく、あくまでも為替により、見かけの利益が増えるだけであり、円安は〝麻薬〟です。この麻薬が効いている間は、経済成長へのモチベーションの低下が起きることが問題なのです。まして、1ドル120円でも〝居心地のいい為替〟と言われていたのに、現在は1ドル150円。明らかに行き過ぎです」(前出・経済学者)。
しかし岸田前首相は、自民党に巨額献金を行っている経団連が望む円安であり、「利上げ」に触れれば株価が急落する状況下で、円安を実質的に放置した。法人税を引き上げ、利上げを実行する――石破首相が事前にそう示した時、これまでの自民党政権との決別が伺えた。しかし、石破首相は就任後にそれを簡単に覆した。この先に待っているのは、経済停滞でしかない。(了)
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