2025/04/09
トランプ関税なんのその、長期の先行きを通ししていたトヨタの深謀遠慮、洞察力
(写真 世界最初の量産型ハイブリッド車であるトヨタ・プリウス Wikipediaより)
トヨタが2月の世界の販売・生産実績を発表した。トヨタ単体の世界販売は、前年同月比5.8%増。世界生産も同5.8%増で、いずれも2カ月連続で前年を上回った。新車を投入した効果で、国内販売が引き続き好調。海外は生産・販売とも2月としては過去最高を記録した。そんななか、トランプ米大統領の就任以来、日本を含む世界の自動車メーカーが恐れていた「ワーストシナリオ」がついに具現化してしまった。トランプ氏は3月26日、アメリカに輸入される全ての自動車に25%の追加関税をかけることを表明していたが、それを4月3日発動したのだ。当然アメリカに多くの車や部品を輸出する日本の自動車産業への打撃となるだけでなく、世界経済への大きな影響が懸念されている。
今回の追加関税のポイントは大きく2つある。第一に自動車の主要部品にも25%の関税をかけると表明したことから、部品をアメリカに持ち込んで組み立てだけ行うといった抜け道も塞がれたことだ。2つ目は、関税の軽減措置を設けた点だ。アメリカは現在、メキシコとカナダで製造される車に関して無税での輸入を行っており、今回のトランプ関税では、無税対象分について、アメリカ産の部品が使われている割合に応じて減税するとしている。
そこでトヨタの現状はどうかである。同社は「25%関税」に動じず、駆け込み輸出もしていない。それは過剰在庫を抱えない経営方針に基づき、一時的な混乱に左右されない姿勢を貫こうとしているからだと専門家は指摘する。その背景には強固な財務基盤と戦略的な事業展開がある。さらに電気自動車(EV)市場の変化を見極めながら、自動運転技術の開発にも着実に取り組んでいる。注目された日本から米国への輸出は、前年同期比1.7%減と駆け込みがなかった。関税発動前に米国輸出を増やして、在庫手当を厚くする対策をまったく講じなかったのだ。3月に入っても変わっていないスタンスである。
トヨタが、ここまで「冷静」な理由は何か。米国でのハイブリッド車(HV=2つ以上の動力源を持つ自動車)人気の高さと、関税分の値上がりがあっても他社との競争で勝ち抜けるという見通しを持っているからだろう。トヨタが目の前にある危機に動ぜず、悠然と自社の経営ポリシーに従っているのは、あらゆる状況変化に立ち向かえる財務体質の強靱さが裏付けとなっている。これが、トヨタの長期的安定戦略の基盤を構築している。トヨタは、EV自動車も電池が勝負であることを早くから見抜いて、世界で最も早く全固体電池開発に着手していた。現在のリチウム電池が持つ固有の欠陥によってEVブームが頓挫することを見抜いていた。現実は、その通りになって欧米の自動車企業を苦しめている。
トヨタはEVに代わってHV人気が到来すると読んでいたが、ズバリこの戦略が当ったわけだ。トヨタの未来戦略は、世界の自動車業界にどのような影響を与えるのか。
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