2025/03/04
イーロン・マスク肝いりの国際開発庁(USAID)、閉鎖の真意は?
(写真 国際開発庁)
米トランプ政権で政府支出の削減策を検討する組織「政府効率化省(DOGE)」を率いるイーロン・マスクは2月3日、SNSの音声配信機能で、海外で援助活動を行う国際開発庁(USAID)について、運用が不透明だなどという認識を示し、そのうえでトランプ大統領と協議し、「彼も閉鎖すべきだということに同意した。本当にいいのかと何度も確認したがイエスと言ったので、閉鎖する」と述べ、トランプ大統領が「USAID」の閉鎖に同意したと明らかにした。
日本では「USAID」を、世界の貧困地域を援助する組織で、その切り捨ては非人道的であるとの論調ばかりだが、米国も同様にリベラルな民主党支持者からは、狂乱気味の反応が相次いでいる。民主党左派の中核的な指導者、バーニー・サンダース上院議員はトランプ政権打倒のために国民の結集を呼びかけた。しかし、貧困地域援助は「USAID」の機能の一部に過ぎない。米国務省は「USAID」を通して、「全米民主主義基金(NED)」や「フリーダムハウス」などの政府系NGOに資金を提供し、転覆すべき国々の国民の不満に火をつけ、体制転換のための民主化要求運動を組織させている。抗議運動の活動家は現地の大学などからリクルートし、セルビアのベオグラードに拠点のある革命トレーニングセンター「CANVAS」などを使って訓練した工作員を現地に送り込むCIAと連動して動く工作機関である。中央アジアの旧ソ連共和国での反政府運動や「アラブの春」などの「色の革命」、「香港の民主化要求運動」も支援していた。トランプ政権の大目標は、米国の覇権維持を目標にした「ネオコン」などの政治勢力の指示で活動する「ディープ・ステート」を排除することにある。「ディープ・ステート」にはCIA(中央情報局)だけでなくFBI(連邦捜査局)、NSA(国家安全保障局)などの情報機関があるが、秘密の海外工作実施の中核にある「USAID」もまた長年にわたり「ディープ・ステート」の重要な構成員として機能してきた。
イーロン・マスクが「USAID」の閉鎖を決定したことは自然な動きであるが、なお一層の国内左右対立を生むことはまちがいない。
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