社会•事件
2024.11.18
ODA(政府開発援助)事業における日本の国際的な信頼が揺らいでいる。事業の日本側の実施機関であるJICA(国際協力機構)の男性職員が、フィリピンの鉄道改修業務の見積額など秘密情報を東京都内の建設コンサルティング会社に漏えいしていたことが発覚したためだ。「みなし公務員」であるJICA職員は公務員としての守秘義務に加え、国際協力機構法でも罰則付きの守秘義務が課され、入札情報の保秘徹底が厳守されるべきなのは言うまでもない。ただ、前代未聞の不祥事にもかかわらず、JICAはこの職員を停職1か月の懲戒処分にしただけの「とかげの尻尾切り」で事態を終焉させようとした。関係者からは組織的なコンプライアンス意識の低さを批判する声が上がっている。 ▼後手の対応に外務省も怒り 日本が発展途上国を支援するODAに参入してちょうど70年目。今回の職員による情報漏えいは、長年にわたり日本が築いてきた歴史に泥をぬるともいえる大問題だ。だが、JICAは当初、職員の懲戒処分については7月8日に「調達手続きに関する秘密情報を漏えいした」とホームページ上で短く公表したのみ。「ODA」の単語にすら言及せず、普段からJICAを取材する機会がある外務省記者クラブへの周知も行わなかった。 事態が急変したのは10月中旬。読売新聞が10月14日朝刊1面トップで「JICA情報漏えい疑い 比ODA 入札参加企業に 職員を懲戒処分」とスクープしたのがきっかけだった。報道で国際的な不祥事が公になり、内閣官房副長官が定例記者会見で説明に追われる事態に発展した。11月になってからは、JICAが元検事長の弁護士を委員長とする外部有識者らによる検証委員会をたちあげた。 あるJICA関係者によると、今回の問題は不祥事を調査する部門のほかにはごく一部の役員らにしか知らされていなかったため、多くが読売新聞の報道で把握したという。読売新聞は「(JICAは)円借款の相手国や対象事業などは現在まで明らかにしていない」と報じており、報道機関に不祥事を突き付けられながらも、何とか詳細を伏せようとするJICAの「隠蔽体質」が垣間見える。 外務省関係者は「読売の報道が出た後にフィリピンのODA事業だと認め、当初は想定していなかった検証委員会を発足させるなど、全ての対応が後手になり、組織として恥ずかしい」と呆れるばかりだ。 今回の情報漏えいが判明したのは、日本と約381億円の円借款(有償資金協力)契約を結び、フィリピン政府が発注したマニラ首都圏の都市鉄道改修事業のうち施工管理業務について。職員は2018年5月頃、施工管理業務の入札参加が見込まれていた東京都内のコンサル会社の社員に対し、JICAが現地調査などで算出した見積額や、比政府が作成した業務内容などを複数回にわたりメールで漏えいしたとされる。 途上国のODAでは、JICAが算出した事業の見積額を参考に相手国政府が入札予定価格を決めるため、前出の外務省関係者は「見積額=入札予定価格といっても差し支えはなく、今回の漏えいは、実質的に官製談合のようなもので悪質だ」と憤る。 ▼検証委 生半可な調査許されず 職員はJICAに対し、漏えいした動機については「入札不調などで事業が停滞するのを恐れ、受注企業を事前に確保する狙いがあった」と説明しており、日本企業側から金銭の授受は確認されなかったという。事業の見積額という重要な入札情報を秘密裏につかみ、実際にJV(共同企業体)として事業を受注した東京都内のコンサルタント会社の責任も本来は見逃せない。日本の巨額の税金が投入されているODA事業に参画するからには、企業としての説明責任を果たすべきだろう。 職員の懲戒処分からちょうど4か月後の11月8日に急きょ発足した検証委員会。JICAは「問題を再検証し、再発防止策を検討する」としているが、検証委がどこまで調査範囲を広げるのかは不透明なままだ。処分された職員にとどまらず、上司らの責任など組織的な問題に切り込み、フィリピン以外の国のODA事業も含めた幅広い調査が求められる。職員による情報漏えいと、不祥事情報の「隠蔽」で失った信頼を回復するには、生半可な対応では許されない。
2024.11.16
2024.11.15
取材を進めれば進めるほどこの選挙戦はその混迷度に驚かされる。そもそも選挙戦などは権謀術数の嵐ということは百も承知しているが、国政選挙でもない知事選においてここまでカオスなのはまあ稀有であろう。 乱舞する憶測の中で黒幕の具体的な名前が挙がってきた ここまでの経緯は本サイトで報じてきた通りだが、ここにきて斎藤元彦前知事を失職に追いやった勢力について様々な憶測が飛び交いだした。つまりは、あの手この手で知事を失職に追い込んだ勢力ということだ。いってみればこの注目事案の原因を作った張本人というわけである。元県民局長の告発文書、そして犯人捜し、元局長の自死。ここで一回目のピークを迎え、知事失職、知事選を迎えて二回目のピークとなった。今現在は二回目のピークの真っただ中というわけだ。 その時期に斎藤前知事を追い込んだ勢力に対する憶測が明瞭になってきたわけだが、その具体的に名前さえ上がってきている。名前が挙がった人はいわば斎藤前知事追い落としの黒幕ということになるのだが、そのひとりは兵庫県県会議員のT、そしてもう一人は元副知事のKというのである。この二人が斎藤前知事追い落としの黒幕、そして仕掛人だというのだ。名指しされた方が、“はい、その通りです、私がやりました”とはまかり間違ってもいうことはないだろうし、迷惑千万な憶測ではあろう。ただ、憶測といえどもその根拠にしてもなかなか説得力もあって、聞かされたると、なるほどそうなのかということにあいなるのだ。 キーワードは“井戸県政” Tというのは、元局長による告発の仕掛人といわれていて、告発文の草案作成に関わったとされている。それも全国紙の県庁記者クラブの女性記者と組んで策動に関わっていたというのだ。Tを知る県議会関係者はいう。 「(Tが)斎藤おろしの旗振り役といわれればさもありなんといったところですな。T氏は井戸県政では重鎮だったし、斎藤県政では逆に干されていた感じだったからね」。もうひとり名前が挙がるKはといえば、この人は斎藤氏が当選した先の知事選では対抗馬だった。ただK氏において気になるのは、自死した元局長の再就職先の特別顧問という点である。これが事実であれば、どうにもきな臭い話である。「県庁退職後のことは心配いらない。まかせておきなさい」。こんなセリフとともに因果を含ませて…。などというまるで時代劇のワンシーンが思い浮かんでもきそうなものである。あくまで妄想に過ぎないが。
2024.11.13
2024.11.13
2024.11.12
2024.11.12
2024.11.12
パワハラによる元局長の自死がトリガー 斎藤元彦前兵庫県知事に対する告発文の内容はすでに広く知られているが、その項目だけは改めてここに記しておこう。 ①五百旗頭真先生ご逝去に至る経緯 ②知事選挙に際しての違法行為 ③選挙投票依頼行脚 ④贈答品の山 ⑤政治資金パーティ関係 ⑥優勝パレードの陰で ⑦パワーハラスメント ①~⑦どれもが重要に見えるが、とりわけ⑦については、元局長の自死を誘発した直接的原因といわれている。要するに、局長は斎藤前知事より強いパワハラを受けていたため抗議の自死を遂げたと見られ、今ではそれがほぼ定着している。 確かにそれはもっともらしい。度合いの強いパワハラは受けた方の自死を誘発するに充分な原因になろう。その時点でこの告発は十分な説得力を備えた。そのほかの項目がことごとく事実と見なされる素地はできた。その証拠に、いくつかの項目は大々的に取り上げられ、斎藤前知事の印象造りに大いに役立った。世論は例外なく『あの知事はそんなことをしていたんだ』と思い、『あの知事はそんな人だったんだ、そうは見えないが、人は見かけによらないものだ』と得心した。そんな感想や井戸端会議の台詞が兵庫県に留まらず全国にあふれたのである。 ところがここに来ていきなり飛び出した告発者である元局長の醜聞。この情報が飛び出したことから兵庫県内はもとより騒ぎは全国に飛び火しているのだ。まったく事態は混沌としてきている。 投票日まで一週間を切った。
2024.11.11




